厚生労働省は9月8日、日本経団連に対し加藤勝信大臣名で、「働き方改革」の推進に向けた取組みの要請を行った。

　働く人の健康を確保して労働の質を高め、生産性を向上させつつワークライフ・バランスを改善し、すべての人々が働きやすい社会に変えていくためには、長時間労働の是正が重要になる。しかし、わが国では依然として長時間労働の慣習が根強く、年次有給休暇の取得率も低い水準にとどまっている。

　こうした中、今年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」などでは、働き方改革の実行・実現のため長時間労働の是正に向けた取組みを強化する方針が盛り込まれた。

　この長時間労働の問題について厚労省は、

①著しい過重労働や賃金不払い残業などの撲滅に向けた監督指導の強化

②休暇の取得促進をはじめとした「働き方の見直し」に向けた企業ヘの働きかけの強化

を2本柱として取り組むとともに、10月の「年次有給休暇取得促進期間」、11月の「過重労働解消キャンペーン期間」と定め、長時間労働削減の取組みを推進するとしている。

　経団連に対する要請もこうした取組みの一環で、長時間労働を前提とした従来型の労働慣行から、早く帰る労働慣行への転換を図るための施策や、年次有給休暇を取得しやすい雰囲気を醸成するための施策など、「各企業の実情に応じた取組みを行う」よう求めている。

　そして具体的な施策として、＊経営トップによるメッセージの発信 ＊朝型勤務やフレックスタイム制、年次有給体暇の計画的付与制度などの導入 ＊ノー残業デーや年次有給休暇取得奨励日の設定 ＊年次有給休暇取得計画の策定 ＊年次有給休暇取得による連休の実現（「プラスワン休暇」）のほか、＊ボランティア休暇をはじめとする働く人の実情に応じた特別休暇制度の導入などを挙げている。

 

株式会社　紙業タイムス社　「Future１０/９号」より