特種東海製紙は恒例の「紙わざ大賞」入賞作品展を開催した。第27回となる今年は、全国から昨年を上回る362点の作品が応募。10月初めの審査会で選ばれた入選作品72点を、去る10月24～28日に東京・有楽町の東京交通会館2階ギャラリーで展示した。

　会場には初日午前中から、接着剤や骨組み以外は紙を素材に創作するという同展の面白さを知るファンが来場し、入選作品に見入っていた。一方、同じく初日の24日には同社東京本社で上位入選者の授賞式が執り行われ、大賞を受賞した美大生の竹内紀帆さんほか上位入選者8名が表彰された。

　特種東海製紙の松田裕司代取社長は授賞式開会の挨拶で、「応募作品のグレードが年々向上しており、紙の新たな用途提案には毎回驚かされる」と述べた。

　大賞と準大賞、特別賞には審査委員長の日比野克彦氏から賞典が贈られた。協賛企業による王子エフテックス賞、新生紙パルプ商事賞、竹尾賞、平和紙業賞はそれぞれの協賛企業代表から手渡された。学生賞の贈呈は審査員の福田美蘭氏が行った。

　大賞は、薄い紙を丸めて平面になった部分を印鑑のように使う作品。特種東海製紙賞は、同社のグループ企業・トライフの『タウパー』を素材に使って小鳥をかたどったものだが、アイデアの広がりに松田社長も驚いた様子。特別賞の下畑裕儀氏は昨年度の大賞受賞者で、89歳という高齢ながら旺盛な創作意欲が評価された。

　協賛企業の授賞作品の中で関心を集めたのは平和紙業賞。紙を引き裂く時の音と映像をパソコンで画像化した作品で、今までにない紙の芸術表現として注目された。

【第27回紙わざ大賞上位入選者と作品名】（敬称略）▽大賞＝竹内紀帆『生命』▽準大賞＝正村美菜子『命の彩り～ある3ヵ月の食の記録～』▽王子エフテックス賞＝秋山謙二『茶碗二点』▽新生紙パルプ商事賞＝筒井美夏『BOX』▽竹尾賞＝陶山岳志『moment』▽平和紙業賞＝Narrative Illustrations『Pay per paper』▽特種東海製紙賞・Pam賞＝荒木めぐみ『型抜き鳥～君の名は？～』▽特別賞＝下畑裕儀『屋根の上の画人』▽学生賞＝花澤亜矢佳『私らしさと紙らしさ』

　なお、第27回紙わざ大賞入選作品は2017年12月4日～18年2月28日に静岡県駿東郡長泉町の特種東海製紙Pam（10：00～17：00、土・日・祝日休）でも展示される。

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株式会社　紙業タイムス社　「Future１１/２０号」より