＝紙パの2018年3月期業績＝

　紙パ関連各社の2018年3月期（2017年4月～18年3月）決算の発表が始まった。今号より順不同で紹介していく。以下、数値は連結ベース、単位100万円、（　）内は対前期増減率。

【製紙会社】

●王子ホールディングス

〔2018年3月期〕

　売上高 1,485,895 （＋3.2％）

　営業益 70,781 （＋0.8％）

　経常益 65,958 （＋24.6％）

　当期益 36,222 （△10.1％）

〔2019年3月期予想〕

　売上高 1,530,000 （＋3.0％）

　営業益 100,000 （＋41.3％）

　経常益   90,000 （＋36.4％）

　当期益   50,000 （＋38.0％）

　増収となり、営業益も原燃料価格の高騰があったものの海外パルプ市況の上昇などにより増益、経常益も為替差損の減少により増益。当期益は前年度に計上した退職給付制度改革益が減少したことなどから減益となった。

○生活産業資材…売上高は前期比＋5.0％、営業利益は原燃料高で同△71.1％。段原紙、段ボール、白板紙の販売量は増加。包装用紙は国内販売が増加したものの輸出は減少。紙おむつの国内販売は、ベビー用がほぼ前年並みで大人用は増加。家庭紙販売量は増加。海外事業は、段原紙、段ボールともに堅調で、紙おむつ販売量は大幅増。

○機能材…売上高は前期比＋1.5％、営業利益はコスト削減効果などにより同＋5.8％。国内販売は特殊紙、感熱紙はほぼ前年並みで、フィルムは増加、輸出も増加した。海外事業は、新たにグループ入りしたマレーシアの会社が業績拡大に寄与したほか、感熱紙販売が南米で堅調。

○資源環境ビジネス…売上高は前期比＋10.4％、営業利益は国際的なパルプ市況の上昇などにより同＋121.2％。

○印刷情報メディア…売上高は前期比△1.7％、営業損失は原燃料高により同100億円減益の△45億円。新聞用紙の販売量は減少、印刷・情報用紙の販売量は前年並みだったが市況軟化で減収。海外事業では中国子会社の販売量が増加。

●大王製紙

〔2018年3月期〕

　売上高 531,311 （＋11.4％）

　営業益 11,062 （△53.0％）

　経常益 12,779 （△40.1％）

　当期益   3,971 （△67.3％）

〔2019年3月期予想〕

　売上高 550,000 （＋3.5％）

　営業益 18,000 （＋62.7％）

　経常益 15,000 （＋17.4％）

　当期益 10,000 （＋151.9％）

　売上高は、日清紡HDの紙製品事業と三浦印刷を新規連結したことなどにより、目標を313億円上回った。利益は、古紙価格急騰により目標未達となった。当期益は、連結子会社、大王パッケージの収益性低下に伴いのれんの減損損失約60億円を特別損失に計上したため、減益幅が大きくなっている。

○紙・板紙…売上高は前期比＋7.4％、セグメント利益は同△93.0％。紙事業合計では販売量・金額ともに前期を下回ったが、塗工紙から非塗工紙・情報用紙・特殊紙への販売シフトを進めた結果、情報用紙は販売量・金額ともに前期並み、包装用紙・機能材は販売量・金額ともにプラス。板紙・段ボールは加工食品分野などの需要増もあり、販売量・金額ともに前期を上回った。セグメント利益は、古紙・原燃料価格の上昇により減益。

○ホーム＆パーソナルケア…売上高は前期比＋16.7％、セグメント利益は同△20.0％。家庭紙は、日清紡HDからの事業譲受により販売が拡大、また付加価値品への販売シフトを進めた結果、販売量・金額ともに増加。紙おむつは、大人用は販売量・金額ともに前期を上回ったが、ベビー用は販売量・金額ともに前期を下回った。海外事業は販売量・金額ともにプラス。セグメント利益は、原材料価格の高騰や、海外での販促費用が一時的に高まった影響により前期比マイナス。

●三菱製紙

〔2018年3月期〕

　売上高 201,492 （△0.2％）

　営業益 1,790 （△58.5％）

　経常益 652 （△75.8％）

　当期益 3,198 （＋177.5％）

〔2019年3月期予想〕

　売上高 205,000 （＋1.7％）

　営業益   1,500 （△16.2％）

　経常益   500 （△23.4％）

　当期益   500 （△84.4％）

　売上高は、既存製品の需要減少などにより減収。営業・経常益は、原燃料価格上昇などの減益要因に対して、洋紙価格修正の効果が限定的だったため、減益となった。当期益は、固定資産や投資有価証券の売却益を計上したほか、繰延税金資産の計上で法人税等調整額が減少したことなどにより増益。

○紙・パルプ事業…売上高は前期比＋1.2％、セグメント利益は同△95.2％。国内販売は、情報用紙が堅調も印刷用紙は販売量が減少、輸出は印刷用紙が数量を伸ばしたが国内の落ち込みをカバーするには至らず、その結果、販売量は減少し、販売金額も価格修正の浸透が限定的だったため減少。欧州子会社は、主力の感熱紙を中心に需要が堅調で販売量・金額ともに増加。

○イメージング事業…売上高は前期比△5.1％、営業利益は同△52.6％。国内は写真感光材料や印刷製版材料の需要減退により、販売金額は減少。海外は写真感光材料の受注が安定し、インクジェット用紙は新興国を中心に伸長したが、既存製品の需要減退の影響が大きく、販売金額は減少。

○機能材事業…売上高は前年同期比＋0.4％、営業利益は同△1.9％。機能材料の販売金額は増加したものの、化学紙は減少。

○倉庫・運輸事業…売上高は前期比＋4.0％、営業利益は同＋30.3％。

【紙加工】

●レンゴー

〔2018年3月期〕

　売上高 605,712 （＋11.0％）

　営業益 17,082 （△27.7％）

　経常益 23,168 （△8.1％）

　当期益 16,622 （＋19.8％）

〔2019年3月期予想〕

　売上高 650,000 （＋7.3％）

　営業益 30,000 （＋75.6％）

　経常益 32,000 （＋38.1％）

　当期益 21,000 （＋26.3％）

　主力の段ボール製品の販売量増加に加え、トライウォール・ホールディングス社の子会社化などにより海外関連事業が拡大したため、増収となったが、営業益は原燃料高により減益。経常益の減収幅が小さいのと、当期益の増益は、持分法による投資利益約63億円を、営業外収益に計上したことによる。

○板紙・紙加工関連事業…売上高は前期比＋3.9％、営業利益は同△46.2%。販売量の増加に加えて、製品価格改定に取り組んだが、古紙価格の高騰やエネルギー価格の上昇により、増収減益となった。生産量は、板紙製品が前期比＋1.2％、段ボールが同＋3.7％、段ボール箱が同＋5.9％。

○軟包装関連事業…売上高はコンビニ向けの需要が増加し前期比＋4.0％となったものの、材料費や固定費の増加などにより営業利益は同△23.7％。

○重包装関連事業…売上高は前期比△1.3％、営業利益は同△30.9％。除染用コンテナバッグの需要減により減収減益。

○海外関連事業…売上高は前年同期比＋150.9％、営業利益は同＋178.9％。トライウォールの業績寄与に加えて段ボール事業が好調で増収増益。

●リンテック

〔2018年3月期〕

　売上高 249,030 （＋20.9％）

　営業益 20,095 （＋21.1％）

　経常益 18,389 （＋17.2％）

　当期益 11,257 （△1.7％）

〔2019年3月期予想〕

　売上高 257,000 （＋3.2％）

　営業益 23,000 （＋14.5％）

　経常益 22,000 （＋19.6％）

　当期益 16,000 （＋42.1％）

　世界経済、国内景気の堅調を背景に増収増益となったが、当期益は米国連結子会社における事業構造改善引当金繰入額約10億円と、のれんの減損損失約10億円を特別損失に計上したため減益。

○印刷材・産業工材関連…売上高は前期比＋42.1％、営業利益は同＋81.8％。印刷・情報材事業部門は、国内では粘着紙の医薬・物流関連が好調に推移し、粘着フィルムも飲料用や化粧品などのアイキャッチラベル需要が順調。海外もASEANが堅調だったほか2016年末に買収した欧米子会社の売上げが加わり、同部門は増収。産業工材事業部門は、国内で通販向け装置が堅調だったほか、自動車用粘着製品などがアジア地域で堅調、また前出の欧米子会社の売上げが加わり、同部門も増収。

○電子・光学関連…売上高は前期比＋6.8％、営業利益は同＋30.8％。アドバンストマテリアルズ事業部門は増収、オプティカル材事業部門は減収。

○洋紙・加工材関連…売上高は前期比＋3.6％、営業利益は同△13.4％。洋紙事業部門は工業用特殊紙や耐油紙が堅調だったが、主力のカラー封筒用紙が低調に推移し売上高はほぼ前期並み。加工材事業部門はFPCカバーレイ用剥離紙や光学関連製品用剥離フィルムなどの堅調により増収。

 

株式会社　紙業タイムス社　「Future５/２８号」より