王子ホールディングスは、生分解性プラスチックの開発と、さらなる機能を加えた紙製品の開発を加速させる。

　最近、EUが使い捨てプラスチック製品の使用を禁止する法案を提出し、米国大手外食チェーンが相次ぎプラスチック製容器やストローの使用を見直すなど、プラスチックに替わる製品の需要が世界的に高まっている。こうした動きを受けて王子グループは、今春新設したイノベーション推進本部パッケージング推進センターを中心に、生分解性プラスチックの開発と、さらなる機能を備えた紙製品の開発を進めていく考え。

　現在開発中のものでは、まず、王子エフテックスが、パルプを生分解性プラスチックであるポリ乳酸と複合化した樹脂ペレットのサンプル提供を開始している。この樹脂ペレットは、パルプを複合化することにより成形品の剛性が向上し、耐熱性も改善され、射出成型時間の短縮、成形品の用途拡大が期待される。

　王子グループではこのほか、通常サトウキビやトウモロコシなどの可食原料から製造されている、生分解性プラ原料の糖液（グルコース）を、非可食原料である木（セルロース）から効率的に製造する技術を開発。今後はグルコースの量産体制を整備するとともに、将来的には生分解性プラの自社開発もしくは提携による開発を目指す。

　また、さらなる機能を備えた紙製品の開発としては、①「バリア製を有する包装材料の開発」、②「紙コップ蓋（トラベラーリッド）の製品開発と紙製ストロー原紙のサンプル提供」などを進めている。

　①については、主にプラスチックが使用されている包装材料を紙に置き換えるため、再生循環型の材料を開発。王子の開発品は水蒸気と酸素の両方に対してバリア性があるマルチバリア紙で、水蒸気に対しては一般のバリアフィルム並み、酸素に対しては蒸着フィルム並みの高いバリア性能を持つ。②については、現在プラスチックが主流となっている“フタ”の分野で、再生可能なパルプを原料とする紙製のフタを開発した。耐水性、耐熱性を備え、ホット用、アイス用の紙コップのフタとして使用できる。また王子エフテックスでは、紙製ストロー原紙として使用可能なサンプルの提供を開始した。耐水性を有し、スパイラル加工による紙ストローの製造に適している。

 

株式会社　紙業タイムス社　「Future１０/１５号」より