防衛装備庁はこのほど、「安全保障技術研究推進制度」の2020年度公募受付を開始した。先進的な民生技術についての基礎研究を公募し、採択する研究課題を決定後、研究を委託する。

　同制度では、「新規性、独創性または革新性を有するアイデアに基づいた基礎研究」を募集しており、採択に当たって防衛装備品への応用可能性は審査基準に含まれない。また、研究成果については広く民生分野での活用を期待しているため、同庁では「研究成果の公表を制限することはない」としている。

　同制度で募集する研究テーマは従来、素材面では金属関連の募集が多かったが、昨年度から製紙業界にも関連の深いCNFなどを想定した繊維材料が研究テーマに含まれた。募集する全35の研究テーマのうち、繊維が含まれる主な研究テーマは「先進的な耐衝撃・衝撃緩和材料に関する基礎研究」で、高速物体の衝突に耐える、またはその衝撃を緩和する、硬度・靱性・弾性が高い材料の研究が対象。同制度ではこのほか、電力貯蔵、ナノ構造、接合技術など、多岐にわたる研究テーマを設定している。

　付与される研究費は1件当たり最大20億円。応募タイプは大規模課題と小規模課題に分かれ、「タイプS」と呼ばれる大規模課題は最大5年の複数年度契約で、付与される研究費の上限は20億円。また1～3年の各年度ごとの委託契約となる小規模課題は、さらに「タイプA」と「タイプC」に分かれ、付与される研究費は、タイプAが年間最大3,900万円、タイプCが同1,300万円となる。公募受付は5月27日（水）正午まで。詳しい募集要領、応募方法は同庁Webサイトの「安全保障技術研究推進制度公募要領（https://www.mod.go.jp/atla/funding/koubo/r02/r02koubo_full.pdf）を参照。