＝紙パの第3四半期＝

　5月決算の岡山製紙と小津産業が、2020年5月期の第3四半期決算（19年6月～20年2月）を次記の通り発表した。以下、単位100万円、（　）内は対前年同期増減率。

■岡山製紙（非連結）

〔第3四半期〕

　売上高 7,425 （△1.1％）

　営業益 1,023 （＋84.1％）

　経常益 1,074 （＋79.6％）

　当期益 741 （＋87.8％）

〔通期予想〕

　売上高 10,000 （△0.3 ％）

　営業益 1,150 （＋52.8％）

　経常益 1,200 （＋49.1％）

　当期益 840 （＋57.5％）

　国内経済の減速で段ボール生産面積が前年割れとなったため、主要製品である段ボール原紙（中芯原紙）の販売量が減少した。加えて美粧段ボール事業の売上減少もあり、売上高は若干の減収となった。一方利益面は、中国向け古紙輸出が環境規制の影響で引き続き減少しており、国内の古紙流通量と価格が安定しているため、当初計画より原料古紙の価格が下がり、利益押し上げ要因となった。また板紙製品価格改定の浸透により、販売量の減少に比べて減収が小幅に抑えられたことや、主燃料であるLNG価格が安定していることも増益要因となっている。セグメント別の状況は次の通り。

○板紙事業…製品価格改定は浸透したが、販売量は前年同期比△3.8％と減少し、売上高は同△0.6％、セグメント利益は同＋84.4％。

○美粧段ボール事業…主力の通信機器関連品が低調で、売上高は前年同期比△4.6％、セグメント損益は△2,800万円となった（前年同期は△1,400万円）。

　通期予想は、3Qの業績を反映し、2019年12月に公表した前回予想を利益面で上方修正した。修正幅（単位100万円）は、営業益＋120、経常益＋120、当期益＋80。なお今回の業績予想では、新型コロナ拡大の影響は前提にしていない。同社の取引先がほぼ国内であり、直近では感染拡大の影響を受けていないためだが、今後は世界経済の停滞によって、同社製品にも需要減少や、原料の調達が困難になるなどの影響も考えられるため、状況を注視していくとしている。

■小津産業（連結）

〔第3四半期〕

　売上高 29,864 （△3.2％）

　営業益 361 （△28.7％）

　経常益 418 （△25.6％）

　当期益 447 （＋28.7％）

〔通期予想〕

　売上高 40,500 （△1.4％）

　営業益 370 （△37.0％）

　経常益 430 （△34.5％）

　当期益 450 （＋4.5％）

○不織布事業…エレクトロニクス分野は、新型コロナの影響でクリーンルーム用マスクの急激な需要増があったものの、主に中国・東南アジア地域の半導体・電子部品メーカーの稼働率低下により減収減益。メディカル分野は、新型コロナの影響で衛生用品の販売が増加し増収増益。コスメティック分野は東アジア向け、国内向けともに販売が減少し減収減益。グループ各社の状況は、小津（上海）貿易有限公司は売上高、利益ともに増加、ディプロは売上高が増加したが利益は減少、日本プラントシーダーは売上高、利益ともに減少。これらの結果、事業全体の売上高は前年同期比△13.4％、セグメント利益は同△41.9％。

○家庭紙・日用雑貨事業…売上高は微増（前年同期比＋2.7％）となり、利益面も損失幅が縮小した。セグメント損益は△4,500万円（前年同期は△1億3,000万円）。

○その他の事業（除菌関連、不動産賃貸）…売上高は前年同期比＋10.1％、セグメント利益は3,500万円（前年同期は△100万円）。

　通期予想は、3Qの実績と今後の見通しを踏まえ、1月発表の前回予想を上方修正した。修正額（単位100万円）は、売上高＋500、営業益＋80、経常益＋90、当期益＋90。新型コロナの感染拡大に伴い、子会社のアズフィットでマスク販売が増加したほか、不織布事業でもディプロで除菌ウェット製品の販売が増加、また小津産業本体でもガーゼ用途の不織布や除菌関連製品の販売が増加傾向。一方、主力のエレクトロニクス分野は、海外工場の稼働率が低下しており、今後、日本国内にも波及する可能性もある。

 

株式会社　紙業タイムス社　「Future4/27号」より