＝紙パの第1四半期②＝
前号に続き、紙パ関連各社の2021年3月期第1四半期（2020年4～6月）決算を紹介する。以下、連結ベース、単位100万円、（ ）内は対前年同期増減率、〈 〉内は前年同期の実績値。
【製紙】
■大王製紙
〔第1四半期〕
売上高 120,706 （△7.5％）
営業益 7,131 （＋45.8％）
経常益 6,944 （＋45.4％）
当期益 5,960 （＋161.0％）
〔通期予想〕
売上高 565,000 （＋3.4％）
営業益 28,000 （△8.6％）
経常益 25,000 （△11.1％）
当期益 13,000 （△32.3％）
○紙・板紙…売上高は前年同期比△13.9％、セグメント利益は同△20.0％。新型コロナで旅行・イベントなどの広告需要が減少したことや、在宅勤務や休校などに伴う書類減少により、洋紙の販売量・金額が減少。板紙・段ボールは、内需低迷の影響は受けたが、4月から三島工場N号抄紙機が営業運転を開始して輸出が増加し、販売量・金額ともに増加。
○ホーム＆パーソナルケア…売上高は前年同期比＋5.3％、セグメント利益は同＋863.9％。ティシュ・トイレットペーパーは前期末に発生した仮需の反動減があったが、ペーパータオル、キッチンペーパーは伸長し、衛生用紙全体では販売量は前年並みで金額は増加。大人用紙おむつは市販・業務ルートいずれも販売量・金額が増加。フェミニンケア用品は仮需の反動減により、ベビー用紙おむつは市場縮小により、いずれも販売量・金額が減少。ウェットワイプは衛生意識の高まりから大幅に伸長。
○その他…売上高は前年同期比△22.2％、セグメント損益は黒字転換して293百万円（前年同期は△133百万円）。
通期予想は、今後の事業環境の不透明さを勘案して、5月の前回予想を据え置いた。
■北越コーポレーション
〔第1四半期〕
売上高 51,438 （△28.1％）
営業益 △1,277 〈5,935〉
経常益 877 （△87.2％）
当期益 2,490 （△49.1％）
〔通期予想〕
売上高 210,000 （△20.6％）
営業益 1,000 （△91.1％）
経常益 5,500 （△64.9％）
当期益 3,500 （△56.6％）
新型コロナの影響で大幅な減収減益となったが、スケジューリング可能な将来減算一時差異について繰延税金資産を追加計上した結果、1Qの法人税等調整額は△3,303百万円（△は利益）となり、最終赤字は回避した。セグメント別の売上高（単位100万円、内部売上高除く）と利益は、紙パルプ事業が売上高45,387（前年同期比△30.0％）・セグメント損益△1,615（前年同期は5,448）、パッケージング・紙加工事業は売上高4,068（前年同期比△12.3％）・セグメント利益16（同△83.2％）、その他は売上高1,982（同△5.2％）・セグメント利益168（同△9.2％）。
通期予想は、5月の前回予想を下方修正した。修正額（単位100万円）は、売上高△40,000、営業益△8,000、経常益△7,500、当期益△4,000。主力の印刷・情報用紙やパルプで、より深刻なコロナの影響が見られた。
■三菱製紙
〔第1四半期〕
売上高 41,173 （△14.4％）
営業益 △1,479 〈△599〉
経常益 △1,236 〈△789〉
当期益 △1,661 〈△1,181〉
〔通期予想〕
～未定～
新型コロナの影響で洋紙やイメージング分野の需要が大幅に減少した。損益面は、固定費削減や原燃料安などの増益要因はあったが、販売量減の影響が大きかった。
○紙・パルプ事業…売上高は前年同期比△14.3％、営業損益は1,147百万円（前年同期は△867百万円）。国内は印刷用紙、情報用紙ともに販売量・金額が減少。輸出も減少。欧州子会社は、感熱紙を中心に販売量が増加したが、製品価格の低下や為替の影響で金額は減少。
○イメージング事業…売上高は前年同期比△15.1％、営業損益は△637百万円（前年同期は35百万円）。国内外で旅行やイベントが激減し、写真感光材料やインクジェット用紙の販売量・金額が減少。損益面では、生産設備の稼働率低下による生産コスト上昇も減益要因。
○機能材事業…売上高は前年同期比△14.5％、営業利益は同＋10.7％。機能材料、化学紙ともに販売金額が減少したが、利益は固定費削減や原燃料安などにより増益。
○倉庫・運輸事業…売上高は前年同期比△9.4％、営業利益は同△79.5％。
○その他…売上高は前年同期比△9.0％、営業損益は△17百万円（前年同期は17百万円）。
通期予想は、現時点での合理的な業績予想は難しいため、引き続き公表を見送った。
■中越パルプ工業
〔第1四半期〕
売上高 18,585 （△20.6％）
営業益 △1,189 〈△582〉
経常益 △1,179 〈△586〉
当期益 △1,178 〈△504〉
〔通期予想〕
～未定～
○紙・パルプ製造事業…売上高は前年同期比△22.6％、営業損益は△1,461百万円（前年同期は△729百万円）。新聞用紙と印刷用紙は販売量・金額ともに減少。包装用紙も自動車関連・手提げ袋などの需要減の影響で販売量・金額ともに減少。特殊紙・板紙・加工品等は、壁紙は堅調も板紙・加工原紙の需要減により販売量・金額ともに減少。パルプは世界的な市況軟化で販売量・金額ともに減少。
○発電事業…売上高は前年同期比＋3.3％、営業利益は同＋44.0％。今年は生産本部二塚製造部のボイラー定期検査がなかったこともあり増収増益。
○その他…売上高は前年同期比△12.1％、営業損益は△59百万円（前年同期は△86百万円）。
通期予想は、現時点での合理的な業績予想は難しいため、引き続き未定とした。
【製紙・加工】
■レンゴー
〔第1四半期〕〕
売上高 164,778 （△2.2％）
営業益 9,533 （△12.6％）
経常益 10,158 （△13.7％）
当期益 6,946 （△13.1％）
〔通期予想〕
売上高 697,000 （＋1.9％）
営業益 40,000 （△3.0％）
経常益 42,000 （△2.8％）
当期益 28,000 （＋0.8％）
○板紙・紙加工関連事業…売上高は前年同期比△6.3％、営業利益は同△14.4％。食品や通販・宅配向けなどの需要に底堅さは見られるものの、新型コロナ拡大に伴う景気悪化により減収減益。
○軟包装関連事業…売上高は前年同期比＋1.1％、営業利益は同＋8.0％。スーパーなどの食品向け需要が増加したことや固定費の削減により増収増益。
○重包装関連事業…売上高は前年同期比＋11.3％、営業利益は同＋32.7％。連結子会社増加や固定費削減により増収増益。
○海外関連事業…売上高は前年同期比＋14.9％、営業利益は同△29.2％。連結子会社増加で増収となったが、中国でのコロナ拡大に伴う段ボール製品の需要低迷の影響で減益。
○その他の事業…売上高は前年同期比△9.3％、営業利益は同△31.2％。運送事業の需要低迷で減収減益。
通期予想は、現時点では不確定要素が多いため、5月の前回予想から変更なし。
■リンテック
〔第1四半期〕
売上高 56,023 （△4.3％）
営業益 3,545 （＋16.9％）
経常益 3,478 （＋24.4％）
当期益 2,421 （＋29.1％）
〔通期予想〕
売上高 240,000 （△0.3％）
営業益 15,000 （△2.9％）
経常益 15,000 （＋3.6％）
当期益 11,000 （＋14.3％）
半導体・電子部品関連製品が順調だったものの、ほかの製品は総じて低迷し減収。利益面は、半導体・電子部品関連の増収効果で増益。
○印刷材・産業工材関連…売上高は前年同期比△5.9％、営業損益は△381百万円（前年同期は197百万円）。シール・ラベル用粘着製品は、国内では食品や医療・医薬関連が堅調だったが自動車や家電、化粧品関連などのラベル需要は低調、海外は米国が堅調だったものの中国やアセアンは低調。自動車用粘着製品やウインドーフィルムは大幅減。イベントの中止などに伴い装飾関連フィルム需要も低調。
○電子・光学関連…売上高は前年同期比＋5.4％、営業利益は同＋58.1％。5G関連やパソコン需要増により、半導体関連粘着テープと関連装置、積層セラミックコンデンサ関連テープは好調。光学ディスプレイ関連粘着製品は低調。
○洋紙・加工材関連…売上高は前年同期比△19.3％、営業利益は同△13.3％。封筒用紙はテレワークによる需要低迷、色画用紙は休園、休校による影響を受け低調に推移。ファストフードやテーマパーク向けの耐油耐水紙も低調。
通期予想は、5月の前回予想から変更なし。
株式会社 紙業タイムス社 「Future9/7号」より
