凸版印刷はこのほど、大因州製紙協業組合、旭興㈱と共同で、不燃石膏ボードを下地として不燃認定を取得した和紙壁紙ブランド『INSHU』を開発した。意匠性の高い全23柄42点(手加工品16点、機械加工品26点)をラインアップし、ホテルや商業施設などの非住宅施設向けを中心に、新たな伝統美を提供していく。写真は施工イメージ。
ホテルや商業施設、公共施設などに使用される壁紙は、準不燃認定もしくは、より安全性の高い不燃認定を受けた材料を使うよう建築基準法に定められている。しかし、日本の伝統美を表現できる代表的な素材である「和紙」は燃えやすく、一般的な壁面下地である不燃石膏ボードと組み合わせて不燃認定を取得するのは難しかった。
『INSHU』は、凸版印刷のデザイン力と大因州製紙の製造ノウハウ、旭興の施工技術を合わせることで、不燃認定の取得に成功。ラインアップ全点が不燃石膏ボードと組み合わせて不燃認定を取得した和紙壁紙ブランドは国内で初めて。
また『INSHU』は、日本古来の和紙原料である「楮(こうぞ)」を使用した、植物由来の環境にやさしい製品であると同時に、手加工品は1枚ずつ手作業を行っているため、色や質感に個体差があり、時間の経過とともに色や風合いの変化を楽しめる。さらに、楮の繊維が光を拡散し、やわらかで奥行きのある空間を生み出す効果もある。製造・販売に当たっては、凸版印刷がブランド企画・デザイン・品質設計を担当し、大因州製紙が製造、旭興が販売を行う。
なお凸版印刷は、今後も高意匠・高機能な建装材の開発を推進していく考えで、また空間の企画から設計・施工までを手掛ける空間演出ブランド「expace」に、『INSHU』をはじめとしたオリジナル製品を展開し、2022年度に関連受注も含め200億円の売上げを目指す。
株式会社 紙業タイムス社 「Future11/16号」より