＝紙パの第2四半期・＝

　前号に続き、紙パルプ関連各社の2021年3月期第2四半期（2020年4～9月）決算を紹介する。以下、連結ベース、単位100万円、％表記は対前年同期比、〈　〉内は前年同期の実績値。

【製紙】

■大王製紙

〔第2四半期〕

　売上高 261,585 （△2.6％）

　営業益 14,125 （＋13.8％）

　経常益 12,244 （＋8.6％）

　当期益 9,348 （△13.6％）

〔通期予想〕

　売上高 565,000 （＋3.4％）

　営業益 32,000 （＋4.5％）

　経常益 28,500 （＋1.4％）

　当期益 14,500 （△24.5％）

　紙・板紙事業は減収減益だったが、ホーム&パーソナルケア事業が増収増益となった結果、連結業績は減収増益となった。当期益の減益は、前期には特別利益として投資有価証券売却益（約68億円）が発生していたことなどによる。

○紙・板紙…売上高は△10.2％、セグメント利益は△27.6％。洋紙は、コロナ禍で需要が減少する中、印刷用紙などの生産調整により販売単価を維持したが、販売量・金額ともに減少。板紙・段ボールは、内需に回復の兆しがあること、また4月から三島工場N7号抄紙機が営業運転を開始して輸出が増加したことにより、販売量・金額が増加。

○ホーム＆パーソナルケア…売上高は＋9.8％、セグメント利益は＋157.0％。衛生用紙は、付加価値ティシュやペーパータオルの拡販が順調に進んだが、ティシュ、トイレットペーパーは前年度に発生した仮需の反動減があったため、全体では販売量・金額ともに減少した。大人用紙おむつは、前年度の消費増税前の仮需の影響により販売量・金額ともに減少。フェミニンケア用品もコロナ禍で市場全体が落ち込み、販売量・金額ともに減少。ベビー用紙おむつは市場縮小により販売量・金額が減少。ウェットワイプは、コロナ禍継続で需要が高止まりする中、除菌ウエットの生産ラインを増設し、販売量・金額ともに伸長。マスクも販売量・金額ともに増加。以上により国内事業の売上高は増加し、海外事業も中国での販売増加などにより増収となった。

○その他…売上高は△4.5％、セグメント利益は＋141.5％。

　通期予想は、5月発表の前回予想を修正した。修正額（単位100万円）は、営業益＋4,000、経常益＋3,500、当期益＋1,500。売上高は、新型コロナの影響が不透明なため据え置いたが、利益は業績の進捗状況などを踏まえ上方修正した。

■北越コーポレーション

〔第2四半期〕

　売上高 103,304 （△24.4％）

　営業益 △3,253 〈7,301〉

　経常益 △678 〈9,557〉

　当期益 1,859 （△71.6％）

〔通期予想〕

　売上高 210,000 （△20.6％）

　営業益 1,000 （△91.1％）

　経常益 5,500 （△64.9％）

　当期益 7,500 （△7.1％）

　新型コロナの影響で大幅な減収となった。また営業益と経常益は、パルプ価格の下落に伴う海外子会社の棚卸資産評価減などにより、8月発表の前回予想を下回ったが、当期益は持分法適用会社の持分変動利益の発生、株価回復による投資有価証券評価損の戻入、海外子会社での法人税等の還付発生などにより、前回予想を上回った。セグメント別の売上高（内部売上高除く）と利益は（いずれも単位100万円）、紙パルプ事業が売上高91,052（△26.0％）・セグメント損益△3,742（前年同期は6,417）、パッケージング・紙加工事業は売上高8,169（△13.1％）・セグメント損益△5（前年同期は217）、その他は売上高4,082（△6.2％）・セグメント利益218（△36.1％）。

　通期予想は、9月発表の前回予想から変更なし。

■三菱製紙

〔第2四半期〕

　売上高 78,672 （△19.2％）

　営業益 △2,386 〈512〉

　経常益 △2,128 〈483〉

　当期益 △2,365 〈93〉

〔通期予想〕

　売上高 165,000 （△15.2％）

　営業益 △1,000 〈1,976〉

　経常益 0 〈2,696〉

　当期益 △1,000 〈801〉

　新型コロナの影響で印刷・情報用紙やイメージング分野の需要が大幅に減少した。損益面は、固定費削減や原燃料安の効果はあったが、販売量減の影響が大きかった。

○紙・パルプ事業…売上高は△16.7％、営業損益は△1,277百万円（前年同期は126百万円）。国内は印刷用紙、情報用紙ともに販売量・金額が減少し、輸出も減少。欧州子会社も販売量・金額ともに減少。

○イメージング事業…売上高は△23.7％、営業損益は△1,592百万円（前年同期は197百万円）。国内外で旅行やイベントが激減し、写真感光材料やインクジェット用紙の需要が落ち込んだ。損益面では、生産設備の稼働率低下によるコスト上昇も減益要因となった。

○機能材事業…売上高は△15.0％、営業利益は＋14.7％。機能材料、化学紙ともに販売金額が減少したが、利益は固定費削減や原燃料安などにより増益。

○倉庫・運輸事業…売上高は△8.7％、営業利益は△32.8％。

○その他…売上高は△39.8％、営業損益は△35百万円（前年同期は75百万円）。

　未定としていた通期予想については、2Qの業績などを踏まえて算定した。印刷・情報用紙の需要減退や、写真感光材料・インクジェット用紙減少の影響は継続し、需要は緩やかに回復するものの元の水準には戻らないと想定した。業績見通しを踏まえ、配当は中間期見送り、期末未定としている。

■中越パルプ工業

〔第2四半期〕

　売上高 37,400 （△22.0％）

　営業益 △1,940 〈809〉

　経常益 △1,976 〈810〉

　当期益 △2,344 〈531〉

〔通期予想〕

　売上高 80,000 （△15.9％）

　営業益 △1,450 〈2,057〉

　経常益 △1,600 〈1,985〉

　当期益 △2,100 〈919〉

○紙・パルプ製造事業…売上高は△24.1％、営業損益は△2,723百万円（前年同期は162百万円）。新聞用紙と印刷用紙は販売量・金額ともに減少。包装用紙も自動車関連・手提げ袋などの需要減の影響で販売量・金額ともに減少。特殊紙・板紙・加工品等は、壁紙は堅調も板紙・加工原紙の需要減により販売量・金額ともに減少。パルプは世界的な市況軟化で販売量・金額ともに減少。

○発電事業…売上高は＋3.2％、営業利益は＋31.9％。今年は生産本部二塚製造部のボイラー定期検査がなかったこともあり増収増益。

○その他…売上高は△16.4％、営業損益は△58百万円（前年同期は14百万円）。

　通期予想は、8月発表の前回予想を上方修正した。修正額（単位100万円）は、売上高＋4,000、営業益＋1,250、経常益＋1,200、当期益＋1,250。2Qは、コロナ禍での需要落ち込みはあったものの、コスト低減などにより前回発表の損失見込み額を圧縮できた。これを踏まえて通期予想を修正した。

■特種東海製紙

〔第2四半期〕

　売上高 36,663 （△8.0％）

　営業益 864 （＋5.2％）

　経常益 2,177 （＋4.9％）

　当期益 3,057 （＋136.9％）

〔通期予想〕

　売上高 76,000 （△5.7％）

　営業益 1,800 （△37.3％）

　経常益 3,600 （△33.2％）

　当期益 6,800 （＋84.0％）

　当期益の大幅増益は、投資有価証券の売却益を計上したことなどによる。

○産業素材事業…売上高は△6.9％。営業利益は＋39.1％。段ボール原紙とクラフト紙は、日本東海インダストリアルペーパーサプライ向けの売上げが減少し減収。利益は、水力発電の売電事業が前期の渇水による影響の反動に加えて、順調に推移したことなどにより増益。

○特殊素材事業…売上高は△23.3％、営業利益は△48.2％。特殊印刷用紙は2Qに入り、需要は回復基調にあり販売量・金額の減少幅は縮小傾向。一方、特殊機能紙は経済活動停滞の影響で販売量・金額が減少。利益面は、原材料安や経費削減効果はあったものの、売上高が大きく減少したことなどにより減益。

○生活商品事業…売上高は△8.2％、営業利益は＋59.0％。ペーパータオルは販売量が大幅に増加。トイレットペーパーは業務用が低調で、販売量は大幅減。利益は、原価低減や固定費削減により増益。

○環境関連事業…売上高は＋46.6％、営業損益は△81百万円（前年同期は△53百万円）。駿河サービス工業が連結対象となったこと、土木工事の完成高が前年同期を上回ったことなどにより増収となった。

　通期予想は、9月発表の前回予想から当期益を上方修正した。修正額は＋2,800百万円。11月の取締役会で、日伯紙パルプ資源開発の全保有株式を2021年3月末までに同社に売却することが決まり、その売却益約40億円が、期中に特別利益として発生するため。

 

株式会社　紙業タイムス社　「Future12/7号」より