SDGsやESG投資の普及により、国産のFSC認証木材を使用した製品の採用が全国で拡大している。
国際的な森林認証制度「FSC」の普及啓発を行うFSCジャパン(日本森林管理協議会)によれば、カインズ、デニーズ、シャネル、きじまなどの異なる業種で国産FSC認証材を使用した製品の採用が進んでいる。
世界の森林破壊が問題視される中、日本は森林率世界2位の森林大国でありながら、木材自給率は36.6%にとどまり、日本で消費される木材の多くは海外からの輸入に頼っている。また、森林の生物多様性や人権への配慮を確認する上で一つの目安となるのが森林認証だが、海外からの輸入木材を原材料とした製品に比べ、国産木材を使用した製品では普及が遅れていた。しかしここ最近、その状況に変化の兆しが見えてきた。その一例が大手ホームセンターのカインズだ。
カインズは、昨秋グランドオープンしたカインズ朝霞店で、中国地方の国産FSC認証ヒノキと杉を使用した針葉樹合板の導入を開始。国産FSC認証材を使った針葉樹合板のホームセンターへの導入は日本初となり、今後は他の店舗でも展開される予定。
また大手飲食チェーンのデニーズでは、昨夏から甲府市内の店舗で、「やまなし森の紙推進協議会」が山梨県産FSC認証材を使用して製造するFSC認証紙ストローの導入を開始した。デニーズは2018年より、ドリンクバーのプラスチック製ストローを撤去し、要望のある顧客へは生分解性プラスチック使用のストロー(PLA ストロー)を提供していたが、国産FSC認証紙ストローの導入は日本初の事例となる。
高級ファッションブランドのシャネルの国内店舗でも、山梨県産FSC認証紙ストローが導入されており、またシャネルのオフィスでは、コピー用紙はすべて山梨県産FSC認証材を原料とするコピー用紙を使用している。このほか、神奈川県の和食チェーン、きじまでも山梨県産FSC認証紙ストローや山梨県産杉箸を導入しており、山梨県産FSC材の活用の場が多方面に広がっている。
株式会社 紙業タイムス社 「Future2/1号」より