丸紅と、出版大手3社の講談社、集英社、小学館は、デジタルトランスフォーメーション(=DX)の活用による出版流通改革を目指し、年内の新会社設立に向けて協議を開始する。
丸紅は、3社を含む出版界と長年にわたる取引関係を構築しており、また他業界でのサプライチェーン改革の実績もある。この実績を活かし、返品率改善など出版流通の課題を解決していくため、丸紅と3社は、共同で新会社を設立して新たな取組みをスタートさせる。主な取組みは次記の通り。
・AIの活用による業務効率化事業
書籍・雑誌の流通情報を網羅的に把握し、AIの活用により配本・発行を初めとする出版流通全体の最適化を実現することで、返本などの経済的損失を軽減する。
・RFID活用事業
アパレル流通業界や図書館業界で大きな効果が実証されているRFID、いわゆるICタグに埋め込まれた各種情報を用いて、在庫や販売条件の管理、棚卸の効率化や売り場における書籍推奨サービス、万引き防止に至るまでのシステムを構築し運用することを検討する。
4社はこれらの取組みにより、書籍・雑誌配送量の最適化と、返品率の改善を目指す。また、できるだけ多くの書店・販売会社・出版社に新サービスを利用してもらいたいとしており、「新サービスから生まれる利益を関係各社に広くシェアすることで、1店でも多くの書店、1社でも多くの出版社、そして読者の利益に資すると確信している」と述べている。
株式会社 紙業タイムス社 「Future6/7号」より