シンプルでありながら、一度見たら忘れられないキュートで個性的なキャラクターをモチーフに、デスク上で活躍する文具やグリーティングカード、モビールなど、実用性のあるラインナップを展開。製品を手にした人たちが自らの手を動かしてつくり、アレンジを加えることで、既製品にはない愛着を持つことができるのも、同社製品の魅力です。
1975年生まれ、群馬県出身。京都市立芸術大学デザイン科卒業。
(株)コトに入社後、ゲームデザイナーを経て、大人の工作インテリア「パイプロイド」を考案。
企画・デザインから製造・販売までを手がけ、同製品で2007年グッドデザイン賞を受賞。
2009年に独立し、妻である恵理さんとともに、(株)トゥエルブトーンを設立。
トゥエルブトーンは、ご夫婦である角田崇さん、恵理さんという2人のデザイナーによって、紙や木を素材とするオリジナルアイテムを企画・製造するデザイン・カンパニー。崇さんはキャラクター作品を、恵理さんはモビール作品を中心に、ユニークで愛らしい新作を発表し続けています。社名は、音楽を構成する「12の音階」に由来。たった12種類の音の組み合わせによって無限の表現を創りだす音楽と同様に、無駄を省いたシンプルな素材と技法を用いて、見せかけではなく、物事の本質をとらえた作品づくりをめざす姿勢を表現しているそうです。
京都にある電子ゲーム・電子教育機器やゲームソフトウェアなど、さまざまなエンターテインメント関連機器の企画・開発・製造を行う株式会社コトで、ゲームデザイナーとして活躍していた角田崇さん。当時、同社では、紙をパイプ状にする専用ローラーと穴あけパンチをセットにした工作キット『ひねもすキット』を販売しており、角田さんは紙パイプを組み合わせたフィギュアを自作し、個人的に楽しんでいたそうです。そんななか、角田さんのつくった作品が上司の目にとまり、社内から高い評価を得たことで製品化が決定。『パイプロイド』と名付けられた工作キットは、国立新美術館ミュージアムショップをはじめ、さまざまな展示会で好評を博したことでアートシーンの注目を集め、海外を中心に爆発的ヒットを記録。パイプロイドはその後も成長を続け、(株)コトの成長事業となっています。独立した現在も、角田さんがデザインを担当している新作があるそうです。
紙を丸めた複数のパイプをガイドに沿ってハサミで切り、あらかじめくり抜かれた穴にはめるだけで、手のひらサイズのかわいい紙フィギュアが完成。現在、(株)コトで販売されている「パイプロイド」は、キャラクターズ、アニマルズ、フレンズの3シリーズ、合計34種(2015年5月末現在)。
(株)コト「パイプロイド」HP/http://piperoid.jp/
『パイプロイド』は外国人に人気が高く、「辞書に載っている褒め言葉はすべて聞いた(笑)」(角田さん)というほどの称賛を受けることに。その背景には、「穴の開いた紙パイプを組み立てるだけでおもちゃになる」という発想自体が日本ならではのもので、日本人の特長でもあるものづくりの緻密さが評価された結果だと、角田さんは感じているそうです。
また、トゥエルブトーンの製品では、「サプライズ」も重要な要素なのだとか。『PLAY-DECOgreeting』は、同梱されているグリーティング用の封筒に入れてメッセージカードとして送ることができるのと同時に、木枠カードから抜き取ったアルファベットを組み立てるとロボットにもなるという2つのサプライズが隠されています。
トゥエルブトーン作品に使用されるのは、「紙」や「木」などの天然素材。安価で、折る、曲げる、切る、着色するといった加工性に優れた「紙」と、プロダクトの強度を支える「木」を組み合わせることで、インテリアとしての楽しさと実用性を備えています。それらはすべて、ノリもハサミも不要。手が汚れたり、ノリの乾きを待つストレスを省くことで、手軽に工作を楽しんでほしいとの思いが込められています。
また、フィギュアの表情など、紙製のパーツは専用サイトからダウンロードできるサービスも。思い思いにカスタマイズすることで、無限の楽しさとクリエイティブ性を引き出すこともトゥエルブトーンの狙いのひとつです。
トゥエルブトーン作品のコア・ターゲットは、20~30代のビジネスマン&OL。ステーショナリー機能を備えた製品も多く、デスクまわりを楽しく、賑やかに彩るアイテムとして人気を博しています。単に機能性のみを追求したものでないだけに「それ、かわいいね」、「これ見て!」など、自然と会話が生まれるのだとか。コミュニケーションの種となるデザイン性も、製品の大きな特長のひとつです。
現在、北米と欧州で販売代理店に委託し、角田さんはそれ以外の地域からの受注を担当。今後はさらに広く世界に向けて、トゥエルブトーン製品を発信していくことが目標だそうです。また、オリジナル・キャラクター『PLAYーDECO』は、絵本やアニメーション化を進める計画もあるとか。
そして「何よりも、一人でも多くの方に工作を楽しんでほしいと思っています。自分の手をかけて作ったものは、愛情の注ぎ方が変わってくるからモノを大切にするだろうし、その苦労を知ることでつくり手へのリスペクトも生まれる。モノが溢れかえる時代だからこそ、モノの価値を見直すきっかけとなる製品をつくり続けていきたいと思っています」と角田さん。工作を通して育まれた創造力が、社会に小さな変化を与えるかもしれません。
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PLAY-DECO
character stationary
「POSTMAN & WAGON」プレイデコキャラクターのステーショナリーシリーズ。ワゴンには、名刺などのカードや小物を入れることも。
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PLAY-DECO
character & vehicleキャラクターの頭や手足、タイヤやプロペラが可動式なので、さまざまなポーズが楽しめる。
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PLAY-DECO
BROWNIE/CITRONメモ、ペンホルダーとして、さらには付箋やクリップなどの小物入れなど、デスクまわりで重宝するアイテム。
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PLAY-DECO
BLANK & MIGHTYスマートフォンを立てたまま充電できる二体のロボット。紙製の顔は差し替えることができる。
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PAPER DECORATION
「POLLENS」「FLYING CAT」ストーリー性のあるモビール。そのほか、テナガザル、鳥、羊をモチーフにした製品も。
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STICKY NOTES
「PIGEON」折り曲げることで、表情をつけることのできる直立式の付箋紙。「CAT」「BLACK CAT」「MONSTER」の計4種。