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海外情報

2026/02/24

紙類海外動向レポート2026年第12号 2026年3月

海外情報トピックス

米国;International Paper DS Smith 買収後の事業を2社の独立企業に分割
2025年1月のIPによるDS Smith買収は、世界の段ボール・段原紙市場での規模と競争力を高めることを主目的としたものであった。
買収による新生IPグループの、段原紙生産能力は約1,600万トンとなり、約1,700万トン規模のSmurfit WestRock、
更にアジアで拡大を続けるナインドラゴンと並び、「三強」の一角を占める体制が整った。

欧州域内では、北アフリカ~南欧を中心に拠点を持つIP(段ボール工場22~23カ所、段原紙48万トン)に、欧州主要市場で、
150カ所超の段ボール工場と360万トンの段原紙能力を有するDS Smithが加わることで、地理的補完関係が強く、シェアの重複も限定的であった。
また、段ボール加工に対して自社内の原紙供給が相対的に不足していたDS Smithにとって、
IPの北米からの段原紙供給が可能になる点も、大きなシナジー要因と目されていた。

しかし、ECの承認条件として、IPは欧州の段ボール工場4カ所とシート工場5カ所の売却を迫られたうえ、その後の欧州市況は低迷が続いた。
その結果、当初期待された「北米から欧州への原紙輸出+欧州での垂直統合」のビジネスモデルは十分に機能せず、収益改善は想定を下回った。
2025年第3四半期には約11億ドルの純損失を計上し、期待されたほどの統合シナジーは現れていない。

こうした中でIPは、北米と欧州・中東・アフリカ(EMEA)では市場環境や構造変革のスピードが異なり、
一体運営よりも地域ごとに経営資源を集中した方が成長機会を最大化できると判断し、
グループを北米とEMEAに特化した2つの上場会社に分割する方針を打ち出した。

北米側は現IPの社名を継承し、IPとDS Smithの北米資産を集約する。
一方、EMEA側は新社名の包材会社として両社の同地域資産を統合し、IP株主へのスピンオフ(IPは一部持分を継続保有)という形で独立させる計画である。
分離は株主承認と当局認可を前提に12~15カ月以内の完了を見込む。
また、統合後のIPは北米で約180万トンの段原紙生産能力削減や、リバーデール工場の非塗工上質紙から再生段原紙への転抄など、
北米段ボール事業への集中とスリム化を進める一方、欧州では旧DS Smithのシート・段ボール工場5カ所をPalm社に売却するなど、
地域別に事業ポートフォリオを再構築している。

このようにIPは、世界市場の過当競争と地域間の需給ギャップが拡大する環境下で、
規模の維持よりも「地域特化・選択と集中」による収益力回復と持続的成長を図ろうとしている。


トルコ;Eren Holding 英国のBM Packagingを買収し 欧州市場で段ボールの一貫生産体制を構築

トルコのコングロマリットEren Holdingは、オランダの子会社Nova Paper & Packagingを通じて、英国の段ボールメーカーBM Packagingを買収した。
Erenは紙・包装分野を中心に多角的な事業を展開、トルコでは再生段原紙メーカーのModern Karton、段ボール加工のModern Ambalajを傘下に置き、
原紙から段ボール製品まで一貫したバリューチェーンを構築しているが、今回の買収により、
この統合モデルを英国市場にも拡張、英国および欧州市場で進める再生段原紙事業の垂直統合戦略の一環と位置づけられる。

英国において、Eren Holdingは2021年にUPMから新聞用紙工場を取得、これを再生段原紙工場に転換するプロジェクトを進行中である。
年産75万トン規模の再生段原紙は2026年第1四半期中に稼働を迎える予定である(計画当初は2024年中の稼働予定だった)。
今回買収のBM Packagingは、このShotten工場から約107kmという近距離に位置し、大型段ボールやオーダーメイド段ボール、
ダイカット包装など高付加価値製品を製造しており、Shotten工場で生産される再生段原紙の優先的・安定的な供給先として機能しうる存在となる。
即ちErenは、Shotten工場での増産によって、欧州市場の供給過多リスクが高まるなか、自社グループ内において確実な需要を確保し、
原紙から加工製品までの一貫供給体制を英国でも構築することにより、市況軟化局面における収益の安定性と競争力の維持を図る意図がある。



北米市況(1-2月度)

【新聞用紙】
2025年の北米新聞用紙需要は85.5万トン(前年比15%減)、生産は166.6万トン(同19%減)と縮小が続いている。
Domtar/Grenada、White Birch/FF Soucy、Thunder Bayの停止により生産能力は約28%減少し、
稼働率は2025年83%、2026年は85%への上昇が見込まれる。
海外市場の需要減少で、北米からの輸出が年後半は減少し、昨年度の輸出比率は50%となった。
2026年以降も需要は減少が予想されるが、原燃料高騰等により価格の引き上げは不可避であり、昨年末の$50の値上げに続き、
2026年3月から米国向け$50-、カナダ向け$70-の再値上げが打ち出された。
今後は現在一時停止中のKruger/Corner Brook、一時停止から今は再開したKap Paper/Kapuskasing工場の動向等も、稼働率や価格の維持の鍵となろう。

【上質紙】
2025年の北米上質紙出荷は410万トン(同6.6%減)、輸入は13.9%増と、輸入増が国内の低調な需要を部分的に補った形である。
IPやPixelleの設備停止などで供給は引き締まり、稼働率は平均90%と前年から改善した。
追加関税発動後は、輸入減と在庫一巡を背景に、値上げ環境が整い、Domtar、Sylvamo、PCAなど主要メーカーは2~3月出荷分で3~9%の値上げを発表した。
北米は世界的にも高価格市場であり、2026年も堅調な需給を背景に、年後半に更に$40程度の値上げが期待される。

【コート紙】
2025年の上質コート紙需要は180万トン(同10%減)、中質軽量コート紙も69万㌧(同8%減)となった。
輸入比率は上質コート紙34%、中質軽量28%となり、メーカー稼働率はそれぞれ86%、85%まで回復した。
しかし、構造的に需要減少は変わっていない。昨年初は関税懸念による輸入積み増しがあったが、以降は荷動きも鈍化し、在庫調整が続いた。
秋以降は輸入上質コート紙が先行して7~15%の値上げを行い、国内メーカーも追随、概ね$20~40の値上げとなった(中質軽量は据え置き)。
北米のコート紙市場の価格は世界的に高水準であり、今後トランプ関税が最高裁により違憲と判断された場合も、
輸入シェアは増えることはあれ、減少することは考えづらい。
2026年は上質・中質軽量とも価格は概ね横ばい、稼働率は上質が80%台前半、中質軽量が70%台後半で推移すると予想される。

【中質紙】
2025年の非塗工中質紙需要は134万トン(同7.3%減)、北米メーカー出荷は同8.5%減となり、稼働率は74%まで低下した。
年初の関税懸念で輸入在庫が積み上がったが、その後は調整局面が続いている。
White Birch/FF Soucy工場の停止で、本年末には稼働率が70%台後半まで戻ることが期待されるが、80%台の回復には更に20万トン程度の追加削減が必要である。
高白色中質紙では、Domtar、Kruger、NORPACなどが3月から米国$50-、カナダ$70-(最大8%)の値上げを表明しており、実現すれば2022年以来の上方修正である。
北米メーカーの能力削減は余地が少ないが、当面は需給状況に応じた生産調整が、価格維持には不可欠となる。

【段原紙】
2025年の米国段ボール実出荷は、前年比1.8%減で、2015年以降最低水準となり、2021年からの累計では10%超の減少である。
需要低迷を受け、2025年2月以降に段原紙は約380万トン(能力の約9%、主にKLB)の大規模減産が行われ、
段原紙の生産は合計3,608万トン(4.5%減)、稼働率は91%超まで回復した。
これを背景に、2025年初の$40-の値上げ後は横ばいが続いていたが、IPやPCAなどが本年3月以降出荷分のライナー、中芯、白ライナーにつき$70-の値上げを発表している。
一方で、世界的な供給過多や北米KLB需要の減少傾向から、2025年のKLB輸出は1~11月で同11.7%減となっており、特に中国向けは大幅減となった。
今後は北米内需と輸出動向の両面を睨みつつ、北米メーカーの稼働率と価格水準の維持が課題となる。


欧州市況(1-2月度)

【新聞用紙】
1月に入っても市場の勢いは戻らず、欧州市況は前四半期同様の勢いで推移している。
フランスでは小幅な値下がりが見られるが、これを市況の悪化というよりも横ばいでの安定との受け止めが多い。
需要は依然として低迷しており、供給過多と生産コスト上昇が続くなか、価格は下押し圧力が続いている状況。
スペイン/Papresa工場の売却、スロベニア・Vapap工場の操業停止など、構造的な動きも依然として続き、新聞用紙産業の将来に対する不透明感は更に強まっている。

【非塗工上質紙】
1月の市況は比較的堅調で安定して推移した。
Navigatorの値上げ発表をきっかけに、他メーカーも相次いで値上げに動き、サプライヤー全体で価格引き上げの方向性が明確になった。
APPも遅れて値上げを表明し、供給側の姿勢は強気である。
しかし需要自体は力強さを欠き、ユーザーの在庫も潤沢で、このような値上げの取り組みが継続できるかどうかにつき、市場で懐疑的な見方も多い。

【塗工紙】
1月の価格水準に大きな変化は見られず、おおむね堅調ではあるものの、一部の市場では依然として安値輸入品の流入が続いており、
とりわけポーランドなどで大幅なディスカウント取引が確認された。
このような動きが他市場へ波及することが懸念されるが、メーカーの多くはパルプ価格や海上運賃の上昇を背景に、価格の引き上げ姿勢を強めている。

【段原紙】
クラフトライナーの価格がドイツ、フランス、イタリア等主要市場で一斉に下落、全体的に軟調な展開となっている。
一方、英国では下げ幅は比較的小さく、市場によって動きはまちまちである。
テストライナーも、昨年来の新増設による供給過多の状態が続いており、ほぼ欧州全域で価格は下落している。
このような市況にもかかわらず、Humburger Container, Pro-Gestなどの有力メーカーが、2月から€100-の大幅な値上げを打ち出しており、
その動きは、今後のクラフトライナーの市況にも影響を及ぼす可能性があるとして、市場の注目を集めている。


中国・香港・東南アジア市況(1-2月度)

【印刷用紙】
中国市場の上質紙、コート紙は、1月は需要低迷と在庫調整で、小幅安から横ばいで推移した。
出版向けの荷動きは見られたが、市況は低調であった。
2月の春節中の荷動きは期待できず、3月に一時的な需要回復と、出版関連入札前のサプライヤーの値上げ意向から、小幅な反発の可能性がある。
一方で、需要に根本的な改善は見込まれず、入札価格も低水準での結果が予想されるため、その後は再び下押し圧力が強まると懸念される。
2~4月は春節を挟んで、緩やかながら、上げ下げの振れが大きい展開を予想。

香港市場では、中国メーカーが12月分から約$30の値上げを発表し、上質紙でAPRILは約$20の値上げを実現したが、
大口入札では依然低価格での対応が見られ、値上げが一般品の市場価格に浸透するには時間が必要である。
またコート紙は、香港では、APPが1月分から$50-の値上げを打ち出し、2月初旬までには約$20が妥結し、残りは交渉が継続となった。
しかし春節期にかかり、非需要期となっており、決着に更に時間が必要となる見通しである。
一方、紙商では依然として値下げによる販売も見受けられ、メーカーの値上げがエンドユーザーにまで十分に浸透する環境とはなっていない。

シンガポール・マレーシア等の東南アジア市場でも、1-2月の上質紙の需要に回復が見られず、荷動きは低調に終始した。
パルプ価格は更に上昇の動きあり、APP/APRILは年始以降も$20-30の値上げを打ち出している。定期ユーザーは状況の成り行きを注視しているが、
3月には需要も幾分動きも出てくることが期待され、価格の動向が注目される。
コート紙も上質紙とほぼ同様の動きで、1-2月には$10-20程度の値上げが打ち出された。
主要サプライヤーの韓国のメーカーは、自国では総選挙、また主要輸出先の米国ではワールドカップや中間選挙等、堅調な需要が期待されるため、
供給先をそちらに傾斜しており、韓国からの供給は現状ではタイトである。

【板紙】
中国市場の段原紙は、大手メーカーが繰り返し値上げを画策したものの、春節を前に需要が鈍化したことや、
秋口以降手当てした輸入品等の着港も相次ぎ、逆に在庫過多が重荷となってきて、1月度の段原紙価格は、前月から更に大幅な下落となった(ライナー▲11.6%)。
末端では春節前の需要が一部で見られたものの、段ボールメーカーの原紙の購買意欲は、極めて限定的であった。
2月度は春節期間前後の取引は鈍化するため、市場価格にほとんど動きはないと見られる。春節明けには幾分反騰が期待されるものの、
3-4月は季節的に閑散期であり、価格は再度下落基調での推移が予想される。

香港市場では、アイボリーはメーカー主導の値上げがこれまで行われてきたが、旧正月を前に、しばらく目立った価格の動きなく推移する見通しである。
中国の主力メーカーは、生産調整や輸出強化で、中国国内市場の価格の安定を図る意向。
白板紙は、古紙価格が下落しており、市場からは値下げの圧力が強い。
旧正月中はメーカー各社が大幅な生産停止を行ない、休み明けのタイミングで値上げの動きを再開する意向。


【統計】12月「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)
2025年12月の紙・板紙合計輸出は16万6,404トン(前年比14.5%増)、輸入は6万406トン(同0.4%)増)となった。
国内需要は168万5,172トン(前年比0.5%減)となった。
主要品種が軒並み前年比減。


【統計】1-12月 米国紙・板紙輸入
2025年1-12月の米国紙・板紙合計輸入は695万4,246トンで前年比4.7%減となった。
金額は75億2千7万百万ドル(同7.1%減)となった。
欧州諸国、韓国が前年比大幅減、日本からは同急増。

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