海外情報トピックス
*インドネシア政府 森林関連企業に対し森林資源の利用制限を強化
インドネシア政府は、スマトラ島での豪雨災害の被害拡大要因として過度な森林伐採を認定し、森林関連企業への規制を大幅に強化した。
その結果、トバ・パルプ・レスタリなど11社の営業停止に続き、1月20日にはさらに22社の林業企業の森林コンセッションが取り消され、
主にアカシアとユーカリからなる約100万ヘクタールの植林地が実質的に利用制限を受けることになった。
これにより、年間最大約800万BDMT、パルプ換算で約400万トン相当のBHKパルプ供給が失われる見通しであり、
第三者サプライヤーからのチップ調達への依存度が高いAPPやAPRILには大きな打撃となっている。
APRILは第1四半期のBHK生産を15万トン削減すると発表し、ベトナムからのチップ輸入などで対応を図る一方、
グループ会社のBracel(ブラジル)ではパルプラインの一部を溶解パルプ(DP)へ転換しており、その影響も重なって、
グループ全体として製紙用BHKの供給は2026年に年間約100万トン減少すると見込まれている。
このインドネシア発の森林利用制限とそれに伴う供給減少は、アジア、特に中国のBHK(LBKP)市場を一気にタイト化させる方向に働いている。
供給懸念が台頭する中で市況感は「値下がり基調」から「供給不安を背景とした値上げ容認ムード」に転換しつつあり、
APPは世界市場でパルプ価格を20ドル値上げ、Suzanoも中国をはじめとするアジア市場向けで10ドルの値上げを打ち出した。
中国の大手製紙メーカーは、少なくとも上期についてはパルプ価格の高値推移を前提とし、紙・板紙価格へのコスト転嫁を進めている。
ただし、中国港湾の在庫水準は依然として高く、短期的な急騰には至らず、
「先行きの供給不安を織り込みつつも、現状はまだ様子見」という段階にとどまっている。
また、今回の影響は主として広葉樹系のLBKPに集中しており、針葉樹系のNBKPの需給は比較的安定しているため、市場全体というよりは、
LBKPを中心にアジア・中国市場のタイト化と価格上昇圧力が強まっている構図になっている。
*山東晨鳴紙業グループ 紙パルプ工場の生産を再開 アジア市場への影響が懸念
山東晨鳴紙業グループは、市況低迷と過剰設備投資による財務悪化から、
2024年11月には全体能力の7割超(約700万トン)の紙・板紙・パルプ設備を一斉に停止し、中国5工場のうち4工場が止まる異例の事態となった。
その後、2025年9月までに寿光工場で上質紙・コート紙・ティッシュなどがほぼ全面再開し、
南昌工場のコートアイボリー、吉林工場の一部パルプも順次稼働を再開。
2026年3月には、復興が遅れていた湛江工場でLBKP(95万トン)、APMP(18万トン)、非塗工上質紙PM1~3(計約105万トン)、
さらにコートアイボリー(120万トン)が相次いで再稼働し、グループ全体の供給能力が一気に戻りつつある。
とりわけ湛江工場は華南および東南アジア向け輸出の拠点であり、クラフトパルプと非塗工上質紙、コートアイボリーの大規模な供給復帰は、
同地域の紙・板紙市況の軟化要因となる可能性が高い。
これまで晨鳴の停止によって一時的に引き締まっていたアジアの需給バランスは、再び供給過多方向に振れやすくなり、
印刷・情報用紙や板紙分野を中心に価格下押し圧力が強まるリスクがある。
一方で、大口需要家にとっては調達選択肢の拡大と価格交渉力の向上につながるため、晨鳴の再建プロセスは、
アジア紙パルプ市況における「中国発供給サイクル」の影響力の大きさをあらためて浮き彫りにしている。
*フィリピン政府 輸入中芯原紙へのセーフガード導入を見送り
フィリピンでは、国内製紙業界団体PULPAPELの申し立てを受け、2019〜2024年の輸入動向を対象に、
段ボール用中芯原紙(HS4805.19.10/4805.19.90/4805.12.00)に対するセーフガード調査が2025年2月頃から実施された。
中芯原紙の輸入量は2019年の約7.5万トンから2024年には約12.8万トンへ約71%増加し、
とりわけ日本は最大の供給国で、2024年時点で輸入量全体の約半分を占めていた。このため、調査中の暫定措置として、
2025年8月1日から200日間、日本やインドネシアなどからの輸入品に対し、トン当たり3,438ペソ(約60ドル)の暫定セーフガード関税が課された。
しかし約1年の調査の結果、フィリピン関税委員会は、本格的なセーフガード措置を導入しないことを決定した。
国内産業側のデータが不十分で損害の立証ができず、調査に協力したUPPCとBataan2020の2社のシェアも国内生産の約30%にとどまり、
「国内産業を代表する」とは言えないと判断されたためである。
さらに段ボールメーカーなどユーザー側からは、輸入中芯は品質面で国産品より優れており、
本格セーフガードが導入されれば段ボール製品のコスト上昇を通じてインフレを招くとの懸念が示されていた。
結果として、中芯原紙への本格措置は見送られることとなり、暫定セーフガードも終了する。
なお、フィリピンではテストライナー輸入についても別途セーフガード調査が続いており、
同品目は2010年に初のセーフガード発動後、2013年・2016年に延長され、2020年6月に解除されている。
再生段原紙全体では需要拡大に伴い国内生産能力が増強される一方、
輸入も再び増加して国内メーカーの稼働率が約70%にとどまるなど過剰供給感が強まっていることから、
中芯原紙とテストライナー双方で輸入規制の在り方が引き続き焦点となっている。
北米市況(2-3月度)
[新聞用紙]
1月度の北米市場の需要は前年同月比約▲20%の大幅減であるが、複数工場による相次ぐ生産停止(生産能力のおよそ28%)で、
供給環境は急速にタイトとなっており、昨年末の合計$50-の値上げに続いて、3月でも$50-70の値上げが発表された。
今後は海外市場が回復して、メーカーの輸出比率が保たれ、北米市場の需給バランスが維持されるかどうかがカギとなろう。
[上質紙]
1月度の需要は同▲13.2%と、メーカーの生産及び輸入は、ともに低調に留まった。
昨年8月の輸入追加関税の発動後は、主要国からの輸入の減少、国内メーカーの生産停止などにより供給はタイトに推移している。
トランプ関税に違憲との最高裁の判決が下り、今後輸入紙が再び増加の可能性もあるが、各メーカーは春先のメンテナンスの生産休止を睨みつつ、
必要に応じてユーザーへの供給割当など供給制限を行ないながら、慎重に春先の値上げ実気に取り組む意向である。
[コート紙]
1月度の需要は、概ね同▲6-10%の範囲での減少となったが、年間通じて在庫調整に追われ、
特に過去最低のレベルとなった4Qの荷動きの低調さからは、それでも幾分持ち直しが見られる。
現在の主要輸入国に課されているトランプ関税は、税率が幾分減率となるものの、北米市場のコート紙の輸入比率は高く、
これまで過去の生産削減により、ある程度制限があることから、北米メーカーの生産工場にもある程度制限があることから、
関税率の増減が供給に与える影響は限定的と考えられる。
従って、低調な需要の中でも、比較的安定した価格水準が保たれている。
[中質紙]
昨年は通年に亘って在庫調整に追われ、北米市場の年間の需要は極めて低水準となった。
本年も更なる需要の減少が予想される。
市況の安定には生産能力削減以外に方法が見込めないが、これまでの生産削減により、北米メーカーの生産工場の数も既に限られており、
今後も低調な需要が予想されるなか、状況に応じた小規模な生産調整が繰り返されていくと見られる。
[段原紙]
昨年度の米国市場における段ボールの実出荷数は、前年比▲1.8%と極めて低調に終わった。
昨年2月以降、段原紙メーカーは大幅な減産(合計360万㌧以上)を行なっており、供給がタイトとなっていることを受け、
本年3月以降$70-の値上げを発表した。しかし箱需要は相変わらず脆弱であること、
段ボールメーカーの原紙在庫が十分にあることなどから強硬な抵抗を受けており、値上げ実施前には、逆に▲$20-程度の値下がりとなった。
欧州市況(2-3月度)
[新聞用紙]
長期契約で2月の価格は1月から据え置かれたが、需要低迷、生産コスト、特に燃料費の高騰で、今後も値上げ圧力は強い。
Papresa工場(スペイン)売却など業界再編が進み、南欧市場は先行きが一層不透明である。
一時カナダ品の輸入が増加したが、北米各社の生産撤退で、今後は更に減少の見通し。
[非塗工上質紙]
2月は欧州全域値上げ基調で、1月初旬から発表の値上げが、徐々に浸透し始めている。
英国は£40〜60、欧州本土は€50〜70の値上げが実現しているが、まだ一部に留まり、全体の波及には暫く時間が必要。
一方、4月納入以降の発表も各社からあり、Burgoは€50以上、Artic Paperは8〜10%を打ち出した。
[コート紙]
2月の価格は概ね横ばいで推移したが、複数のメーカーで今後の値上げを示している。
Artic Paperは4月から8〜10%、Burgoは€50以上、Sappi Europeは€50、Lectaは8%となった。
生産コストをカバーできておらず、早急な価格回復は必要。
[段原紙]
2月のKLB価格は前月並みだが、一部で下落も見られる。
米国メーカーの減産で供給に制限あり、南欧向けは大きく減少した。
3月では€20〜30下落も予想される。
KLBの代替としてTLBや未晒クラフトへ切替えが進んでおり、KLBは価格下落圧力に苦しんでいる。
中国・香港・東南アジア市況(2-3月度)
[上質紙]
中国市場は高白色品・一般品ともにメーカー価格は安定し、平均価格も前月比横ばいで推移。
しかし春節による生産調整で供給力が落ちる一方、休暇入りで需要は停滞し、休暇明けの荷動きの回復も鈍い状況。
香港市場では、主要メーカーのAPRILが昨年12月、今年3月と続けて20ドルの値上げを打ち出しているが、
大口案件では依然として前年並みの低価格が見られ、中国市況低迷の長期化もあり、市況全体の改善は不透明。
東南アジア市場では、春節明けに在庫をやや積み増す動きが出始めるなか、LBKP価格がさらに上昇していることから、
APPやAPRILなど主要メーカーは前月の20~30ドル値上げに続き、さらに10ドルの追加値上げを狙っている。
[コート紙]
中国市場では市況は概ね安定しているが、平均価格は前月比小幅な下落となった。
春節に伴う需要減退と物流機能の実質停止で取引が低調なうえ、一時的なパルプ価格の反落も価格上昇の動きを抑える方向に働いた。
香港市場ではAPPが1月から50ドルの値上げを表明したが、実際には20ドル程度での妥結を目指す交渉となり、まだ最終決着には至っていない。
中国の需要低迷が著しく、香港市況の本格的な好転には時間を要する見通し。
東南アジア市場の上質コート紙は、春節明け後も荷動きが低調で、市場に目立った活況は見られないなか、
主要サプライヤーである韓国メーカーは自国の総選挙や、W杯・中間選挙などで需要増が見込まれる米国市場を優先しており、
東南アジア向けの供給枠は依然としてタイトな状態が続いている。
[板紙]
中国の段原紙市場は、2月に前月比30~110元/トンの反騰があったものの、前月の急落分を十分には取り戻せず、
月間平均価格ではなお、前月比下落となった。
春節明けの操業に向けて段ボール工場が低水準の在庫を補充したこと、春節前後に段原紙メーカーの操業停止規模が想定以上に大きく、
供給が絞られたことが価格反騰の主因となった。
一方、原料古紙価格はやや下落しており、コスト面からの価格下支えは限定的となった。
香港市場では、アイボリーは旧正月休暇を挟んで大幅な生産調整を行っていたが、需要回復が遅れるなかでマシンの再稼働が行われており、
供給増を背景に値下げ圧力が一段と強まった。
白板紙については、原料古紙価格が底打ちの様相を見せる一方で、需要改善は当面期待しにくく、
メーカー側は生産調整によって価格維持を図る展開が今後も見込まれる。
【統計】1月「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)
2026年1月の紙・板紙合計輸出は12万5,045トン(前年比14.0%増)、輸入は7万594トン(同11.7%増)となった。
国内需要は148万5,677トン(前年比2.1%減)となった。段ボール原紙の数量などが減少。
【統計】1月 米国紙・板紙輸入
2026年1月の米国紙・板紙合計輸入は54万4,239トンで前年比18.6%減となった。
金額は5億5.0千万ドル(同24.8%減)となった。
欧州諸国、韓国が前年比大幅減、日本からは数量で同急増。







