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海外情報

2026/05/28

紙類海外動向レポート2026年第15号 2026年6月

海外情報トピックス

*IPがNORPAC を買収 米国西部市場での段ボール事業で存在感を強化
IP(International Paper)は、
米国紙・板紙メーカーのNORPAC(North Pacific Paper Company)を3.6億㌦で買収することで合意した。

NORPACは、2016年にOne Rock Capitalにより買収された後、
同社唯一の工場であるLongview工場(ワシントン州)において3台のマシンで、
新聞用紙・中質印刷用紙・再生段原紙・クラフト紙(合計約100万㌧)を生産してきた。
収益性を確保すべく、これまで新聞用紙から包装用紙中心に転換を進めており、
本年5月1日を以て新聞用紙生産から完全撤退することが発表されていた。

IPは、Campti工場(ルイジアナ州)やRiceboro工場(ジョージア州)など、
2025年以降年産合計約180万㌧相当の再生段原紙の生産削減を行なっている
(北米全体で行われた同期間における生産削減約380万㌧のおよそ半分に相当)。
IPは買収完了後、NORPAC/Longview工場の新聞用紙生産は休止する一方、
段原紙及びクラフト紙の生産は継続することを明らかにしている。

IPではこれまで、西海岸市場においてはSpring Field工場(オレゴン州)1カ所にのみ段原紙の生産工場を有していたが、
今回の買収は、Longview工場における再生段原紙、及びクラフト紙の生産設備を組み入れることで、
段ボール・包装関連製品に特化した生産基盤を確保し、
現在同社が米国の他の地域で進めている生産能力の削減との整合性を保ちつつ、
成長分野である包装ビジネスに資源を再配分集中する狙いがあると位置づけられる。

*IP 欧州市場における段ボール・紙包材事業の再編成
International Paper(IP)は、DS Smith(DSS)の買収の後(2025年1月完了)、
当初は北米で生産された段原紙を欧州で段ボールに加工するグローバルな垂直統合シナジー効果を戦略の一つとしていたが、
市況悪化・欧州需要の伸び悩み等により、構想は十分に機能せず、現在は北米とEMEA(欧州・中東・アフリカ)を分離し、
それぞれ地域毎独立した組織により、適正規模へ事業を組み替える方向への戦略転換を行なっている。

EMEAでは、(旧)DSSを中心とした資産を統合した新会社を設立、2027年前半までにスピンオフする計画で、
過剰能力・低採算拠点の整理を優先的に進めている。
例えばフランス・ポルトガル・スペインの段ボール・シート工場の同業Palm社への売却計画、
スペインのカタルーニャ州・マドリード近郊の段ボール工場の閉鎖(2025年末)、
さらに2026年にはスペイン3工場(バルス、モンブラン、グリニョン)の追加閉鎖の決定、
英国Launceston工場などの閉鎖協議の開始など、段ボール・紙包材の生産拠点を段階的に削減・再配置している。
また、旧DSSのスロバキア、スロベニア拠点でも機能集約により効率化を進めている。

一方で北米では、約180万トン規模の段原紙生産能力削減、Riverdale工場の非塗工上質紙から再生段原紙への転換、
NORPAC社段原紙工場の取得(上述)などを通じ、不要能力の削減+段ボール・包材向けへ再投資を通じて、
一貫生産体制を組みなおし、競争力強化を図っている。

IPの欧州段ボール事業再構築は、当初のグローバル垂直統合・拡大志向 から、地域ごとに事業規模を絞り込み、
収益性を重視したポートフォリオの再編へと戦略が転換している様子が窺える。
その結果、欧州では余剰・低採算事業を切り離し、将来のEMEA専業会社の収益性を高め、
また北米では、中核市場として選択的な再投資を行ない、持続的な利益獲得体制を整える、
二極構造へ移行が進んでいると思われる。

*Smurfit Westrock 英国・オランダの一部再生段ボール工場の閉鎖に向け協議開始
一方、Smurfit Westrock(SW)も、英国バーミンガムの再生段ボール原紙工場(ライナー・中芯、年産20万トン)と、
英国・オランダの計4カ所の段ボール加工工場について、閉鎖の可能性を前提とした協議を5月15日から6週間かけて実施する。
閉鎖された場合も、英国Townsend Hook工場(年産25万トン)でからの生産出荷に切り替え、
英国・アイルランド市場向けの供給が継続される。
これにより約130人の従業員が影響を受ける見込みで、厳しい市場環境に対応しつつ、
英国での製造拠点を最適化して長期的な競争力を確保することを目的とする。
なお英国では、上記項の如くIPも、コーンウォール州Launceston工場の段ボール工場閉鎖に向けて協議中と伝えられている。

*インド政府 輸入白板紙(アイボリー)に対する最低輸入価格適用を9月末まで延長
インド政府は、バージンパルプベースの多層抄き白板紙(アイボリーボード)輸入品について設定している最低輸入価格(MIP)を、
2026年9月末まで延長した。
対象はHSコード48059100、48059200、48059300、48109200、48109900で、
昨年8月以来暫定的に適用されていたCIFベースの最低価格67,220ルピー(約709ドル)はそのまま据え置きとなる。

MIPはEOU(100%輸出型ユニット)やSEZ(特別経済区)向けの輸入、事前認可・免税輸入スキームの輸入には適用されず、
国内関税区域で販売しないことなどが条件である。

この背景には、中国・チリ・インドネシアからのFBB、SBS、カップ原紙、液体包装用板紙(140~450g/㎡)の輸入急増があり、
インド政府は国内産業保護のため、反ダンピング(AD)および相殺関税(CVD)の導入に向けた調査を進めている。
中国・チリ品については2024年10月からAD調査が行われ、2025年9月にはAD関税賦課が勧告されているものの、
財務省の最終決定はまだ出ていない。
インドネシア品も2025年半ば以降AD調査中であり、さらに2026年3月には中国・インドネシア品に対するCVD調査も開始された。
こうしたAD・CVDの最終発動までに時間を要するなか、インド政府はMIPを暫定的・補完的な保護措置として位置づけ、
最終的なAD・CVD関税が確定するまでの間、過度に安価な輸入を抑制しつつ、不公正貿易の有無を精査し、
国内製紙業界の利益保護と市場安定を図ろうとしていると見られる。

*メキシコ政府 オーストリア・フィンランド・スウェーデン産輸入箱用白板紙に対しダンピングの実態調査を開始
一方でメキシコ政府も、国内大手メーカーであるProductora de PapelとCartones Ponderosaの申立てを受け、
オーストリア・フィンランド・スウェーデン産の輸入箱用白板紙(食品・飲料・医薬品などの包装用途向け)について、
ダンピング販売の有無を調査開始した。
対象期間は2024年8月~2025年7月で、
HS Code 4810.13.07/29.99/32.01/39.99/92.01/99.99に該当する塗工・非塗工の白板紙が対象。

申立てによれば、2022年8月~2025年7月の間にこれら3か国からの輸入量が急増、
低価格販売により国内産業に打撃を与えたというもの。
現在、3か国からの当該品には原則25%の関税が課されているが、ダンピングが認定されれば、
昨年10月から暫定的に適用されている中国産白板紙に対する暫定的ダンピング税(370.2ドル/㌧、実質約60%程度の税率に相当する)
と同程度の追加課税が導入される可能性がある。
なお、中国産白板紙に対するアンチダンピング税の最終決定は、近々行われる見込みとなっている。


中国・香港市況
[印刷用紙]
中国市場の4月度の印刷用紙は、コート紙・上質紙ともに弱含みでの推移となった。
コート紙の月平均価格は前月比▲1.79%、上質紙は同▲1.35%となった。
需要の低迷と在庫圧力から、流通業者からの値下げが多く見受けられ、出版案件の入札が低価格で決着したことも、
市場心理に影響を与えた模様である。
また、輸入パルプ価格は国内在庫販売価格に引きずられ、いまだに下落傾向にあり、
コスト面からの値上げを支えるインセンティブが弱まっている。
今後5月度は依然として軟調な地合いが予想されるが、6~7月には出版需要も徐々に上向いて、販売価格も上昇が期待される。
一方、新増産のマシンの稼働や、需要の脆弱さが続くことから、値上げ幅は限定的にとどまると予想される。

香港市場の上質紙は、APRILが12月/3月でそれぞれ$20-の値上げを実施、4月分でも更なる値上げを検討していたが、
中東情勢の悪化に伴って、需要の一層の低下を引き起こし、値上げは保留となっている。
コート紙は、APPが本年に入り度々値上げの機会を窺ってきたが、旧正月前後の荷動きの低迷から、
以降も値上げの実現には至っていない。
中東紛争の影響による原油価格、海上輸送コストの高騰から、5-6月での値上げ($30-程度)が再度打ち出された。
茂林も5月からの$30-の値上げと供給数量の制限を発表している。

[板紙]
中国市場における段ボール原紙の4月の平均価格は、中芯が前月比▲2.66%、ライナーは同▲0.56%となった。
大手製紙メーカーが、月初までの価格維持の方針を、中旬以降は値上げへと方針を転換したことにより、
市場心理に先高観による前倒し需要を喚起し、月後半は価格にも強含みの動きが見受けられた。
下流の段ボール加工メーカーが、在庫確保に積み増しを行ったこともあり、原料古紙価格は上昇し、
コスト面からも価格上方修正を支えるかたちとなった。
5月度は月前半までは、製紙メーカーによる値上げの意向が維持され、また予定された停機計画により供給力が抑制され、
幾分値上がりも期待されるが、後半からは非需要期に入ることもあり、一転して軟化も予想される。
6月度はそのまま下落が続き、7月は逆に原材料価格の高騰で、価格に反発が見込まれる。

香港市場では、アイボリーは昨年後半以来、生産調整を継続しながらメーカー主導による値上げを図ってきたが、
旧正月を機に停止となっていたマシンの多くが再稼働し、供給が拡大すると、それ以降価格は一転して弱含みに転じた。
白板紙も需要は低迷が続いているが、古紙価格が上昇した影響もあり、価格はなんとか維持されている状況である。


北米市況
[新聞用紙]
北米市場の需要は減少の一方で、供給は生産削減の影響からタイトとなっている。
3月及び1Q累計は需要・生産・輸出がともに前年割れで、特に輸出の減少が顕著である。
かつて5割超の輸出比率は1Qで37%にまで低下している。
昨年9月以降の数カ所の工場での生産削減で、昨年12月と今年3月に各$50-値上げ、
更に5月以降$60-の再値上げを打ち出している。

[上質紙]
上質紙は追加関税で輸入が減少している一方で、北米メーカーの生産停止で供給はタイトとなっている。
パルプ等原材料の価格高騰、更には中東情勢による原油・輸送費の高騰を背景に、
(未実現も含めて)年初来計$100-の価格修正が行われている。
需要自体は前年割れだが、今後も各社予定する定期休止、IP/Riverdale工場のマシン停止(転抄)、
IPによるNORPAC買収後のLongview工場の動向等、依然として供給には不安要因がある。
輸入品は関税問題がなお不透明であるが、北米の価格水準は依然高水準であることから、
北米市場への供給力の補完の意味で、輸入の重要性は今後も続くと予想される。

[コート紙]
コート紙は、広告費・日用品への支出抑制、インフレ懸念から需要減退は続いており、
上質・中質ともに需要は前年比2割弱程度で推移している。
供給面では、Sappi/Somerset工場の生産停止(高板へ転換)に加え、Sappi各工場での電力トラブル発生や、
Billerud工場の悪天候による操業停止等、生産工場が既に限られている北米で、供給はむしろタイトである。
域内・海外メーカーは、2Qに上質コート紙の値上げ($60程度)を発表している。
今後もコスト増を背景として、価格上昇基調が続くと見込まれる。

[中質紙]
1Qの需要は、前年度が関税懸念の前倒しで好調であったことの反動が見られ低調であった。
White Birchの工場停止、NORPACを買収するIPが、今後印刷用紙の切り離しを発表。新聞用紙・上質紙の値上げもあり、
一部高白色中質紙は2022年以来となる$50-の値上げを実施した。

[段原紙]
世界的なインフレと景気の不透明感により、段ボールの実出荷は前年比で減少が続いている。
一方で段原紙メーカーは大幅生産削減で、供給は非常にタイトであり、2Q以降の発表分も合わせると、
値上げ幅は年初以来累計で$100-前後となる。
中東情勢悪化による原油・海上運賃の高騰は、今後も値上げの後押しとなる見込み。
段原紙の輸出は、数量が減少しているが、海外市場向けも値上げが打ち出され、
これまで北米市場に比べて割安だった輸出価格も、引き上げが進んでいる。


欧州市況
[新聞用紙]
安定した推移となった1Qの市況は、中東情勢の影響による原油価格高騰で、メーカー各社はコスト圧迫を余儀なくされ、
4月以降ほぼ全市場で値上げの展開となった。
市場の不透明性を受け、契約期間を短期に切り替える動きが頻繁に見受けられるようになった。

[非塗工上質紙]
2月で価格修正が行われたあと、パルプ等原料のコストをはじめ、中東紛争影響によるエネルギーの高騰で、
コスト上昇分を製品価格に転嫁する動きが加速している。
4月は欧州全市場に概ね40-50ユーロ($45-58程度)の値上げが見られる。
一部のユーザーは、既契約以上の数量をメーカー側に求めるなど、値上げを懸念した動きも見られる。

[塗工紙]
1Qは価格動向も安定していたが、中東情勢の緊迫化で、4月以降概ね40-50ユーロの値上げが見られる。
Sappi Europeも3月半ばから値上げを実施した直後に、4月以降の再値上げ(50ユーロ)を打ち出すなど、
市場の価格先高観に即した価格転嫁を進めている。

[段原紙]
クラフトライナーは、欧州メーカーの生産削減、北米品の価格上昇等によって4月以降値上げが徐々に広がっている。
英・伊市場向けでは、5月へのずれ込みも見られるが、他の市場では最大60ユーロの値上げが実現するところもあり、
市場によって幾分斑模様となっている。
これまで南欧市場におけるシェアが高い北米品は、5-6月分で30-50ユーロの値上げがアナウンスされており、今後も先高観が強い。


【統計】3月「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)
2026年3月の紙・板紙合計輸出は18万3,391トン(前年比0.2%減)、輸入は7万6,012トン(同4.4%増)となった。
国内需要は169万2,955トン(前年比0.9%増)となった。

【統計】3月 米国紙・板紙輸入
2026年3月の米国紙・板紙合計輸入は62万4,226トンで前年比13.1%減となった。
金額は6億4千4百万ドル(同20.3%減)となった。
カナダからが前年比増、フィンランドは同急減。
日本から同2桁減。

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