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海外情報

2026/11/05

紙類海外動向レポート2026年第20号 2026年11月

海外情報トピックス

*米国大手板紙メーカーが米国政府に 中国、マレーシア、トルコからのピザ用輸入板紙に関するダンピング販売の実態調査を要請
米国大手板紙メーカーSmurfit Westrock(SW)とPratt Industriesを中心に、米ピザ箱メーカー団体及び労組が、
中国・マレーシア・トルコからのピザ用箱輸入に対する貿易訴訟(アンチダンピング・補助金)の調査を米政府に申請した。
ピザ箱が不当に安い価格で米国に輸入され、米国ピザ箱産業と労働者に損害を与えている主張。
対象製品は段ボール製のピザ箱全般(完成品・未完成品、組立済み・未組立を問わず)。
2023年以降、これら3カ国からのピザ箱輸入は少なくとも130%増加している。
特にトルコは政府による税優遇、原料価格の補助など不公正な優位を得ていると指摘。
米商務省は申請から20日以内に調査開始を決定し、
米国際貿易委員会(ITC)は45日以内(2026年10月ごろ)に損害または損害のおそれの予備判定を行う見込。
最終判断と関税賦課の可否決定に約1年を要し、2027年後半になる見込み。
関税は、予備判定の日以降の輸入に遡って課される可能性がある。

*欧州:欧州パルプ工場生産停止(休止)
2026年はNBKPを中心に、北米・欧州のパルプメーカーで生産削減が相次いで行なわれている。
(続報)スウェーデンのStora Ensoでは、Skutskär工場のNBSK(L3、能力10万t/年)を恒久的に停止。
今後、約1,900万ユーロの投資を行い、フラッフパルプの生産能力を40万t→44万tへ増強しフラッフパルプ専用工場とする。
フィンランドのMetsä Fibreでは、Joutseno工場で生産調整と一時レイオフ。
Rauma工場(65万㌧)で約2週間のメンテナンス停止。
Kemi工場(150万㌧)で10~11月に約6週間の生産停止(NBKP/LBKP)。
同じくフィンランドのUPMでは、Kaukas NBSK工場(70万㌧)で約6週間の市況要因による停止。
PietarsaariのNBSK・バーチパルプ工場(80万㌧)は、10月に約4週間停止の可能性。
その他、ドイツのMercerのRosenthal NBSK工場(能力36万t/年)で、9月にメンテナンス・市況要因で一時停止となる。
これら一連の措置は、BSK市場の過剰供給と価格低迷、原木・エネルギーコスト高による収益性の悪化が背景にある。

*Nine Dragon, 中国で化学木材パルプ240万トン増強へ 
Nine Dragons Paper(玖龍紙業)は、中国4工場で2028年第2四半期までに合計240万㌧/年のパルプ能力を新設する。
2026年第4四半期に天津工場で50万㌧を稼働予定で、続いて2027年には広西・北海工場で80万㌧、広東・東莞工場で50万㌧、
2028年には江蘇・太倉工場で60万㌧を稼働する予定としている。
東莞では新設する62万㌧のクラフトライナー設備との一貫生産を計画している。
同社は2026年9月にも重慶工場で化学木材パルプ70万㌧を稼働。
2026年6月末時点で中国国内の紙・板紙生産能力は2,255万㌧、パルプ生産能力は723万㌧に達している。
中国では米国やニュージーランドでの設備閉鎖による海外供給減少に加え、
米国産クラフトライナーに対する10%の追加輸入関税が継続しており、
Nine Dragonsは原料パルプからクラフトライナーまでの一貫生産体制の拡充を進めている。


主要海外市況(9-10月度)

中国・香港市況
[印刷用紙]
中国市場のコート紙・上質紙は、9月はいずれも価格が下落した。
コート紙は荷動きが鈍い中で一部成約価格が緩み、輸出減少や内需競争の激化、卸商の慎重な在庫補充が相場を押し下げた。
上質紙も月初の出荷優遇で成約価格が下がり、受注不振による在庫圧力から山東・広東・江西で一部マシンが停止した。
出版向け入札の開始が遅れ、両品種とも生産量が減少する一方、在庫日数は増加に転じている。
10~12月も需要喚起は限定的で軟調が続き、10月を高値に12月にかけて下落する見通し。
香港向け上質紙はAPRILが約7割のシェアを占め、紙商が在庫削減を優先していることから、
市況は比較的安定している。
ただし、中東情勢や華南顧客の他国への生産移管により香港域内の需要縮小が一段と進み、
国慶節期の華南市場も需要減少から価格が下落している。
コート紙もAPPが7割以上のシェアを持つため相場は安定しているものの、需要は縮小傾向にある。
中国本土ではコスト上昇下でも需要低迷と国慶節の長期休暇により市況が一段と軟化しており、
香港市場でも先行きの価格維持には慎重な見方が必要となる。
東南アジアでは、オフィス・商業印刷向け需要の低迷と域内の供給余力を背景に、
上質紙を中心として軟調な市況が続いており、中国品を中心に価格競争が続いている。
メーカーは原料コストの上昇を背景に価格維持や値上げを試みているが、
需要家の抵抗は強く、大口案件では引き続き個別値引きなど柔軟な販売対応がみられる。

[板紙]
中国の段原紙は、9月に中芯・ライナーとも価格が下落した。
月初は需要不足と在庫圧力から値下げが進み、月中には大手メーカーがマシン停止と値上げを発表したものの、
需要回復は弱く、市場全体の押し上げには至らなかった。
段ボールメーカーの調達も必要量の補充が中心で、中小メーカーでは安値出荷が続いた。
10月上旬は休転と生産減、大手の値上げにより反発が見込まれるが、下旬は横ばいとなる見通し。
11月は「双11」やクリスマス向け需要で強含む一方、12月は需要減速に伴い再び下落が予想される。
香港向け板紙では、アイボリーは中東情勢の影響による需要低迷から夏場に再び値下がりしたが、
メーカーが国慶節後の値上げを打ち出したことで、足元では下落に歯止めがかかっている。
白板紙は古紙価格上昇を背景とする値上げ後に安定したものの、夏場の需要減少で若干下落し、
その後は市況を維持している。
段原紙のライナー・中芯は古紙価格に連動する展開が続き、メーカー収益は回復傾向にある。
中国系メーカーは採算改善を図りつつ、需要動向を見ながら慎重に価格維持を進める局面にある。
東南アジアの板紙市況は、中国市場の供給過剰と価格動向に引き続き左右されている。
中国の段原紙は9月に中芯・ライナーとも下落し、メーカーの休転や値上げ発表後も需要回復は限定的であった。
10月上旬は生産調整により一時的な反発が見込まれるものの、域内ユーザーは在庫圧縮を優先し、
調達は必要量を中心とした慎重な姿勢を維持している。


北米市況

[新聞用紙]
北米新聞用紙は、9月1日付の$60/㌧値上げが概ね全面浸透し、米東部45g価格は$980/㌧となった。
8月の米国需要は前年同月比で増加したものの、値上げ前の在庫確保を含む動きとみられ、
年初来では需要・生産・出荷とも減少基調が続く。
2026年初からの工場閉鎖・転抄で約50万トンの供給能力が削減され、需要減を上回る供給収縮が価格を支えている。
2026年中は現行価格の維持が基本線だが、第4四半期以降に需要が基調的な減少へ戻るかが焦点となる。

[印刷用紙]
北米の印刷・筆記用紙需要は8月に5~7月平均を下回り、構造的な需要減少が続いている。
9月価格は全品種で横ばいとなり、2026年中の追加値上げは想定されていない。
夏場は関税導入前の前倒し調達と輸入増加が短期需給を歪めたが、関税対象外となる主要貿易フローも多く、
価格支持効果は品種ごとに限定的である。
2027年は需要減少幅の拡大と輸入圧力の継続が見込まれ、供給調整の進展が市況を左右する。

[上質紙]
北米上質紙は、8月の国内メーカー出荷と稼働率が低下する一方、在庫は増加し、輸入も前年を大きく上回った。
ブラジル品は追加関税を背景に流入が鈍化したものの、第2・第3四半期の輸入比率は過去のピークを上回る高水準となる見込みである。
9月価格は横ばいで、年初の値上げは能力削減、コスト上昇、輸入品の値引き余地縮小に支えられたが、
夏場に積み上がった在庫が第4四半期の需給引き締まりを抑えている。
需要減も続くため、次の大規模な能力削減や値上げは2027年後半へ後ずれする見通しである。

[コート紙]
北米コート紙は9月も価格横ばいとなった。
カナダ産コート中質紙への50%関税を前に出荷と稼働率が上昇したが、対象は一部の重量品に限られ、
8月の高稼働は実需回復より前倒し調達の影響が大きい。
コート上質紙でも米加双方の関税措置が導入されたが、免除・還付の余地があり、
需要の顕著な増加にはつながっていない。
今後は前倒し終了と需要減によりコート中質紙の稼働率低下が見込まれ、転抄または抄紙機閉鎖のリスクが残る。
一方、コート上質紙は輸入比率の低下が進めば、稼働率が緩やかに改善する可能性がある。

[中質紙]
北米中質紙は、高白色品とSC紙で市況の二極化が続く。
高白色品では6~7月の値上げが浸透し、9月価格は前年を上回ったが、SC紙は供給余力が残り、
価格は前年並みにとどまった。
8月需要は前年を上回ったものの、前年後半の低水準との比較による面が大きく、年初来では減少している。
主要なカナダ品の大半は新たな関税の対象外であり、関税による需給改善効果も限定的である。
2027年に稼働率を維持するには追加の能力削減が必要で、SCメーカーの転抄・設備退出が市況改善の前提となる。

[段原紙]
北米段原紙は、9月に未晒クラフトライナーが$70/ショートトン、中芯が$100/ショートトン上昇し、
2026年に入ってからの値上げが定着した。
2024年末以降の大幅な能力削減で国内需給が引き締まる一方、米国KLB輸出は各地域向けに減少し、
供給は国内市場へ振り向けられている。
回収古紙、天然ガス、軽油などのコスト上昇も大きく、値上げの相当部分はコスト吸収に充てられる。
年末から2027年初は買い手側の交渉や適用遅延で価格横ばいが基本線だが、今後の新増設が計画を下回れば、
高稼働・タイト需給が長期化する可能性がある。


欧州市況

[新聞用紙]
ヨーロッパの新聞用紙価格は、第4四半期(Q4)2026年の価格交渉が進められる中、9月も安定した動きを見せた。
しかし、Palm社がキングスリン工場での新聞用紙生産を停止した決定により供給が限られることから、
価格上昇が見込まれている。
さらに、輸送コストの上昇やエネルギー価格が上昇する可能性も、メーカーにとっての追加のコスト圧力となっている。
需要が弱いことから、購入側は値上げに抵抗しているものの、それでも今後さらなる価格上昇が予想される。
9月時点で、45gsm新聞用紙の価格はトン当たり610~665EURであった。

[上質紙]
ヨーロッパの上質紙価格は、9月もほぼ横ばいで推移した。
一部メーカーは9月からの値上げを発表したものの、夏季休暇後に受注は改善したが需要は依然として弱く、
予定していた値上げを支えるには至らなかった。
一方で、エネルギー・輸送・薬品などの生産コストは、中東における紛争の影響もあり大幅に上昇し、
メーカーの利益率への圧力が高まった。
それにもかかわらず、一部メーカーは、欧州内およびアジアの競合他社に顧客を奪われることを避けるため、
現行価格での販売を継続している。

[塗工紙]
ヨーロッパの塗工紙価格も9月はほぼ横ばいで推移した。
夏季休暇後の需要回復は期待より弱く、受注はわずかに改善したものの、値上げを支えるには不十分であった。
契約価格はほぼ安定している一方、欧州域外のサプライヤーは、市場シェア拡大のため安値の価格提示を続けている。
対照的に、欧州のメーカーは2026年第4四半期に向けた値上げ計画について顧客への通知を開始している。
例えば、Sappi Europeは、ヨーロッパで販売されるすべての塗工紙について、
10月12日以降の新規受注および納品分に対し5~7%の値上げを発表した。

[段原紙]
UKL(未晒クラフトライナー)の価格は大幅に上昇している。
2026年1月から9月にかけて、ドイツおよびフランスにおけるクラフトライナー価格はトン当たり200EUR上昇した。
クラフトライナーの高価格と供給制約を背景に多くの顧客が、
テストライナーなどの代替品を用いてUKLを置き換えることを検討している。
しかし、市場関係者の一部は、ヨーロッパにおける代替の余地が多くなく、今後置き換え数量は限られているとみている。


【統計】8月「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)
2026年8月の紙・板紙合計輸出は14万7,872トン(前年比18.1%増)、
輸入は6万765トン(同2.9%増)となった。
国内需要は139万2,342トン(前年比2.5%減)となった。


【統計】8月米国紙・板紙輸入
2026年8月の米国紙・板紙合計輸入は63万1,638トンで前年比13.5%増となった。
金額は7億2千6百万ドル(同19.0%増)となった。
カナダからが前年比増、フィンランドは同5割増。日本から同倍増。

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