海外情報トピックス
フィンランド/Metsaグループ、UPM各社がリストラを含め生産体制の調整を検討
Metsaグループ: フィンランドMetsa Groupは法定交渉を終了し、グループ全体で約3億ユーロ(3億5千万㌦)のコスト削減と収益改善の一環で、最大440名の解雇を含む520名の常勤職員の削減を行なう。
傘下Metsa Board社は、約150名の従業員削減が対象。これにより1千2百万ユーロ(約3千2百万㌦)のコスト削減を見込むとする。
Metsa Boardは引き続き2026年もKemi, Kyroskoski、Simpele、Aanekoski、Kaskinen、Joutseno等の工場で最大90日の時限的レイオフを実行。
低迷する紙板紙需要に見合う生産体制をとる意向。
UPM :フィンランドのKymi 、Pietarsaari、RaumaCellの各工場で、2026年第1四半期に最大90日の一時的レイオフを行なうべく、労使間交渉を開始。
現段階では、永続的な工場閉鎖や生産休止は行わない意向で、交渉は11月末をメドに完了予定。
Kymi工場はNBKP・LBKP(計87万㌧)を生産。Pietarsaari工場はNBKP(バーチ80万㌧)、RaumaCellはフラッフパルプ(10万㌧)を生産。
この他、Kaukas工場(NBKP 70万)では、永続的なレイオフの可能性も排除せず交渉が11月初より開始。
世界的なパルプ市況・需要の低迷、木材価格高騰などへの対応に迫られている。
北米;低迷する段ボール需要に 段原紙、段ボール工場は大幅な生産削減で対応
最近の段ボール需要の低迷に伴ない、段原紙メーカー各社、及び段ボール一貫メーカー中心に、段ボール工場が生産削減を進めている。
コロナ禍発生以降、需要回復の一局面を経たのちも、依然として出荷数量は減少基調にある。
コロナ禍発生以降、本年度末までに段ボールの実出荷数量は▲7%の減少が見込まれている(内本年度の需要は前年比▲2%の減少)。
これは世界的に広がるインフレ圧力、今年に入ってからはトランプ関税等に起因する不透明な市場環境で、
景況感・消費者マインドが低下していることに起因するものと見られている。
このような市場環境を受けて、北米の段原紙メーカー各社は、今年9月までの間に大規模な生産削減を実施、大手一貫メーカーを中心に年産350万トン、
北米の段原紙生産能力のおよそ9.5%にあたる規模での生産削減が既に実行された。
さらに直近では、PCA/Wallula工場2号機のクラフトライナーの生産停止(2026年第1四半期)も発表され、以上に加えて、
25万トンのクラフトライナーと、パルプ処理設備が永続的な停止となる。
また、段ボール製造一貫メーカーは、2024年以降International Paper (IP)、Smurfit WestRock(SW)は、
北米で(予定も含めて)15カ所以上の段ボール工場の整理を行なっており、川上から川下までの供給体制の再構築を進めている。
両社ともに2024-25年にかけて北米-欧州にまたがる大型合併により、世界レベルでの供給販売体制を構築しているが、
両社は他のメーカーの先陣を切るかたちで、供給のスリム化と効率性の向上により、
主要市場における需給のバランスと市況の安定を図ろうという姿勢を示している。
中国製の輸入サーマル紙に対する各国のアンチダンピング、相殺関税等の強化の動き
*カナダ政府は、中国製の感熱紙巻取りに対してダンピングおよび補助を受けていると判断し、2025年11月に暫定的関税を導入。
AD(アンチダンピング)税率55.2%、CVD(相殺関税)は43.8%、合計税率は99%に達する。
2024年に中国からの輸入が急増、国内産業への影響が懸念されたことを受けて調査が行われてきた。
*米国商務省は、2008年以来適用している中国製軽量サーマル紙に対するAD(115.29%)およびCVD(13.63-138.53%)を、
さらに5年間延長することを決定した。これは3回目の延長となる。
課税措置の撤廃により廉価販売が再発し、国内市場への多大な損害が懸念されるとした。
北米市場ではDomtarが主要サプライヤーであり、輸入品は主にドイツと韓国からのものが主流である。
*欧州委員会は、中国からの軽量感熱紙輸入に対する反補助政策(Anti-subsidy)の調査を開始した。
調査対象は米坪65gsm以下の軽量感熱紙とあり、調査期間は2024年10月から2025年9月までとする。
欧州感熱紙協会による申し立てを基に、中国政府の補助金政策がEU市場の産業に損害を与えていると主張している。
最終結論は13か月以内に出される予定。現在欧州は韓国製の軽量感熱紙にもダンピング税を適用している。
欧州;UPM・Sappi両社が印刷情報用紙分野の合弁事業形成に合意
UPMとSappiは、印刷情報用紙分野での合弁企業設立につき、非拘束的な基本合意書に署名した。
この合弁事業には、UPMの情報用紙事業全体とSappiの欧州市場における印刷用紙事業が含まれ、両社それぞれが50%ずつ出資する独立の会社が運営することとなる。
この提携取引は、各種規制および株主の承認等の条件が承認されることが前提となるが、2026年前半に正式契約、同年末までの完了を予定している。
合弁事業には、UPMとSappiのフィンランド、ドイツ、イギリス、米国、オーストリア、オランダにある合計12の製紙工場が対象となる見込み。
印刷用紙市場はデジタルメディアの進展による広告収入の低下、発行部数の減少で、持続的な衰退に直面している。
この合弁では、効率的で適応力ある、持続可能な印刷用紙事業を創造し、コスト競争力と供給の安定を目指す。
年間約1億ユーロのシナジーが期待され、製品ポートフォリオの改善、物流、企業運営の効率化が見込まれる。
この提携でUPMとSappiは、長期にわたる優位な業界の地位を確保でき、顧客に安定した供給体制を提供することを期待するとした。
また中期的には、負債の削減にもつながるとしている。
両社のCEOは、この合弁事業が紙業界にとってプラスとなり、持続可能な未来を生み出すことに繋がる、との見解を示している。
北米市況(11月度)
[新聞用紙]
*10月度は需要(見かけの消費)、メーカーの生産及び出荷ともに極めて低調であった。
前年は大統領選関連の需要が増加、今年はメーカーの大幅生産休止等で生産稼働率も69%に留まった。
輸出も前年半分程度に留まったが、需要自体の低迷大きく、出荷に占める輸出の割合は52%と依然半分以上。
*Domtar/Grenada工場(▲23.5万㌧)が9月に生産停止。
Kruger/Corner Brook、White Birch/F.F.Soucyも現在生産休止中で、供給はタイトとなっている。
*北米メーカー各社は、11/12月でそれぞれ$25-の値上げを実施。
輸出向けは、White Birchがインド向けに、1月以降$75-の値上げ。
[上質紙]
*10月度の需要は前年比▲2.4%であるが、追加関税導入後の影響が注目の輸入は、10月度は+44.9%で、
追加分関税適用前の駆け込み船積分が纏まって到着、未だ大幅な増加である。
北米メーカーの生産、出荷は▲9-10%と低調。
*IP/Georgetown(昨年末)、Pixelle/Chillicothe工場(8月)の生産停止で供給はタイト。(稼働率95%)。
需要も回復しており市況は堅調である。
輸入品等の在庫がいまだ多く、北米メーカーは値上げを一旦棚上げし、値上げの時機到来を待っている。
さらにIP/Riverdale工場16号機(▲35万㌧)の生産停止(段原紙へ転抄)予定あり(来年3Q)、市況は暫く堅調に推移を予想。
[コート紙]
*10月度の需要は上質コート紙前年比▲5.5%、上質軽量コート紙同▲6.9%で、依然として低調。
輸入はそれぞれ同+9.3%、横ばいであり、主要輸入国の多くに課される計15%の関税の影響が出る前に契約・発送された分が纏まって到着し、
増大となった。関税の直接的に及ぼす影響度は11月度以降改めての検証となる。
*欧州・韓国等輸入紙サプライヤーは、10月以降関税分の一部(7⁻15%)を価格転嫁した。
北米メーカーも4-5%の値上げで追随。価格修正は概ね受け入れの方向。
メーカーから紙商への出荷価格は徐々に浸透(11月頃から)、しかし、川下ユーザーへの値上げは未だ。
価格修正後の輸入品が到着するのも12月以降となり、価格修正の本格的浸透は、年明け以降になると予想。
[中質紙]
*2Q以降、中質紙は調整局面が続き、10月度も需要・生産・荷動きは全印刷用紙中最も低調。
10月の生産稼働率は60%前後。
北米の生産工場は、既に最小限まで減少しており、これ以上の削減を行なう動機付けは少ない。
依然として市場環境は不透明で、状況に応じた供給能力の削減が引き続き行われ、需給のバランスを図ることとなろう。
[段原紙]
*3Qの米国段ボールの実出荷数量は、前年同期比▲1.4%と幾分回復したものの、3Qまでの累計では同▲2.0%と、依然として低調。
コロナ禍発生以来、段ボールの実出荷数量は本年末までに▲7%の減少を予想。
世界的なインフレ懸念、トランプ関税等による市場の不確実性で、今後も消費者マインドの低下が懸念。
*これを受け今年9月までに、IP(International Paper)、SW(Smurfit WestRock)など大手一貫メーカー中心として、
前例のない規模の生産削減(段原紙合計で計▲350万㌧程度、北米生産能力の約9.5%)、段ボール工場の整理が行われており、
川上から川下までの供給システムの再構築、市況の安定化に向け先陣を切る姿勢を示している。
*段原紙は本年初(1-2月)に$40‐の値上がりが実現したあと、ほぼ横ばいで推移。年明けには値上げの可能性もある。
欧州市況(11月度)
[新聞用紙]
11月は各国市場とも前月価格がほぼ持ち越し。11月には1Q分の価格交渉が始まった。
サプライヤーは生産コストの上昇で価格の修正に迫られているが、来年度は需要も、今年の更に▲10%減が見込まれており、状況の打開は相当難しい。
[中質系印刷用紙]
4Q価格は、下落した価格がそのまま適用されている。
既に発表されたUPM/Kaukas(30万㌧)、Sappi/Kirkniemi(17万㌧、ともにフィンランド)は、
年内にも生産停止となる予定で、Sappiは1Qで中質コートの価格修正を打ち出した。
[非塗工上質紙]
11月の上質紙は、前月の価格下落後概ね横ばいとなった。
パルプ価格は底打ちし、Navigatorは1月以降5-8%の値上げを発表。
しかし供給過多に加え、アジアから安値で流入が続いており、需給バランスは、値上げを支えるには脆弱である。
[塗工紙]
11月の塗工紙の価格は横ばい。アジアから安値品が流入し、市況は依然軟調である。
中質軽量コート紙は生産削減実施により、年明け以降の値上げの動きを見せているが、
上質コート紙は、これまでメーカーからの値上げの動きは見られず、上質軽量コート紙の価格の動向を窺う姿勢である。
[段原紙]
テストライナーは、段ボール需要の減少、本年稼働の生産能力大幅増(約200万㌧)により、供給過多が進んでいる。
原料古紙も、中国による再生パルプの品質基準の強化で、アジアへの輸出が大幅に減少し、価格も急落していることから、当面のあいだ、価格修正は極めて難しいと予想。
クラフトライナーは、6月の値上げ(€40‐)も、その後は元のレベルへと下落しており、南欧市場では、北米品の輸入が依然安値で流入している。
需要面でもクラフトライナー離れは進んでおり、段原紙全体として価格の下落には、更なる圧力が強まっている。
中国・香港・東南アジア市況(11月度)
[印刷用紙]
*中国市場では、出版入札案件が進行したことから、今後の一般商用案件の相場にも、ある程度の方向性が定まってきた。
*11月度の市場価格は、前月から概ね横ばいとなったものの、メーカーの値上げの動きは徐々に強まっている。
今後年末から1月にかけて、出版物納品のピーク及び年末需要の増加で、荷動きにも活発さが回復してくることが期待される。
メーカー及び紙商の在庫も、これに伴って消化が進むと予想される。
*メーカーの値上げは、11月分より香港市場でも上質紙・上質コート紙ともに$30‐程度のアナウンスとなり、
APRILは上質紙で最大$20程度の受け入れが実現した。
パルプ価格の上昇と秋需、またユーザーの在庫不足等のタイミングにより、一定の成果が見られた模様。
*コート紙は上質紙よりも市況が軟調で、APPも市場への値上げアナウンスは、幾分遅れ気味で行われた。
パルプ価格の上昇で、サプライヤーは採算の改善が必要であるものの、春節を控えた状況下、本格的な市況回復に繋がるかは不透明である。
[板紙]
*中国市場の11月の段原紙は、夏以降の原料古紙(OCC)価格高騰と、大手メーカーの大幅な生産調整(9-10月)の影響から在庫の減少、
それに伴う断続的な値上げにより、市場価格は依然として上昇基調にある。
*原料に関しては、10月に導入された輸入再生パルプに対する品質基準強化の影響で、供給の逼迫から原材料不足に新たに直面しており、
原紙価格の先高観を更に加速させている。
一方、段ボールメーカーでは原紙在庫が増加しつつあることから、春節を控え、今後の原紙購入のペースは鈍化に転じることが懸念されている。
*1月以降は、これまでの需要先食いの反動もあり、段原紙価格も調整局面に入ることが予想、状況によっては価格の反転も懸念される。
*アイボリーは、引き続きメーカー主導による値上げが行われている。
しかし、これまでのマシン増設による供給過多に加えて、春節を控えて、今後は市場も更に非需要期に向かっており、
値上げの動きがこのまま持続されるかどうかは、極めて不透明である。
*白板紙は、夏以降原料古紙の値上がりが続いており、段原紙同様、メーカーは値上げを継続して行っている。
【統計】10月「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)
2025年10月の紙・板紙合計輸出は16万3,724トン(前年比2.0%増)、輸入は6万6,154トン(同5.3%減)となった。
国内需要は162万1,082トン(前年比4.3%減)となった。
板紙の金額のみ前年比増。
【統計】1-9月 米国紙・板紙輸入
2025年1-9月の米国紙・板紙合計輸入は534万5,524トンで前年同月比2.1%と減となった。
金額は58億5千3百万ドル(同3.2%減)となった。上位4か国が大幅に落ち込んだ。







