海外情報トピックス
UPM/Ettringen工場(ドイツ)を永続的に閉鎖
UPMのEttringen工場(新聞用紙・非塗工印刷用紙、年産27万トン)は、従業員側との難航していた交渉が調停を含む枠組みの中で決着し、
2025年末もって生産を停止し工場を閉鎖することが決定した。
欧州市場では新聞・中質系印刷用紙の需要減少は長期化しており、各社は継続的に設備削減を進めてきたものの、需要減のスピードに追い付かず、
欧州の中質系印刷用紙の平均稼働率は65%以下にとどまり、生産過剰が解消されていない。
UPMはこの2~3年で、ドイツSchongau工場6号機およびオーストリアSteyermühl工場4号機の生産を削減し、
ドイツ・フィンランドの残存マシンで中質系印刷用紙180万トン体制を整えたが、なお需給バランスの軟化は続いている。
このためUPMは、Sappiと印刷情報用紙分野での効率的な供給体制を構築・安定化するための合弁会社設立に合意しており、
フィンランド、ドイツ、英国、オーストリア、オランダ、米国の計12工場が対象となる見込みである。
しかしEttringen工場はその対象リストには含まれておらず、今回の閉鎖は合弁事業とは別枠の措置であると見られる。
欧州議会 改正EUDRの最終案を可決
2025年12月17日、欧州議会と欧州理事会は、欧州委員会と合意した改正EU森林破壊防止規則(EUDR)の最終案を可決したものである。
改正案では、デューデリジェンス(DD)手続きの簡素化に加え、大規模事業者の適用開始日を2026年12月30日、
小規模・零細企業については2027年6月30日までとし、いずれも1年間延期することとした。
また、デューデリジェンスステートメント(DDS)の提出義務は、最初にEU市場に製品を投入する事業者に限定され、
下流の製造業者、商社、販売業者などには課されないこととなった。
さらに、低リスク国の小規模事業者については、一度限りの簡素化された申告が認められ、ITシステムにより参照番号を維持することで、
サプライチェーン全体のトレーサビリティを確保する仕組みが導入されている。
もっとも、実務負担の大きさに対する懸念は各業界からなお強く示されている一方、
書籍・新聞などの印刷製品(ただし欧州域内で印刷されるものは規則対象)は適用除外とされたことについて、
印刷業界からは環境保護上の「抜け穴」であるとの批判も出ている。
改正EUDRの正式な発効には、今後、理事会による採択と官報掲載が必要であり、その後、
欧州委員会は2026年4月までに簡素化に関するレビューを実施し、報告書を提出する予定である。
ブラジル/Suzano ユーカリを原材料としたフラッフパルプの新ラインを増設
ブラジルの紙パルプ最大手Suzanoは、サンパウロ州Limeira工場で、100%ユーカリ材を原料する衛生材料用フラッフパルプの新ライン増設計画を発表した。
投資額は4億9千万レアル(約9千万ドル強)で、同原料を使用したフラッフパルプの増産としては約10年振りとなる。
商品名は「Eucafluff」で、年産能力は現在の10万トンから44万トンへと拡大する見通し。
従来フラッフパルプは原材料としてNBKPが主流であるなか、ユーカリ材のフラッフパルプは、柔らかさや再湿潤性、水分拡散性に優れる等の点が特徴であり、
まずブラジル国内での低価格帯製品(動物用パッドなど)の普及を図り、その後海外市場へ展開する方針である。
カナダ政府/中国製輸入サーマル紙に対するアンチダンピング税等の暫定税率を見直し
カナダ国境サービス庁(CBSA)は、中国製サーマル紙(感熱紙巻取り)について、
廉価販売および中国政府による実質的な輸出補助が行われているとの国内メーカーからの申立てを受け、ダンピングの実態を調査してきたが、
その結果、2025年11月に導入した暫定関税(AD税率55.2%、CVD税率43.8%)を見直し、暫定税率を大幅に引き上げる決定を下した。
新たな暫定税率は、アンチダンピング税(AD)が282%、相殺関税(CVD)が77%で、合計約360%に達する。
また調査において、2024年1月から同年12月31日までに、カナダへ輸入されたサーマル紙の約45%が中国産であったことも認定された。
本件の対象は、巻取り幅15cm以下、米坪70gsm以下の感熱ロール紙であり、粘着加工品は含まれず、HSコードは4811.90.00.90である。
現在、カナダ国際貿易審査裁判所(CITT)が別途、国内産業への損害の有無について調査を進めており、1月中に報告書が提出される見通し。
CBSAおよびCITTの両方でダンピングの実態が最終的に認定された場合、今回のADおよびCVDが正式関税として確定する。
インドネシア政府/韓国、マレーシア、台湾からの輸入白板紙に対しアンチダンピング課税の方向で検討
インドネシア政府のアンチダンピング委員会は、韓国、マレーシア、台湾から輸入される白板紙に対し、
4.04%~29.06%のアンチダンピング税を課す方針を勧告した。
韓国についてはHansol Paperに4.04%、その他メーカーに26.52%、マレーシアはXSD Int’lをはじめとする全メーカーに7.79%、
台湾は全メーカーに29.06%を賦課するとし、財務省が近く正式な導入命令を発出する見通し。
調査は大手製紙メーカーIndah Kiat Pulp & Paper(IKPP)の申立てを受けて2024年9月に開始された。
対象はHSコード4810.32.90および4810.92.90に分類され、米坪210~450gsmの裏面グレー(裏ネズ品)多層抄き箱用白板紙としている。
これに対し韓国およびマレーシアの一部メーカーは、自社の輸出製品は主にバージンパルプを使用したアイボリー・カード類であり、当該品には当たらない。
またFSC認証も取得していて、これはインドネシアの主要メーカーでも代替が困難な製品であるとして、今回の決定に反論している。
これについてインドネシア側は、他国からもFSC品の手当ては十分可能である、と逆反論している。
北米市況(12月度)
[新聞用紙]
Domtar/Grenada工場、White Birch/F.F.Soucy工場が永続的生産停止となり、北米新聞用紙の供給力が低下し、輸出も減少した。
需給に引き締まりが見られたことから、北米市場では11-12月で$25-ずつの値上げとなったが、市場は未だ供給過多で、
本年も輸出の回復及び更なる生産削減は必要である。
[上質紙]
11月の需要は年初来最低水準となったが、在庫からの荷動きは比較的堅調だった。
過剰在庫にもある程度メドがつき、改めて値上げ可能な環境が整ってきた。
上質紙メーカー各社からは、1月末以降の出荷分に対し値上げの動き(6-9%)が出始めた。
北米は市況が世界的にも高水準であり、今年も年間通じて、輸入・国内品ともに堅調に推移することが見込まれる。
[コート紙]
11月のコート紙は需要・出荷とも非常に低調な数字で表れたが、年末需要には在庫からの対応が行われ、
荷動きは例年通りそこそこの堅調さであった。
11月の上質コートの値上げ($20-40)は輸入関税主導で行われ、今後末端ユーザーへの浸透は課題である。
今後の価格・市況動向は、トランプ関税への最高裁の判断次第といえよう。
[中質紙]
低調な荷動きが続いており、2Q以降続いている在庫調整で、11月も需要は依然大幅な減少となった。
本年末の北米メーカー稼働率も75%程度と予想されている。
需要に占める輸入紙比率が低いため、北米メーカーは、今後も必要に応じた生産調整を余儀なくされると予想される。
[段原紙]
コロナ禍以降、段ボールの需要は減少が続いており、昨年度も前年比で▲2%前後となると見込まれている。
段原紙メーカー各社は、昨年から今年初にかけて合計400万㌧近くの生産削減を実施しており、今年1月出荷分以降で、
一部メーカーが中芯の価格で、$50-程度の値上げを発表した。
欧州市況(12月度)
[新聞用紙]
12月の新聞用紙価格は、現契約期間中のため前月から持ち越しとなった。
供給過多は変わらず、生産コスト圧迫でサプライヤーは値上げを必要としているが、今年も需要は前年比▲10%程度の減少を予想しており、
大幅な生産削減なしには状況の打開は難しいと見られる。
[非塗工上質紙]
12月度の価格は、前月横ばいとなった。
1月出荷分でNavigator等が、欧州域内市場で5-8%の価格修正を打ち出し、強い姿勢でユーザー側との交渉に臨んでいる。
アジアからの安値流入が引き続き懸念されるため、依然として、値上げを支える環境としては脆弱である。
[塗工紙]
12月の塗工紙の価格は、一部のスポット取引で値崩れも見られたが、表面上の契約価格は前月横ばいとなった。
依然として、アジアからの安値品流入が懸念されており、欧州メーカーからはこれまでのところ、上質コート紙では値上げの動きは出ていない。
UPM/Sappi両社の印刷用紙事業統合の動きについて、先ず今後の進捗状況(合弁設立の時期、具体的な計画、事業概要等)を注視し、
市況への影響を慎重に見極めたい との声が関係者の間からは聞かれる。
[段原紙]
TLBは南欧市場で一部スポット取引による値崩れも見られるが、欧州全地域では、概ね前月横ばいで推移している。
KLBは需要が低調なドイツ・ブランスで▲€20程度の値崩れが見られるほか、イタリアでは依然として北米品が安値流入しており、
この先も軟調な市況の展開が予想される。
需要面ではKLB離れが徐々に進んでおり、供給面では昨年度の増産により、TLBが特に供給過多となっている。
市場価格の回復には、もう暫くの時間を要すると予想される。
中国・香港・東南アジア市況(12月度)
[印刷用紙]
*中国市場では、12月のコート紙・上質紙ともに、出版物向けの納品需要が高まり在庫から対応、在庫は減少となったものの、
新規の需要は概ね低調であったため、市場価格は前月比横ばいとなった。
1月は年末決算時期に伴って、紙商の在庫整理が急がれ、価格は更に軟調で推移することが見込まれる。
*香港市場では、中国メーカーが12月に上質紙の$30-値上げをアナウンスした。
メーカーによって対応は様々であるが、APRILは$20-程度の値上げを実行、APPは1月分で$50-の値上げを打診し続けている。
パルプ価格は上昇基調にある一方、春節前の不需要期を控えて、値上げの浸透には時間がかかると予想される。
*APPはコート紙についても、1月から$50-の値上げの協議を始めている。
しかしながら、上質紙と同様、不需要期を前に紙商が受注量の確保のため値下げに応じるケースも見られ、
当面ユーザーへの価格転嫁は難しい状況と予想される。
[板紙]
*中国市場の12月の段原紙市況は、月前半は大手メーカーが値上げを継続、在庫補充による荷動きも見受けられたが、
中旬以降は原料費の下落と需要の急減で、一転して調整局面へ入った。
これにより、川下の段ボールメーカーでは、原紙の購買に急速に慎重になり始めており、
原紙メーカー側の在庫も再び増加し、負担が大きくなっている。
*今後、2026年1月上旬に春節前最後の荷動きにより、一時的な反発も期待されるが、
月中旬以降は再び需要が停滞し、市況は軟化することが予想される。
*春節後の需給動向に注目が集まるが、全体としては、緩やかな下落トレンドが継続すると見込まれる。
*香港市場では、アイボリーにつきこれまでメーカー主導で強気の値上げが進められてきたが、
出版関連需要のピークは既に過ぎ、市場では在庫増加傾向が見られており、
今後は値上げ要求の動きも次第に静まっていくと予想される。
*香港向け塗工白板紙(裏ネズ)については、1月初には小幅な値上げが実施された一方で、メーカーは在庫調整を進め、
市況の回復を図っている状況である。
古紙価格の下落が始まっていることから、先行きは原材料安を背景に、
市況弱含みとともに、ユーザー側からの値下げ要求が強まることが予想される。
【統計】11月「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)
2025年11月の紙・板紙合計輸出は15万5,258トン(前年比9.0%増)、輸入は5万8,012トン(同5.6%減)となった。
国内需要は150万2,518トン(前年比7.0%減)となった。
主要品種が軒並み前年比減。
【統計】1-10月 米国紙・板紙輸入
2025年1-10月の米国紙・板紙合計輸入は587万1,881トンで前年同月比3.3%と減となった。
金額は64億1千3百万ドル(同4.7%減)となった。
欧州諸国で大幅に減少。







