NPO法人非木材グリーン協会は去る5月31日、東京都内で「廃プラスチックによる深刻な海洋生態被害と健康への影響~課題への対応とマイクロ/ナノプラスチック」と題したセミナーを開催した。
当日の講演者は同協会副会長の飯山賢治東大名誉教授。飯山氏は最初に「りんごの受粉に欠かせないマルコバチの巣は、イネ科のストロー状になったヨシを使っているが、誰もストローとして使おうとは言わない。非木材の活用を考えるうえで、課題と言えるだろう」と前置きした後、次のように講演した。
「海洋プラスチック問題が深刻化する中、廃プラ問題の解決策として生分解性プラやバイオマスプラによる代替が取り沙汰されているが、世界のプラスチック生産量約4億tのうち、バイオマス・生分解性プラは約20万tとわずか0.5%の割合にすぎない。これで果たして代替となれるのか、疑問が残る。
化石資源の石油を原料とするプラスチックにはさまざまな問題があるが、最近は5㎜ほどのマイクロプラスチックの存在がクローズアップされている。しかし、さらに微小のナノプラスチックも深刻な問題だ。合成繊維や化粧品などに含まれるマイクロビーズは、タイヤの補強剤に使用されているカーボンブラックに吸着すると言われる。廃プラスチック問題は生態系に影響を及ぼすだけでなく、われわれの健康にも影響を与える。早急な対策が求められる」
株式会社 紙業タイムス社 「Future7/1号」より