日本製紙は、2015年に日本野鳥の会と締結した「シマフクロウの生息地保全と日本製紙木材生産事業の両立に関する覚書」を見直し、2月に更新した。シマフクロウは環境省のレッドリストで絶滅危惧種ⅠA類に指定されている。
シマフクロウが生息する森は生物多様性に富み、自然環境を保護する重要性が高い地域とされている。日本製紙は日本野鳥の会と、2010年にシマフクロウを含む野鳥保護を目的とした協定を締結して以来、同社が道東に保有する複数の森林でシマフクロウの生息地を保全する活動を行っている。
日本政府は2021年のG7サミットで、30年までに国土の30%以上を自然環境エリアとして保全する「30by30」を公約したが、この達成には国立公園などのほか、民間企業が所有する森林でも、企業活動と生物多様性保全の両立が必須となる。今回の協定の対象となる森林は、2005年にSGEC認証を取得し、木材を生産しながら生物多様性にも配慮した森林経営を行っている森林約1,986ha。
2015年に締結された覚書は、シマフクロウの営巣木周辺で日本製紙が行う森林施業への配慮について具体的な基準を明文化したもので、23年には当該森林に設置した巣箱で孵化したシマフクロウの雛が無事巣立っており、取組みの成果が現れている。今回の覚書更新は、当該森林におけるシマフクロウの行動データの蓄積をもとに、シマフクロウ生息地の保全範囲を実態に合わせた内容に見直すことで、生物多様性保全と木材生産事業の両立の強化を目指したもの。
株式会社 紙業タイムス社 「Future3/25号」より