日本製紙は日華化学との共同研究により、木質由来成分のリグニンを用いた新しいバイオマス顕色剤を開発。また、この顕色剤を使用した環境配慮型の感熱紙を日本製紙で製品化した。
日本製紙はかねて、木質資源の主要成分であるリグニンの有効的な活用法を模索しており、これまでも染料分散剤やコンクリート混和剤に使用してきた。その中で、レシートなどに使用される感熱紙に配合する顕色剤と、リグニンの分子構造の相似性をヒントに、木質パルプを製造する際に生成するクラフトリグニンが、顕色剤として使用できることを世界で初めて発見した。
その後、顕色剤を製造販売する日華化学との共同研究によってバイオマス顕色剤の開発に成功し、これを配合した感熱紙『TP60KS-KLE』を製品化したもの。『KLE』は、従来の石化由来顕色剤をバイオマス顕色剤に一部置換することで、リグニン由来の茶色味を帯びた、木質調の風合いを持つ。
感熱紙はレシートやラベルに広く使われ、また広告やクーポン印字のほか、インボイス制度導入などを追い風に情報記載量が増加している。さらにラベルも、好調なネット通販に支えられ物流向けを中心に需要が拡大。感熱紙の世界市場規模は2030年までに年率5%強成長するとも予測されており、日本製紙は今後も用途に応じた製品開発に注力していく考え。
株式会社 紙業タイムス社 「Future7/15号」より