王子ホールディングス、バッカス・バイオイノベーション、日揮ホールディングス、ENEOSマテリアル、大阪ガス、東レの6社が共同提案した「木質等の未利用資源を活用したバイオものづくりエコシステム構築事業」が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(=NEDO)の「バイオものづくり革命推進事業」に採択された。
同事業は、経済産業省が定める「バイオものづくり革命推進事業研究開発計画」に基づき、化石資源を原料とした既存の製造プロセスから、バイオマスをベースとした製造プロセスへ転換することを目指すプロジェクト。持続可能な原料の開発、微生物の育種、培養・分離・精製・加工プロセスの開発および生産実証を一貫して実施するという目標のもと、6社の知見や技術を結集して原料・微生物・素材に関わる技術を開発し、多様な技術や製品の社会実装を目指す。
具体的には、製紙工場のインフラを有効活用して木質等未利用資源の安定供給を実現し、さらに統合型バイオファウンドリ事業者や製品の製造を担う事業者がコンソーシアムとして連携・実証することで、世界に先駆けた「未利用資源によるバイオものづくりのエコシステム」を構築していく。事業期間は2024年度から31年度の予定で、取り組むテーマは次の5つ。
■未利用資源の原料化のための開発・実証(王子HD、東レ)
■目的物質の効率的生産を目指した微生物育種(王子HD、大阪ガス、東レ)
■統合型バイオファウンドリの高度化による、多種多様な原料・微生物・製品に対応した開発プラットフォー ムの機能実証(バッカス、日揮HD)
■木質由来原料等を活用した各種素材の製品化技術開発(王子HD、ENEOSマテリアル、大阪ガス、東レ)
■バイオものづくり製品の社会実装のための評価手法等の開発(6社共同)
また、同プロジェクトでの6社の役割は次の通り。
【王子HD】素材の開発および工業化に向けた生産実証・製品化検討。また幹事会社としてプロジェクトを主導する。
【バッカス】木質等の未利用資源を有効活用できるスマートセルを創出する「微生物開発プラットフォーム」の確立を目指す。共同提案者の開発加速による実証を通じて社会実装を進める。
【日揮HD】多種多様な原料、微生物、プロダクトに対応したデータ駆動型の生産プロセス開発基盤を確立し、バイオものづくりプロセス開発に貢献するとともに、「バイオものづくりプラットフォーマー」としてバイオものづくり産業の普及推進に取り組む。
【ENEOSマテリアル】未利用資源由来バイオエタノールからのブタジエン変換技術の開発および工業化に向けた社会実証を行う。
【大阪ガス】ハロモナス菌を用いた国内でのBHBの生産実証、ヘム鉄およびブタノールの生産開発や実証を行う。
【東レ】タイの澱粉工場で排出されるキャッサバパルプから繊維・樹脂製品へのサプライチェーン実現に向け、関連技術の融合とスケールアップ実証を推進する。
チューエツの全株式を売却
王子ホールディングスは王子マネジメントオフィスを通じ、100%子会社チューエツの全発行株式を、9月1日付でタイヘイに売却する。チューエツの主力である印刷事業の環境が大きく変化する中、同事業を拡大展開するタイヘイへの売却が最善と判断したもの。王子グループは事業ポートフォリオの転換を進めている。
【チューエツ】▽所在地:富山市▽事業内容:印刷・加工品・包装・不動産▽売上高:73億3,000万円(2024年3月期)
【タイヘイ】▽所在地:千葉県匝瑳市▽事業内容:印刷・食品・食材・フード・フレッシュデリカ・信販
株式会社 紙業タイムス社 「Future9/2号」より