=2025年3月期第2四半期②=
前号に続き、紙パ関連各社の2025年3月期第2四半期決算(24年4~9月)を紹介する。以下、連結ベース、単位100万円、%表記は対前年同期比、〈 〉内は前年同期の実績値。
【製紙】
■北越コーポレーション
〔第2四半期〕
売上高 149,358 (△0.5%)
営業益 9,004 (△25.5%)
経常益 9,040 (△34.4%)
当期益 6,281 (△33.2%)
〔通期予想〕
売上高 310,000 (+4.4%)
営業益 20,000 (+31.0%)
経常益 21,000 (+18.3%)
当期益 16,000 (+90.8%)
○紙パルプ事業…売上高△1.2%、営業利益△26.5%。海外子会社でのパルプ販売価格下落などにより減収減益。
○パッケージング・紙加工事業…売上高+5.8%、営業利益△80.7%。紙容器・包材事業の受注拡大で増収となったが、運送費の高騰や円安の影響で減益。
○その他…売上高+10.0%、営業利益+7.0%。主に木材事業で外部受注が増加して増収増益。
通期予想は5月公表の業績予想を修正した。修正額(単位100万円)は、営業益+3,000、経常益+2,000、当期益+2,000。海外市場のパルプ販売価格が想定を上回ったことや、投資有価証券売却益を見込んだことから、利益を上方修正した。
■三菱製紙
〔第2四半期〕
売上高 88,400 (△8.6%)
営業益 934 (△53.2%)
経常益 450 (△87.2%)
当期益 △232 〈1,638〉
〔通期予想〕
売上高 197,000 (+1.8%)
営業益 8,000 (+47.9%)
経常益 8,000 (+12.7%)
当期益 8,000 (+91.8%)
ドイツ経済の低迷に伴う需要減、国内の印刷・情報用紙の需要減、機能商品の中国需要減退により、減収となった。損益は、労務費削減などのコストダウン効果はあったものの、販売量の減少や設備事故の影響により大幅減益となった。経常益と当期益には、外貨建債権・債務の評価替えにより発生した為替差損の計上も影響した。
○機能商品事業…売上高△8.0%、営業利益△13.7%。感熱紙はPOS市場用途の需要取込みにより販売量・金額ともに増加。ノーカーボン紙、PPC用紙は需要減により販売量・金額ともに減少。イメージング関連製品は販売量・金額ともに減少。機能材関連製品は、蓄電デバイス用セパレータ、リライトメディア、ガラス繊維不織布の販売金額が増加し、またテープ原紙は販売量・金額ともに増加。一方、水処理膜基材は販売金額が減少。化粧板原紙は販売量・金額ともに減少。ドイツ事業は、フレンスブルク工場売却に伴い、販売量・金額ともに減少。
○紙素材事業…売上高△9.9%、営業損失△652百万円(前年同期比△664百万円)。印刷用紙は、円安下で輸出が伸長し増収となったが、国内市場は需要減が継続し販売金額が減少。市販パルプは、海外市況の回復に伴い輸出を拡大した結果、販売量・金額ともに増加。
○その他…売上高△7.3%、営業損失△3百万円(前年同期比△85百万円)。
2Q業績は当初予想を下回ったものの、通期予想は、紙素材事業・情報用紙の価格改定効果および生産性向上などが見込めるため、5月公表の業績予想を据え置いた。
■中越パルプ工業
〔第2四半期〕
売上高 55,572 (+5.9%)
営業益 3,126 (△5.4%)
経常益 2,997 (△21.0%)
当期益 2,044 (△20.4%)
〔通期予想〕
売上高 112,000 (+3.9%)
営業益 5,000 (△19.0%)
経常益 5,100 (△25.2%)
当期益 3,400 (△8.2%)
グラフィック用紙の需要減は続いているが、国内スポット案件の受注、輸出拡販、衛生用紙の販売などに努め、増収となった。利益は、原燃料価格や物流費の上昇、修繕費などの固定費の増加によるコストアップを補いきれず減益。
○紙・パルプ製造事業…売上高+8.8%、営業利益△11.6%。新聞用紙は販売量・金額ともに減少。印刷用紙と包装用紙は国内販売・輸出が増加し、販売量・金額ともに増加。特殊紙・板紙・加工品のうち、壁紙は前年並みの販売量を確保し、板紙・加工品は販売量が増加、また衛生用紙の本格販売開始による販売増もあり、金額も増加。パルプは販売量・金額ともに増加。
○発電事業…売上高△24.9%、営業利益+1.7%。売電単価下落に伴い一部発電設備を停止したため減収となったが、固定費などの原価低減でカバーし利益は前年並み。
○その他…売上高+0.2%、営業利益+111.9%。紙・パルプ製品取扱量の増加やコスト削減により増益。
通期予想は5月公表の業績予想を修正した。修正額(単位100万円)は、営業益+400、経常益+200、当期益+200。2Qの利益が前回予想を上回ったため、これを踏まえて上方修正した。また配当金についても上方修正した。中間配当は前回予想から1株当たり5円増配の35円、期末配当予想も5円増配の35円とする。これにより、年間配当金は1株当たり70円となる。
■特種東海製紙
〔第2四半期〕
売上高 46,572 (+9.3%)
営業益 1,873 (+139.1%)
経常益 3,059 (+3.7%)
当期益 2,096 (△10.0%)
〔通期予想〕
売上高 95,000 (+9.8%)
営業益 4,000 (+74.2%)
経常益 6,200 (+0.2%)
当期益 4,300 (△6.3%)
○産業素材事業…売上高+3.6%、営業利益△31.7%。物価高による買い控えなどにより、段ボールなどの包装材需要全体が低調で販売量が減少。電力販売は赤松水力発電所が設備トラブルで停止したため減収減益。
○特殊素材事業…売上高+2.5%、営業利益884百万円(前年同期比+955百万円)。特殊印刷用紙は、海外向けの拡販に努めたが、国内の需要減少の影響が大きく減収。特殊機能紙は、国内販売量は減少したが、海外向けの一部需要増により増収。利益は、販売、資材、固定費などの複合的な要因により黒字化した。
○生活商品事業…売上高+2.9%、営業利益+31.2%。トイレットペーパーは価格改定により、ペーパータオルは新たなサステナブル製品の高評価により、いずれも増収。ラミネートなどの加工品は製品構成の変化により減収。
○環境関連事業…売上高+52.8%、営業利益+801.0%。前期に連結化したトーエイの業績が寄与して大幅に増収。
通期予想は5月公表の業績予想を修正した。修正額(単位100万円)は、売上高+2,000、営業益+900、経常益+700。特殊機能紙の販売量が回復したことや、トイレットペーパーの価格改定が浸透したこと、環境関連の建設事業が堅調だったこと、資源再活用分野が順調に伸長していることから上方修正した。
【紙流通】
■共同紙販ホールディングス
〔第2四半期〕
売上高 8,126 (△1.9%)
営業益 △32 〈72〉
経常益 △3 〈90〉
当期益 6 (△87.4%)
〔通期予想〕
売上高 16,500 (△1.3%)
営業益 20 (△78.8%)
経常益 50 (△58.6%)
当期益 40 (△32.0%)
セグメント別売上高は、洋紙卸売事業が前期比△2.0%の8,084百万円、不動産賃貸事業が同+1.4%の54百万円、物流事業は同+4.8%の146百万円。売上げは、イベントやインバウンド関連の印刷用紙需要が回復基調も、企業や官公庁を中心に伝票・帳票類関連の情報用紙の減少が影響した。利益面では、利益率改善や物流コスト削減に取り組んでいるものの、1Qの落ち込みを埋めるには至らなかった。
通期予想は5月公表の業績予想を修正した。修正額(単位100万円)は、売上高△500、営業益△80、経常益△75、当期益△30。
2Qの結果を踏まえ、郡司勝美代取会長は、「厳しい決算。仕入サイドで値上げが実施されており、われわれが顧客に値上げ分を転嫁できるかが勝負だ。数量的には前年に近い数字だが、販売額の改善には至らなかった。下期がスタートした10月は衆議院選挙が行われ、思った以上にモノが動いた。この流れで年末まで頑張れば、回復するのではないか」と分析する。