日本製紙のセルロースナノファイバー(=CNF)『cellenpia』(セレンピア)は、静岡県富士市商工会女性部が販売している米粉麺「富士山ひらら」に、添加剤として採用された。
「富士山ひらら」は、富士市の米と富士山の湧水から作られた米粉の麺。地場産業である紙をイメージさせる短冊のような形が特徴で、富士市商工会は、地元産の原料を使った安心安全な食材として販売してきたが、課題もあった。
米粉はグルテンがないため小麦粉に比べてまとまりにくく、「富士山ひらら」も調理する際に麺が切れやすいなどの難しさがあった。そこで、日本製紙富士革新素材研究所が協力し、増粘剤として『cellenpia』などを添加、配合量や添加物の組み合わせを検討した。
『cellenpia』を添加してリニューアルした「富士山ひらら」は、保形性が向上したことで茹でた後の麺が調理しやすくなり、また、これまでは冷水で締めた麺を利用するメニューが多かったが、麺が切れにくくなったため、煮込み麺や焼うどん風、パスタなどメニューの幅が広がった。このほか、コシを出せるようになったことで、もちもちした歯ごたえ、つるつるの口あたり・喉越しのよさも向上。加えて、乾燥防止や強度が付与されたため、冷凍した際の麺の割れやちぎれの防止にもつながった。
CNFは食品に添加することで懸濁安定性、乳化安定性、気泡安定性、保水性、保形性など、さまざまな機能を発揮する。幅広い製品の品質安定化に役立っており、これまでもパンや和菓子などでしっとり感の維持や賞味期限を延ばす効果が認められた。
「富士山ひらら」は、富士市内の販売店や、静岡県アンテナショップで販売されている。