山陽製紙の“アップサイクルペーパー”『Sumideco Paper』(スミデコペーパー)が5月で20年目を迎えた。『スミデコペーパー』は、廃棄される梅の種を炭化して再生紙に抄き込み、炭が持つ脱臭・調湿などの機能を生かした紙。この紙に使われた梅の種は20年で約48t、約1,200万個にのぼる。
山陽製紙がある泉南市に隣接する和歌山県は日本一の梅の産地。産業廃棄物の海洋投棄がロンドン条約で禁止されて以降、加工業者から出る梅の種の処分が問題になっていたことをきっかけに、まだアップサイクルという言葉が注目されていない2005年、『スミデコペーパー』は生まれた。
スミデコペーパーの特徴は、炭の機能を活かした脱臭、防カビ・抗菌、調湿効果など。通常は糊や樹脂を使って素材を固定するが、同社では製造副産物の素材(炭)と古紙と水で製造しているため、通常の抄き込みに比べ炭の残存率が相対的に高くなり(同社比)、高機能な紙作りが可能になる。また、紙の特性を活かしてさまざまな形状に加工できるので、靴の脱臭シートや畳の資材、風合いを生かしてブックカバーなどにも活用されている。