分子状塩素を一切使用しないパルプ漂白方法。ECF(Elemental Chlorine Free)法とTCF(Totally Chlorine Free)法がある。ECF法は漂白剤として二酸化塩素を用いる方法で、日本のパルプ工場の多くはすでに切り替えを終えている。この方法では塩素化反応の可能性がきわめて低いうえ、分子状塩素に比べてその投与量が少なくて済むというメリットもある。一方、TCF法では塩素をまったく使用せず、代わりに過酸化水素やオゾン、酸素を用いるもの。ECFとTCFの長短については、TCFは完全に塩素を使用しないことから、ECFよりさらに環境に与える負荷が小さいとされる一方、コスト高になるうえ、得られたパルプの強度が弱いともいわれ、欧米ではTCFが減少する傾向にある。
出典:「知っておきたい紙パの実際2009」株式会社紙業タイムス社