大日本印刷はこのほど、グループ内の出版流通企業の再編を発表した。2011年2月1日付で、CHIグループを完全親会社、雄松堂書店を完全子会社とする経営統合を実施する。市場縮小が続く出版流通業界での生き残りを目指す。
大日本印刷はかねて、書籍市場の活性化のため大手書店の丸善、ジュンク堂、文教堂、および出版流通の図書館流通センターを相次いで傘下に収め、出版流通へと勢力を広げてきた。CHIは、その丸善と図書館流通センターが今年2月に設立した共同持株会社。7月には大日本印刷、雄松堂、丸善の3社で業務提携契約を結び、洋書事業のノウハウや経営資源を共有化して協業体制の構築に取り組んできた。雄松堂と丸善の在庫商品の相互販売のほか、丸善の古書展で雄松堂保有商品を販売したり、商材の共有やパッケージ化、デジタル化などの企画立案も実施してきた。
こうした取り組みを進める中で3社は、競争力の最大化を図るにはCHIと雄松堂の経営統合が必要と判断し、今回の経営統合を決めたもの。経営統合後は、大日本印刷の下にCHI、その下に図書館流通センター、丸善、丸善書店、ジュンク堂書店、雄松堂書店の5社が並ぶ形となる。また大日本、CHI、雄松堂の3社は、以下の事業協力を行う。
◎洋書・海外学術研究資料(洋古書・稀覯書を除く)…①在庫情報の共有および活用による販売強化 ②雄松堂および丸善双方の代理店商品の販売強化 ③オンライン商品の版元との有効な契約交渉の検討開始 ④将来に向けての共同仕入・企画の検討
◎洋古書・稀覯書…①在庫管理の共同化による販売強化 ②国内における国際常設古書店舗の開設を検討 ③海外および国内古書展への共同出展 ④アジア市場の調査と販売計画の立案
◎日本のアーカイブズ…①雄松堂と丸善が有するコンテンツならびに大学およびその他の学術機関の所蔵する文献のデジタル化と商品化 ②文献のデジタルコンテンツの利用を含むソリューションの開発
◎その他…①人材交流と人材の共同育成 ②学界、図書館界及び図書市場に対する新規共同事業の企画立案
株式会社 紙業タイムス社 「Future 11/8号」より