日本印刷産業連合会(日印産連)は去る9月18日、毎年恒例の「9月印刷の月記念式典・懇親会」を東京都内のホテルで開催した。
冒頭、足立直樹会長は2020年に東京でのオリンピック・パラリンピック開催が決定したことに、「大変大きな事業機会をもたらしてくれる」と期待を寄せる一方、当日の酒井邦嘉・東京大学大学院教授(言語脳科学)の講演に「印刷産業に携わる者として大変勇気づけられた」と感謝の意を表した。
今年4月から一般社団法人に移行した日印産連にとっては、新たなスタートになる記念式典。島村博之副会長は開会の辞で、「環境への配慮、適正利潤の確保、従業員の健康管理、新しいメディアへの挑戦、業態変革の推進に各企業が果敢に取り組まなければならない」と5項目の課題を説明した。
また足立会長(写真)は挨拶の中で、懸案の課題でもあるオフセット印刷事業場における揮発性有機化合物利用時の安全対策ガイドラインをまとめる方針であることを明らかにした。
さらに印刷産業は依然厳しい市況が続いているが、「オリンピック・パラリンピックはスポーツの祭典であると同時に、印刷産業にも事業機会をもたらしてくれる」と2020年の東京五輪開催に期待を表明し、「今後われわれも印刷産業を通じて東京オリンピック・パラリンピック、日本経済に貢献していきたい」と抱負を語った。
日印産連が9月20日付で発行した冊子『パワープリント2013』についても、「さまざまな側面からメディアとしての印刷の価値を、海外の実例を中心に整理した。多メディア時代の印刷産業の位置づけを確認する一助になれば幸いである」と紹介した。
記念式典に先立って開催された講演は、『脳を創る読書』の著書がある酒井教授と女優の中江有里氏との対談によるもの。出版文化の面から紙の本と電子書籍との違いを掘り下げ、印刷メディアの優秀性を語り合った(後日、本誌で掲載予定)。
なお今回の式典では印刷功労賞を12名に、印刷振興賞を17名に贈ったほか、第42回技能五輪・印刷職種部門に日本代表として出場し敢闘賞を受賞した谷本まりのさんに特別賞を贈った。また第12回印刷産業環境優良工場として計16工場を表彰。受賞者を代表して印刷功労賞の花崎博己氏が謝辞を述べた。このあとの懇親会は、日本印刷産業機械工業会・宮腰巌会長の乾杯発声で宴に入ったが、多くの人が谷本さんの技能五輪での健闘を称えていた。
株式会社 紙業タイムス社 「Future10/14号」より