東京・北区王子の「紙の博物館」では、6月5日まで、木版画の基本的な製作工程や伝統の技法、鑑賞ポイントなどを紹介する企画展「木版画の美~今に生きる職人の技~」を開催している。
木版画は木材(板)を彫って版を作り、そこに絵具を付けて紙などに写し取って作る版画。江戸時代に大衆メディアとして普及した浮世絵版画はその代表で、世界的に美術的価値が高く評価されている。明治以降、メディアとしての木版画は役割を終えたが、紙の繊維の奥にまで摺り込み、重ねることで生み出される色合いや紙に浮かび上がる凹凸など、その独特の美しさと味わいから、芸術表現の一つとして伝統的な浮世絵版画の復刻だけでなく、さまざまな作品が作り続けられている。
同展では江戸木版画の伝統工芸士であり、㈱吉田スタジオの専属摺師で木版画全般を手がける沼辺伸吉氏の協力を得て、浮世絵版画(復刻)・新版画・現代版画・創作版画を紹介している。
株式会社 紙業タイムス社 「Future6/6号」より