日本製紙は、かねて公表していた豪州企業からの事業譲受に当たり、資金調達手段としてこのほど、ハイブリッドローンによる総額600億円のローン契約を締結した。貸付人はみずほ銀行、三井住友銀行、農林中央金庫。600億円は、譲受けのために調達した借入金の返済資金の一部に充当する。事業譲受については、4月30日付で豪州のパッケージ会社、オーロラ社から「豪州・ニュージーランド事業の板紙パッケージ部門」の譲受けを完了している。

　ハイブリッドローンは、銀行からの借入による通常ローンよりも株式に近く、資本性が強い借入金。会計上は負債でありながら利息の任意繰延、超長期の償還期限、倒産手続における劣後性など、資本に類似した性質を持つ。格付機関の評価によって資金調達額の一定割合が資本と認められ、日本製紙では日本格付研究所と格付投資情報センターから、調達額の50％に対して資本性の認定を受けられる予定。これにより株式の希薄化なしに財務体質を強化できる。

　日本製紙は今後、従来からオーロラ社と取引関係があった子会社のオーストラリアン・ペーパー社を同事業に組み込み、一貫体制を強化したパッケージ事業体「Opal（オパール）」としてスタートさせる。日本製紙はOpal社（日本製紙100％出資、売上規模：20億6,600万豪・）を、「生活関連事業セグメント／パッケージ部門」の中核事業と位置付け、さらなるグローバル展開も視野に入れていく。 

 

株式会社　紙業タイムス社　「Future6/15号」より