三菱製紙は、未晒クラフトパルプを原料とする電気絶縁紙、プレスボードの生産を王子エフテックスに統合し、同社に事業を譲渡する。2021年4月から生産統合を開始し、同年10月1日を目途に事業譲渡する予定。

　三菱製紙は、1933年に日本で変圧器の製造が開始されると同時に絶縁材料であるプレスボードの生産を高砂工場で開始、その後71年に白河工場（現 白河事業所）に生産移管し、重電メーカーをはじめ多くのユーザーに製品を提供してきた。しかし、2011年の東日本大震災での原発事故以降、国内の電力インフラへの設備投資は抑制傾向にあり変圧器の需要は縮小、また海外では新興国の需要は旺盛ではあるものの、欧州や中国メーカーとの競争に晒され、厳しい事業環境が続いている。

  三菱製紙は現在、王子ホールディングスと資本業務提携を締結し、各事業分野でシナジー効果の発現を目指しているが、電気絶縁紙事業についても検討を重ねた結果、生産能力で勝る王子エフテックス・中津工場への生産統合により、事業基盤強化と収益向上が可能との判断に至ったもの。

　生産統合は21年4月から開始し、9月末の完了を目指す。また統合完了とあわせ、三菱製紙は「Aボード」を除くプレスボードの営業権を王子エフテックスに譲渡する。同じ白河事業所で生産している全芳香族ポリアミドを原料とする「Aボード」については、同事業所で生産を継続する。

　これに伴う2021年3月期業績への影響は軽微で、22年3月期業績への影響については精査中。

 

株式会社　紙業タイムス社　「Future8/24号」より