＝紙パの第1四半期①＝

　紙パ関連各社の2021年3月期第1四半期（2020年4～6月）の決算発表が始まった。今号より順不同で紹介していく。以下、連結ベース、単位100万円、（　）内は対前年同期増減率、〈　〉内は前年同期の実績値。

■王子ホールディングス

〔第1四半期〕

　売上高 321,869 （△14.3％）

　営業益 10,984 （△54.5％）

　経常益 5,933 （△74.8％）

　当期益 2,146 （△82.1％）

〔通期予想〕

　売上高 1,400,000 （△7.1％）

　営業益 90,000 （△15.2％）

　経常益   80,000 （△21.0％）

　当期益   50,000 （△14.1％）

　売上高は国内事業・海外事業ともに新型コロナの影響を受けた。海外売上高比率は前年同期を2.7ポイント下回る28.7％。営業利益も国内・海外ともに減益。経常利益の減益には為替差損の増加も影響している。通期予想は前回予想から変更なし。

○生活産業資材…売上高は前年同期比△9.9％、営業利益は同△27.7％。段原紙・段ボール販売は外出自粛に伴い一部加工食品向けは堅調だったが、全体では減少。白板紙は国内・輸出ともに販売減。包装用紙は、国内販売量は減少したが輸出は前年並み。子ども用おむつは、国内販売量は減少したが輸出が増加し全体も増加。ただし市況軟化で金額的には減収。大人用は減少。家庭紙は、キッチンタオルなどを中心に販売量が増加。海外事業は、段原紙・段ボールは地域によって減少または横ばい、紙おむつ販売量は中国、マレーシア、インドネシアで大幅増。

○機能材…売上高は前年同期比△10.1％、営業利益は同△3.9％。国内事業はコロナの影響で特殊紙、感熱紙ともに販売量が減少。

○資源環境ビジネス…売上高は前年同期比△22.2％、営業利益は同△88.4％。

○印刷情報メディア…売上高は前年同期比△21.4％、営業損益は同15億円減益となり10億円の赤字。新聞用紙、印刷用紙、情報用紙、海外事業いずれも販売量が減少。

■日本製紙

〔第1四半期〕

　売上高 223,821 （△14.2％）

　営業益 4,252 （△41.8％）

　経常益 △936 〈7,113〉

　当期益 △3,791 〈4,180〉

〔通期予想〕

　売上高 1,000,000 （△4.2％）

　営業益 20,000 （△42.9％）

　経常益   12,000 （△60.7％）

　当期益   3,000 （△78.9％）

　新型コロナで景気が極めて厳しい状況にある中、主に新聞用紙・印刷用紙の需要急減により、減収減益となった。

○紙・板紙事業…売上高は前年同期比△18.7％、営業損益は△1,061百万円（前年同期は1,213百万円）。新聞用紙と印刷用紙は新型コロナの影響で大幅に販売量が減少。板紙は、加工食品・通販向けなどが堅調だったが、インバウンド消費・イベント関連・工業製品向けなどは低迷し、国内販売量は減少。

○生活関連事業…売上高は前年同期比△6.5％、営業利益は同△21.7％。ティシュやトイレットペーパーは前年度末の需要増の反動で販売量が減少。ハンドタオルやウェットタオルは堅調だったが、ホテル向けが低迷。液体用紙容器は、家庭用牛乳パックが増加したが、学校給食用が減少し国内販売量は減少。

○エネルギー事業…売上高は前年同期比＋8.7％、営業利益は同＋38.2％。

○木材・建材・土木建設関連事業…売上高は前年同期比△8.2％、営業利益は同＋15.1％。

　通期予想は、5月の前回予想では未定としていたが、次のような見通しで業績予想を公表した。

　洋紙は、新聞用紙・印刷用紙が1Qを底に緩やかに回復し始めると見込んだ。家庭紙は、ティシュやトイレットペーパーが1Qを底に回復を始め、下半期には例年並みの水準に戻ると見込んだ。また、豪州・ニュージーランドでの板紙パッケージ事業譲受に係る印紙税など、一過性の取得関連費用約5,500百万円を、主に2Qに計上する見込み。 

 

株式会社　紙業タイムス社　「Future8/24号」より