経済産業省は9月1日の「防災の日」に合わせ、8月31日（月）～9月4日（金）の5日間、経産省本館1階ロビー広報スペースで、恒例となったトイレットペーパー（TP）の備蓄推進に関するパネル展示を行った（主催：経済産業省、展示協力：日本家庭紙工業会、NPO法人 緊急災害備蓄推進協議会）。「備えあれば、憂いなし。」をコンセプトに、家庭でのTP備蓄の必要性の説明や、備蓄用TPの展示に加え、“ティシュ兼TP”として利便性の高い、水に流せるティシュも紹介した。 

　大規模災害の際にはさまざまな物資の不足が問題となるが、生活に必要不可欠なTPの不足も深刻な事態につながる。TPはほぼ100％国産であり、日本家庭紙工業会は「トイレットペーパー供給継続計画」を策定し、災害の際にはTPの増産を行うこととなっているが、それでも1ヵ月程度は混乱が続くと予想されている。また、日本製TPの約4割を静岡県内のメーカーが生産していることから、東海地震などが発生した場合、全国的にTPの供給不足が懸念されている。

　さらには災害時に限らず、物資が不足するケースもある。新型コロナウイルス感染症が拡大する中、今年2月には「トイレットペーパーがなくなる」といった、SNSなどの誤った情報が発端となり、全国的なTPの買いだめ・買い占めによる品切れが相次いだ。生産は通常通り行われていたものの、ごく短期間での急激な需要増により出荷が追いつかない事態となり、地域によっては品切れが長期化した。

　こうした教訓を踏まえ、日頃から各家庭で適切な量のTPを備蓄しておくことが重要となる。経産省では、普段から家庭内で日常用とは別に、1ヵ月分程度のTP備蓄を呼びかけており、特にコンパクトで収納が省スペースで済む、芯なし・長巻の備蓄用TPが最適として推薦している。なお、1週間で1人1ロールを消費目安として、4人家族で必要となる1ヵ月分のTPはおよそ16ロールだが、芯なし・長巻の備蓄用TPなら概ね6ロールで済む。

　パネル展示では備蓄の方法として、普段使いとは別に備蓄用ストックを備える「従来型ストック」に加え、普段から多めに購入し、使ったらその都度買い足していく「ローリングストック」法も紹介した。

　また、被災地に対するTPなど家庭紙の配給支援報告として、令和元年東日本台風（19年10月発生の台風19号）や、令和2年7月豪雨（九州地方）、さらに新型コロナウイルスの集団感染が発生したクルーズ船、ダイヤモンド・プリンセス号の下船者向け支援についてもパネルで紹介した。

 

株式会社　紙業タイムス社　「Future9/21号」より