巴川製紙所は、ミリ波帯域(20~110GHz)での電磁波および熱対策の技術を生かし、放熱性を維持しながら電磁波吸収特性を付与した熱伝導性電磁波吸収グリースを開発した。
電子デバイス製品のミリ波特性向上ニーズが高まりつつある中、電子デバイスの小型化や高集積化が進み、ミリ波帯域のノイズのみならず熱対策も求められている。従来の電磁波吸収シートは、電磁波ノイズは吸収するものの熱伝導が低く、また複雑な形状への対応が難しかった。そして従来の熱伝導グリースは、凹凸に追従するため複雑な形状に対応できるが、電磁波ノイズは吸収しない。 しかし同社の開発品は、グリース状にミリ波帯域で電磁波吸収と熱伝導の両性能を持たせ、発熱体と筐体・冷却部材の間に充填すると、複雑な形状にも対応しながら優れた電磁波吸収特性と熱伝導性を発揮する。放熱と電磁波対策が同時にできるので、電子デバイスのミリ波帯域で求められている課題を一度に解決できるようになった。
今回開発した熱伝導グリースは、電磁波吸収の目安である誘電正接で0.4以上を達成。一般的に、誘電正接の高い材料は直流体積抵抗率が低く、電子回路への塗布が敬遠されていたが、同製品は高抵抗を維持しながら、ミリ波帯域の誘電正接を高めることに成功した。
株式会社 紙業タイムス社 「Future2/15号」より