日本製紙連合会がまとめた需給速報によると、5月の紙・板紙国内出荷は前年同月比+1.1%の206.6万tとなった。内訳は紙が▲0.6%の121.5万t、板紙が+3.8%の85.1万t。紙はほとんど横バイだが、09年11月以来6ヵ月ぶりのマイナスを記録。他方、板紙は7ヵ月連続のプラスだった。前々年同月比で見ると、紙・板紙▲16.7%、紙▲20.6%、板紙▲10.4%といずれも低調で、回復のテンポは鈍化している。
一方、紙・板紙のメーカー輸出は前年同月比2.3倍の11.1万t。うち紙は2.3倍の10.1万t、板紙は2.5倍の1万t。紙はアジア、豪州向けを中心に9ヵ月連続、板紙はアジア向けを中心に7ヵ月連続のプラスである。特に紙は3ヵ月連続で10万tを上回り、高水準が続いている。
この結果、5月の紙・板紙生産は+4.1%の229.9万tとなった。内訳は紙が+2.1%の139.5万t、板紙が+7.4%の90.4万t。また5月末の在庫は紙・板紙合計で前月比+12.2万tの195.4万t。うち紙が+7.8万t、板紙が+4.4万tで、紙の増加は4ヵ月ぶり、板紙は2ヵ月連続だった。
主要品種の動向は次の通り。
〔印刷・情報用紙〕国内出荷は前年同月比▲2.3%の68.1万tと、前月に続きマイナス。前々年同月比では▲27.5%。他方、輸出は約2.9倍で、塗工紙を中心に10ヵ月連続のプラスになった。
〔板紙・包装用紙〕包装用紙の国内出荷は+18.7%の7万t。引き続き化学、合成樹脂といった需要分野の回復などがあり、1~5月の累計では2割近い(+19.8%)伸びを示している。他方、段ボール原紙、白板紙は天候不順の影響や大型連休前の駆け込み需要の反動などもあり、回復の勢いはダウン(段ボール原紙+3.7%、白板紙+1.3%)。なお前々年同月比では包装用紙▲14.2%、段ボール原紙▲9.6%、白板紙▲10.3%と依然マイナスが続いている。
〔衛生用紙〕国内出荷は▲4.8%の13.5万t。価格修正による買い控えの影響などもあり、5月は印刷・情報用紙を上回る落ち込みを示した。
株式会社 紙業タイムス社 「Future 7/12号」より