三菱製紙はこのほど、加湿・蒸散性能が高く、耐久性に優れた加湿・蒸散用素子『アクア・アクセル』を開発した。
加湿・蒸散素子とは、吸液性に優れた濾材を加工した素子に水などの液体を吸液させ、風を当てて液体を蒸発させる役割をもった部品。加湿器やドレン水の処理装置に使用されている。
加湿分野で同社の製品は、業界最高水準の保水・吸い上げ性能、高レベルの抗菌防カビ性、独自のコルゲート形状による低圧力損失、長寿命という特性を生かし、主に家庭用加湿空気清浄機や加湿器用の加湿フィルターに採用されてきた。しかし、業務用の加湿蒸散・ドレン水処理分野では家庭用以上に耐久性が求められるため、業務用分野での採用を広げるには、さらに安価で高性能な蒸散材料の開発が必要だった。
そこで三菱製紙は、独自の親水化処理技術を用い、高負荷状態における濾材の吸水耐久性能を改善、フィルター加工技術と組み合わせることで、低コストの業務用高性能加湿・蒸散素子『アクア・アクセル』を開発した。
『アクア・アクセル』はさまざまな形状に対応でき、またハンドリング性がよいので既存装置への置き換えも可能。すでにショーケース、業務用エアコン、冷風扇などの用途で採用・検討されており、同社では今後、難燃性などの付加価値をつけることで、設備空調など他分野へも展開したい意向。
また家庭用分野でも、新型インフルエンザ対策として加湿の有効性が改めてクローズアップされていることから、この技術を活用した家庭用素子への再展開を図る。これにより同社では、加湿・蒸散事業での3年後の売上高5億円を目指す。
株式会社 紙業タイムス社 「Future 11/15号」より