日本製紙連合会の集計による12月の紙・板紙国内出荷は前年同月比+0.2%の223.9万tとなった。うち紙は▲1.2%の130.3万tと、前月のプラスから再びマイナスに転じている。これに対し、板紙は+2.3%の93.6万tと2ヵ月連続のプラス。主要品種では新聞、非塗工、包装、衛生を除きプラスだった。
一方、紙・板紙のメーカー輸出は前年同月比▲1.2%の9.1万tで、4ヵ月連続のマイナス。うち紙は▲7.1%の8.2万tで、新聞用紙を中心にアジア向けの減少から4ヵ月連続のマイナスとなった。 対照的に板紙は1万tとほぼ倍増、量的には低水準ながらも段ボール原紙を中心にアジア向けの増加から14ヵ月連続のプラスを保っている。
紙・板紙の生産は前年同月比+0.5%の227.7万tと、ほぼ横バイ。ただし紙が▲2.4%の134.9万tと振るわなかったのに対し、板紙は+5.1%の92.7万tと増加、対照的な推移だった。
この結果、12月末の紙・板紙在庫は前月比▲5.3万t(紙▲3.5万t、板紙▲1.8万t)の15.1万t。紙、板紙とも2ヵ月連続の減少である。
以下、主要品種の概況を眺めてみる。
<印刷・情報用紙>国内出荷は前年同月比▲0.8%の72.1万t。非塗工分野(上級印刷紙)で前年に特需(保険法改正関連)があった反動を受け、前月のプラスから再びマイナスに転じた。メーカー輸出は▲3.7%の7.2万tにとどまり、主力の塗工紙を中心に3ヵ月連続の前年実績割れとなった。
<板紙・包装用紙>板紙の国内出荷は、家電エコポイント制度による買い替え需要の影響などもあり、段ボール原紙が+2.3%の75万t、白板紙が+1.0%の11.9万t。他方、包装用紙は反動増の一巡などから▲2.7%の6.5万tと2ヵ月ぶりにマイナスだった。
前年比4%増に
以上の結果、昨年1~12月暦年の紙・板紙需給は次のようになった(カッコ内は対前年増減率)
<生産>紙1,638.7万t(+3.5%)、板紙1,097.5万t(+5.2%)、合計2,736.2万t(+4.2%)
<国内出荷>紙1,534.2万t(+.1.0%)、板紙1,086.8万t(+4.5%)、合計2,621万t(+2.4%)
<メーカー輸出>紙110.8万t(+39.1%)、板紙10.3万t(+78.0%)、合計121.1万t(+41.8%)。
一見して分かるように、紙より板紙の伸び率の方が高い。「電子化やIT化の影響を受けない板紙は紙に比べて有利」とは、かねて指摘されてきたことだが、これが現実のものとなりつつある。