紙の博物館は３月26日～５月29日の会期で、企画展「おもちゃ絵の世界」を開催している。
　「おもちゃ絵」とは、見て楽しむだけでなく、工作して遊んだり、遊びながら学んだりできるように作られた実用の浮世絵版画。江戸時代から明治・大正期に多数出版された。絵を切り抜いて、貼ったり組み立てたりして立体に仕上げる、ペーパークラフトのような「立版古」のほか、なぞなぞ遊びの「判じ絵」、図鑑のような「もの尽くし絵」、折りたたんだりめくったりすると絵が変わる「変わり絵」、そのほか「着せ替え絵」、「上下絵」など、その種類はバラエティに富んでいる。また、立版古のような複雑な作品は、子どもだけでなく大人でも楽しめた。
　おもちゃ絵は、実際に遊ぶという性質上、消耗品として捨てられてしまう運命にあり、現存している作品は非常に貴重。展示会では、限られた紙面の中に当時の風俗や流行などが凝縮された、貴重な「おもちゃ絵」の世界を紹介している。
　また付帯イベントとして、５月３日には摺師の沼辺伸吉氏による「浮世絵手摺り実演会」（無料。随時見学可）、５月15日には国際浮世絵学会常任理事の藤澤紫氏による講演会「おもちゃ絵の世界－遊べる浮世絵」（無料。申込制電03－3916－2320、先着50名）が予定されている。
【紙の博物館】東京都北区王子１－１－３（飛鳥山公園内）　10：00～17：00開館、入館料：大人300円・小中高生100円、月曜および５月６日休館。
 

株式会社　紙業タイムス社　「Future　4/25号」より