産業用エアコンプレッサ大手の神戸製鋼所と産業用蒸気ボイラ大手の三浦工業は、省エネ性能に優れた圧縮熱回収蒸気駆動エアコンプレッサ「SDシリーズ」の追加新機種を共同開発し、8月から販売を開始している。
SDシリーズは神戸製鋼と三浦工業が共同開発し、09年4月に発売した蒸気を動力とするエアコンプレッサ。一般にエアコンプレッサは、製造工場や公共施設などにおけるユーティリティ(圧縮空気)製造装置として、幅広く使用されている。通常は電気を動力とするが、SDシリーズは蒸気を動力とし、その蒸気を有効利用することで有効な省エネ・節電対策となるため、このところ注目が高まっている。
今回、追加投入されたのはオイルフリー機の『SD-770CF』と高圧蒸気対応機の『SD-1310COH』で、価格はともにオープン。両者に共通の特長は
①駆動電力が不要(制御用電力のみ1kW程度使用)
②空気を圧縮する際に発生する熱を温水で回収し、ボイラの燃料低減に利用する「圧縮熱回収ユニット」を標準装備しており、エネルギー効率が高い
③コンプレッサを駆動した後の蒸気も、従来通り工場のプロセスで使用可能(もし余剰蒸気があれば、その蒸気利用で駆動コストが不要となる)
④インバータコンプレッサと同等の優れた制御性能を有する
――など。供給蒸気圧力0.98MPa以下のSD-770CFは食品・医療・半導体業界など、同1.96MPa以下のSD-1310COHは中・大型の工場などを対象マーケットに想定している。
両機の導入効果はユーザーの使用条件によって異なるが、年間6,000時間運転時の参考値は次の通り(すべて年間ベース)。
<SD-770CF>▽消費電力37万kWh ▽ランニングコスト400万円 ▽CO2排出量190t
<SD-1310COH>▽消費電力49万kWh ▽ランニングコスト550万円▽CO2排出量250t
なお標準の納期は3.5ヵ月。
株式会社 紙業タイムス社 「Future 9/12号」より