紙流通企業のうち、ここでは株式公開企業の決算を先行して紹介する（単位：100万円、カッコ内は前年度比）。
●日本紙パルプ商事
〔12年3月期業績〕（連結）
　売上高 510,923 （＋6.0％）
　営業益 5,416 （＋4.4％）
　経常益 5,465 （▲6.6％）
　当期益 2,967 （▲13.2％）
〔13年3月期予想〕（連結）
　売上高 526,000 （＋3.0％）
　営業益 7,000 （＋29.3％）
　経常益 7,000 （＋28.1％）
　当期益 2,100 （▲29.2％）
　12年3月期は、既存事業の収益力強化とともに海外事業および資源・環境など関連事業の拡大を図った。10年から11年にかけてグールド・グループとコアレックス・グループが連結対象となり、売上高と営業利益が増加している。主な事業の概況は以下の通り。
○国内卸…板紙は加工食品向けを中心に堅調だったが、紙は震災後の経済停滞や企業の経費削減、印刷物の電子化により低迷。秋口から実施した価格修正は、紙・板紙ともに一定の浸透は図れたが、紙は輸入紙の増加などの影響で販売量が減少した。この結果、売上高は前年度比▲4.3％、経常利益は同▲0.6％。
○在外卸…グールド・グループの業績が反映され売上高は同＋42.4％と大きく伸びたが、経常利益はJP中国の経常赤字に加え、香港子会社の利益率も低下し、同▲90.7％。
○製紙・加工…コアレックス・グループを子会社化したことにより、売上高は同＋122.3％、経常利益は同＋76.9％。
　次期については、グールド・グループや先頃インドで子会社化した紙卸のネットワークをテコに、海外市場での販売活動を積極化させていく方針。また、昨年末から取り組んでいるオペレーションコストの削減効果も見込んでいる。
●平和紙業
〔12年3月期業績〕（連結）
　売上高 20,249 （▲3.8％）
　営業益 228 （▲23.8％）
　経常益 282 （▲17.2％）
　当期益 76 （＋7.1％）
〔13年3月期予想〕（連結）
　売上高 20,300 （＋0.3％）
　営業益 230 （＋0.7％）
　経常益 250 （▲11.6％）
　当期益 110 （＋44.3％）
　特殊紙販売の原点に立脚した収益確保と環境対応紙への取組みを軸に、高収益基盤の体制づくりを最重要課題としてきたが、販売実績は取扱い6品目すべてで前年割れとなった。品目別の販売状況を見ると、ファンシーペーパーは年度後半に回復傾向が見られたものの、エンドユーザーの制作予算縮小傾向が響いた。ファインボードは、色カードが増加傾向にあるものの、主力のアルミ蒸着貼合紙が不調だった。高級印刷紙は、輸入紙などの安価な一般紙への切り替えが進んでいることがマイナス要因。ベーシックペーパーは、製紙工場被災による供給力低下が最後まで影響した。技術紙も、震災で主力の合成紙の供給が滞り、売上げを伸ばせなかった。
　次期は、各種エコペーパーの拡販と同時に、特殊機能紙など新規商材の開発と販売に注力する方針。
●共同紙販ホールディングス
〔12年3月期業績〕（連結）
　売上高　 17,641 （▲7.9％）
　営業益 116 （＋24.5％）
　経常益 119 （＋11.2％）
　当期益 30 （▲38.8％）
〔13年3月期予想〕（連結）
　売上高 18,710 （＋6.1％）
　営業益 159 （＋37.1％）
　経常益 156 （＋30.4％）
　当期益 130 （＋331.7％）
　12年3月期は大震災や原発事故、また円高の長期化や欧米の財政不安などが景気悪化に拍車をかけ、売上げが伸び悩んだ。さらに期中における大手得意先の貸倒事故、メーカーによる価格修正の影響なども受けた。このため人件費や物流費など販管費の削減に着手、投資有価証券の売却も行ったが、貸倒事故による特別損失（▲7,900万円）の計上を余儀なくされ、最終損益は減益となった。
　なお、同社は11年3月期に本社移転費用として約2,800万円計上したが、この1年間で駐車場使用料や社員の通勤費など合わせて5,400万円の節減効果が得られたと説明している。

株式会社　紙業タイムス社　「Ｆｕｔｕｒｅ５／２８号」より