講談社は、国内初となるヒューレット・パッカードのインクジェットデジタル輪転印刷機『HP T300 Color Inkjet Web Press』を導入し、フルデジタル書籍生産システムを本格稼働させた。昨年末から販促用プルーフ本の製作を開始、現在は次のステップとして文庫を中心とした小ロット重版の製作に向けて準備を進めている。これにより、多品目・少部数の出版物を短納期、低コストで生産できるようになる。
出版市場の縮小や読者ニーズの多様化とともに、ここ数年は新刊出版点数が増える傾向にある。これに伴い、少部数に対応できる柔軟な生産体制が求められるようになってきた。講談社が導入したHPの『T300』は、デジタルデータを使用して印刷するため版の作成が不要で、多品目の出版物を必要な部数だけ短納期で生産できる。
読者の嗜好が多様化し、読書スタイルも変化する中、小ロット印刷にも対応できるIJデジタル輪転印刷機は、新たなビジネスチャンスを提供するだけでなく、高い返本率など出版業界が長年抱えてきた構造的な課題の解決にもつながりそうだ。
株式会社 紙業タイムス社 「Future2/18号」より