マスク大手のユニ・チャームは、ITEA東京環境アレルギー研究所・白井秀治研究所長の協力のもと、日常生活で使用されたマスクに付着したスギ花粉の量を定量的に計測する方法を検証した。その結果、「吸引回収法」のスギ花粉回収力が高いことが判明、また回収した花粉は濾紙上で染色と計数が可能であることを実証した。
これにより、マスクが日常生活で実際に捕集している花粉の量を計測することが可能となる。この研究成果は、2012年11月30日の第62回日本アレルギー学会秋季学術大会で発表された。
最近はさまざまな花粉症薬が市販されているが、依然マスクは花粉対策の主要アイテム。TV番組などでもその性能が検証されるなど、マスクへの関心は非常に高い。花粉捕集力を定量的に測定できる方法が確立されれば、よりよいマスクの開発にもつながる。
今回の検証実験は、実際に日常生活で使用したマスクを使って行った。2012年2月19日~3月31日の花粉シーズンに、東京と福島の各10名にユニ・チャームの『超立体マスク(かぜ・花粉用)』を着用して行動日誌を記入してもらい、1週間ごとに専用の返信封筒でマスクと行動日誌を返送してもらった。そして、マスクに付着した花粉を濾紙上に回収後、染色し、計数して、個数を明らかにした。
測定法は、①直接観察法、②粘着テープ回収法、③吸引回収法(マスク)+濾過回収法(回収袋)の3通りで行った。その結果、③が最も精度が高く、マスクで捕集した花粉の定量化に適していることが分かった。
ユニ・チャームは、「今後は捕集された花粉の種類、大きさなどを分析し、マスクのさらなる機能向上に活用したい」と述べている。
株式会社 紙業タイムス社 「Future2/18号」より