貿易商社などが加盟する日本貿易会の市場委員会はこのほど、TPP協定交渉への早期参加を求める要望書を、会長名で内閣総理大臣および関係大臣に提出した。
要望書では、「アジア太平洋地域は、日本の貿易・投資の拡大と経済の持続的成長を促す最重要地域」であり、TPPはAPECが掲げるアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の実現に向けた布石の一つであると指摘。またTPP交渉への参加は、少子高齢化時代を迎えた日本にとって、「海外とのヒト・モノ・カネ・情報の相互交流を促し、生産、消費を活発化させていく上で極めて重要」と説いた。
TPP参加表明国の間では、すでに各分野におけるルール形成などの交渉が行われており、2013年中の交渉妥結が目標とされている。早く交渉に参加しなければ、ルール作りに日本の意向を反映するのは難しくなる。アジア太平洋地域における日本の輸出額は、約4分の1がTPP交渉参加国向けであり、また海外直接投資残高も4割強がTPP交渉参加国向け。こうしたことも、日本貿易会が早期参加を求める理由の一つ。
日本を取り巻く経済の統合は大きな流れとなっており、TPPもその流れの中にある。要望書では、「日本もこの流れに積極的に関与していくべきであり、経済外交上の大きな機会を逃すことがないよう、新政権には早期参加に向けて力強い政治的リーダーシップを期待する」と結んでいる。
株式会社 紙業タイムス社 「Future2/18号」より