日本製紙と三菱商事は宮城県石巻市に、石炭・バイオマス混焼火力発電設備を建設・運営する発電事業会社「日本製紙石巻エネルギーセンター㈱」(仮称)を、5月下旬を目途に設立する。出資比率は日本製紙70%、三菱商事30%。
新会社は日本製紙石巻工場が保有する雲雀野(ひばりの)用地内に発電設備を設置し、設備の運転・管理および電力の卸供給販売を行う。燃料は石炭に木質バイオマス(最大30%)を混合した混焼発電で、運転および保守は日本製紙が受託。発電出力は149MW(発電端)で、PPS(特定規模電気事業者)に売電する。事業開始は2018年3月の予定。
石巻市は東日本大震災で津波の被害を受け、日本製紙の洋紙事業の中核を担う石巻工場も操業全停止を余儀なくされたが、震災から約1年半後の12年8月末には完全復興を果たした。日本製紙は現在、紙だけでなく、成長が見込める分野でのビジネス展開を進めており、中でも発電設備の操業技術や木質バイオマスの調達優位性を活かしたエネルギー事業に力を入れている。石巻工場では洋紙事業以外にリサイクル事業も手掛けており、さらに発電事業をスタートさせることにより、電力の安定供給とともに、近隣の林業振興、地域社会の発展に寄与していく。
一方、三菱商事は東日本大震災以降、三菱商事復興支援財団を通じて被災地域の復興支援を継続している。今回の発電事業についても、これまでの事業で培ったノウハウを活かして、環境、地域社会に配慮しながら長期安定的な事業運営を進めることで、地域の産業振興、雇用創出・維持に努めていく考え。
株式会社 紙業タイムス社 「Future5/11号」より