王子ホールディングスはこのほど、ベトナムでの新工場建設とマレーシアでの既存2工場拡張を決定した。
ベトナム北部地区での同社段ボール事業は、Ojitex Haiphong Co., Ltd.がすでに2工場を稼働させているが、今後も日系企業を中心に旺盛な需要が見込まれるため、ハナム省に新工場を建設するもの。建設予定地はハナム省ドンバンⅢ工業団地で、投資額は約30億円、営業開始予定は2019年7月。新工場は、王子にとってベトナムにおける5ヵ所目の段ボール拠点で、東南アジア・インド地域のパッケージング拠点としては30ヵ所目となる。
他方、マレーシアでは工場を拡張する。王子は今年6月に北部地区で稼働予定の工場を含め、8ヵ所(北部地区3ヵ所、中部地区3ヵ所、南部地区2ヵ所)の段ボール工場を有しているが、そのうち最も段ボール消費量の多い中部地区のHarta Packaging Industries(Selangor)Sdn.Bhd.とDazun Paper Industrial Company Sdn.Bhd.の2工場で、敷地内の遊休地を活用し建屋拡張および生産能力増強を実施する。合計投資額は約30億円で、新設備稼働はいずれも12月の予定。これにより2工場の生産能力はほぼ倍増する。
深紫外LED用微細構造体を新開発
また、王子ホールディングスはこのほど、深紫外LEDの光取出し性能を向上させる微細構造体を開発した。この微細構造体を、DOWAエレクトロニクスの開発する発光中心波長310nm帯の深紫外LEDに導入することで、世界トップクラスの90mWの出力を達成した。
310nm帯の深紫外域は、樹脂硬化や皮膚治療などに用いられるが、設備の小型化、高出力化が望まれていた。王子が開発したナノレベルの微細加工技術を適用した微細構造体付サファイア基板を、DOWAエレクトロニクスの深紫外LEDに導入することで、従来の水銀ランプやエキシマランプなどに比べて設備が大幅に小型化し、光取出し効率も従来比約20%増(90mW)の高出力化を実現できた。
同微細構造体を導入した310nm帯の深紫外LEDは、DOWAエレクトロニクスが4月から量産を開始する予定。
株式会社 紙業タイムス社 「Future2/26号」より