王子ホールディングスと三菱製紙はかねて、提携関係の拡大に向けて王子HDによる三菱製紙の株式取得を発表、国内外の競争当局のクリアランス取得にかかる手続きを進めていたが、先にクリアした公取委審査に続き(本誌1942号1月28日号既報)、このほど海外競争当局から必要なクリアランスを取得。これを受けて王子HDは3月29日、三菱製紙からの第三者割当増資に係る払込み(約76億円)と、三菱製紙株主からの株式取得を完了した。これにより王子HDは、予定通り三菱製紙の総議決権数の33%を取得して筆頭株主となり、三菱製紙は王子HDの持分適用会社となった。
なお、当初の提携契約では、三菱製紙のドイツ子会社、三菱ハイテクペーパーヨーロッパGmbHの全株式または一部株式を、王子HDに譲渡することが盛り込まれていたが、これは実施しないこととなった。両社が協議を進める中で、ドイツ事業は子会社の株式譲渡という選択肢以外の方法で提携を進めていくのが妥当と判断したもの。
また、株式取得完了に先立ち両社は、3月25日付で業務提携契約を締結している。同契約は、生産、販売、原燃料調達、物流、エンジニアリング、設備投資、研究開発および間接部門など、すべての事業分野を対象としており、今後期待できる収益改善効果として、王子HDでは営業利益37億円以上、三菱製紙では営業利益25億円以上を想定している。
株式会社 紙業タイムス社 「Future4/15号」より