＝紙パの2020年3月期・＝
前号に続き、紙パ関連各社の2020年3月期決算（19年4月～20年3月）を紹介する。以下、連結、単位100万円、（ ）内は対前期増減率。
【紙流通】
■日本紙パルプ商事
〔2020年3月期〕
売上高 534,782 （△0.1％）
営業益 10,924 （＋1.1％）
経常益 9,800 （△8.9％）
当期益 5,053 （＋30.5％）
〔2021年3月期予想〕
～未定～
当期純利益の増益は、前期には子会社野田バイオパワーJPで廃棄物処理費用引当金繰入額2,434百万円を特損計上したのに対し、当期は同引当金繰入額524百万円を特損計上した一方、同引当金戻入益958百万円を特別利益に計上したことなどによる。
○国内卸売…売上高は前期比△0.5％、経常利益は同＋3.6％。紙・板紙は販売価格を維持しているものの、印刷・情報用紙の構造的な需要減に加え、期前半に天候不順などにより段原紙の販売量が減少した。利益は、販売価格の維持と子会社での貸倒引当金繰入額の減少などにより増益。
○海外卸売…売上高は前期比＋2.8％、経常損益は△763百万円（前期は2,145百万円）。連結子会社の増加により増収となったものの、利益面は、市況品種の価格下落で粗利が大幅に落ち込んだこと、中国、香港、米国子会社での在庫の評価損、貸倒引当金の計上に加え、M&A関連費用の発生や為替差損の計上により赤字化した。
○製紙および加工…売上高は再生家庭紙事業の好調、段原紙や再生家庭紙製品の販売価格維持により、前期比＋7.1％。経常利益は、増収に加えて原料古紙価格が低位安定したことにより同＋61.0％。
○資源および環境…売上高は前期比△21.3％、経常利益は同△79.9％。中国での廃棄物輸入規制の継続実施により、古紙需給が緩んで国際市況が大幅に下落した。
○不動産賃貸…新たに稼働した2つの新ビルの賃貸料収入が加わり、売上高は前期比＋48.9％、経常利益は同＋280.2％。
2021年3月期予想は、新型コロナの影響を現時点で合理的に算定するのは難しいため未定とした。
■国際紙パルプ商事
〔2020年3月期〕
売上高 381,397 （△0.9％）
営業益 1,850 （△18.9％）
経常益 2,194 （△12.9％）
当期益 1,232 （△50.7％）
〔2021年3月期予想〕
～未定～
当期純利益は、社内基幹システムの開発中止に伴い固定資産の減損損失を計上したため、営業・経常より減益幅が大きい。
○国内拠点紙パルプ等卸売事業…売上高は前期比△6.9％、セグメント利益は同△10.5％。紙は、販売量、売上高ともに前年割れ。板紙も、段原紙は好調だったが、米国・中国間の通商問題によるアジア各国への輸出減少などにより、販売量、売上高ともに前年割れ。古紙も、輸出の不調に市況の低迷と中国の在庫調整が加わり、販売量・売上高ともに減少。パルプも販売量・売上高ともに減少。
○海外拠点紙パルプ等卸売事業…売上高は前期比＋25.1％、セグメント利益は同＋495.0％。米国の売上高は微増。東南アジアは減収。香港は増収。中国の売上高も微増。豪州はSpicers Limitedの買収効果で販売量・売上高ともに大幅増。
○不動産賃貸事業…売上高は前期比＋1.2％、セグメント利益は同△1.5％。
2021年3月期は新型コロナの影響が予想されるが、現時点では業績見通しの合理的な算定が難しいため、公表を見送った。
■平和紙業
〔2020年3月期〕
売上高 18,362 （△3.9％）
営業益 151 （△40.7％）
経常益 249 （△26.9％）
当期益 154 （△31.5％）
〔2021年3月期予想〕
～未定～
○ファンシーペーパー…高級パッケージや製袋向けは堅調も商業印刷用途や東アジア向け輸出が減少し、売上高は前期比△11.6％。
○ファインボード…紙製品や書籍装丁用途は減少したが、医薬化粧品、食品、和洋菓子などの高級パッケージ向けの販売量が増加し、売上高は前期比＋0.2％。
○高級印刷紙…パンフレットなどの商業印刷物やパッケージ用途が堅調も、紙製品や書籍装丁用途が伸び悩み、売上高は前期比△3.0％。
○ベーシックペーパー…商業印刷物、書籍、紙製品、医療品パッケージ用途が堅調だったが、一般パッケージや製袋用途が減少し、売上高は前期比△0.4％。
○技術紙…合成紙や耐水撥水性機能紙は低調だったが、各種工業品製造用工程紙や偽造防止用紙の販売量が増加し、売上高は前期比＋1.5％。
○その他…売上高は前期比△0.1％。
2021年3月期予想は、現段階で新型コロナの影響を合理的に算定するのは難しいため未定とした。
株式会社 紙業タイムス社 「Future6/22号」より
