=紙パの2022年3月期⑤=
前号に続き、紙パ関連各社の2022年3月期(21年4月~22年3月)決算を紹介する。以下、連結ベース、単位100万円、%表記は対前年度比、〈 〉内は前年度の実績値。
【紙加工】
■野崎印刷紙業
〔22年3月期〕
売上高 13,083 (△0.1%)
営業益 133 (+52.5%)
経常益 143 (+15.9%)
当期益 10 (△87.4%)
〔23年3月期予想〕
売上高 13,700 (+4.7%)
営業益 239 (+79.5%)
経常益 265 (+84.8%)
当期益 155 (15.5倍)
自宅需要の増加で受注が増えた部門もあったが、経済活動の停滞により売上高は微減。利益面は、販売価格を修正したことや、業務プロセスのデジタル化、自動化などを推進した結果、営業・経常利益が改善した。当期純利益は、東京支店の移転に伴い、既存建物の解体工事費や固定資産除却損などの特別損失が発生したため減少。
○商業印刷部門…売上高△11.4%。イベント・展示会などの中止・延期・規模縮小の影響により需要が減少。紙媒体からデジタル化への動きが加速した影響も受けた。
○包装資材および紙器、紙工品部門…売上高△0.5%。軟包装、紙器類は、物流業、食品メーカーなどからの受注増により緩やかに回復。袋類は、流通・小売業界の需要が後退したことと、レジ袋有料化により需要が大きく減少。
○情報機器・サプライ品部門…売上高+3.5%。工業系製造業、食品流通業界、物流業の回復傾向で需要が増加。情報機器類の需要も堅調で、特に小型プリンタが順調。
○その他…衛生関連商品などの需要堅調により売上高+3.8%。
■中央紙器工業
〔22年3月期〕
売上高 11,047 (+19.6%)
営業益 713 (+327.1%)
経常益 784 (+226.5%)
当期益 536 (+213.3%)
〔23年3月期予想〕
売上高 11,000 (△0.4%)
営業益 760 (+6.5%)
経常益 830 (+5.8%)
当期益 550 (+2.6%)
主要ユーザーである自動車関連の特需を中心に需要が回復基調で推移し、固定費削減などの成果もあって、売上高、利益ともに業績予想を上回る結果となった。
■ハビックス
〔22年3月期〕
売上高 10,897 (+2.4%)
営業益 △62 〈768〉
経常益 9 (△98.9%)
当期益 △2,448 〈561〉
〔23年3月期予想〕
売上高 12,000 (+10.1%)
営業益 150 〈△62〉
経常益 150 (約16.7倍)
当期益 100 〈△2,448〉
主要顧客の外食産業が依然厳しく、衛生材料市場も景気低迷やコロナ禍の影響により販売量が低迷した。また、原燃料や化学系資材の価格が急激に上昇し、厳しい収益環境となっている。
○不織布関連事業…売上高+4.1%、セグメント利益△14.2%。パルプ不織布は、外食産業に一時的な回復の兆しが見られ、業務用クッキングペーパーやおしぼり向けの受注が増加した。しかし原燃料価格高騰により、利益は圧迫された。
○紙関連事業…売上高+0.3%、セグメント損失△131百万円(前年同期比△725百万円)。衛生用紙は、紙おむつの販売量が低迷する中、テーブルナプキンやおしぼり向け製品の受注が増加し、売上高は微増。しかし原燃料高により利益は大きく圧迫。
23年3月期予想は、原燃料高や緊迫する世界情勢などの下振れリスクはあるが、ワクチン接種の進展により年度末にかけて緩やかに回復するとの前提のもと算定した。
■大村紙業(非連結)
〔22年3月期〕
売上高 4,980 (+3.7%)
営業益 254 (△5.7%)
経常益 235 (△14.7%)
当期益 130 (△20.5%)
〔23年3月期予想〕
売上高 5,571 (+11.9%)
営業益 324 (+27.4%)
経常益 317 (+34.6%)
当期益 196 (+51.0%)
コロナ禍の影響はあったものの、既存取引先への対応強化および新規取引先の開拓などにより、概ね予想通りで推移した。利益面は、原材料・資源価格の上昇や、自己株式の公開買付にかかる費用が発生したことが影響した。生産量は、段ボールシートが+1.8%の49百万㎡、段ボールケースが+6.2%の33百万㎡。売上高は、段ボールシートが△3.8%の855百万円、段ボールケースが+6.4%の3,185百万円、ラベルが+2.8%の174百万円、その他(主に包装資材)が+2.2%の764百万円。
株式会社 紙業タイムス社 「Future6/27号」より