=紙パの第2四半期③=
前号に続き、紙パ関連各社の2023年3月期第2四半期(22年4~9月)決算を紹介する。以下、連結ベース、単位100万円、%表記は対前年同期比、〈 〉内は前年同期の実績値。
【製紙】
■三菱製紙
〔第2四半期〕
売上高 100,364 (+16.9%)
営業益 △435 〈288〉
経常益 1,504 (+103.2%)
当期益 △288 〈256〉
〔通期予想〕
売上高 215,000 (+18.2%)
営業益 2,500 〈△248〉
経常益 3,500 (+78.2%)
当期益 1,500 (+36.8%)
製品価格改定により増収となったが、原料価格高騰で営業損失となった。経常利益は為替差益の計上などにより増益、当期純損益は特別退職金の発生で損失計上。
○紙素材事業…売上高+17.7%、営業損失△2,270百万円(前年同期比△994百万円)。国内は、販売量は減少したが金額は増加。輸出は販売量・金額ともに増加。欧州子会社は販売量は減少も金額は増加。以上のように価格改定で増収となったが、原燃料価格高騰のコスト増を補いきれず、増収減益。
○機能商品事業…売上高+19.6%、営業利益+12.6%。水処理膜支持体、テープ原紙は堅調。フィルター、化粧板原紙、壁紙用裏打紙などは前年割れ。エレクトロニクス関連製品はバッテリーセパレータや電子工業材料の海外向けが増加し、前年を大きく上回った。イメージング関連も増加。
通期予想は、5月公表の業績予想から売上高を修正した。修正額は+15,000百万円。各事業で販売価格の改定を進めていることから、上方修正した。利益は据え置き。
■特種東海製紙
〔第2四半期〕
売上高 42,071 (+8.3%)
営業益 1,337 (△40.2%)
経常益 2,549 (△18.8%)
当期益 3,150 (△8.8%)
〔通期予想〕
売上高 87,000 (+7.8%)
営業益 1,300 (△69.3%)
経常益 4,000 (△30.2%)
当期益 3,900 (△25.7%)
○産業素材事業…売上高+13.8%、営業利益△14.1%。段ボール原紙は国内外向けが堅調、クラフト紙は国内向けが堅調。
○特殊素材事業…売上高+1.3%、営業利益△48.4%。特殊印刷用紙はファンシーペーパーのパッケージ用途が緩やかに回復し増収。特殊機能紙は減収。利益は原燃料・薬品の価格上昇で減益。
○生活商品事業…売上高+4.0%、営業利益△82.5%。販売量の増加と価格修正で増収となったが、利益は原燃料高で減益。
○環境関連事業…売上高+16.7%、営業損失△34百万円(前年同期比+146百万円)。
通期予想は、5月公表の業績予想から営業益を修正した。修正額(単位100万円)は△1,800。原燃料価格の高騰と急激な円安に伴い、製造変動費負担が当初予想を上回る見込みとなったため、下方修正した。経常益と当期益は、産業素材事業が底固く持分法による投資利益を見直したこと、また、投資有価証券売却益の計上も見込まれることから据置きとした。
【製紙関連】
■リンテック
〔第2四半期〕
売上高 144,422 (+14.9%)
営業益 9,776 (△16.6%)
経常益 12,127 (△1.0%)
当期益 8,791 (△0.3%)
〔通期予想〕
売上高 292,000 (+13.7%)
営業益 15,500 (△28.2%)
経常益 18,500 (△18.5%)
当期益 13,500 (△18.9%)
売上高は米国子会社での買収効果や円安で増収。営業益は原燃料高で減益、経常益は為替差益があったため微減にとどまった。
○印刷材・産業工材関連…売上高+30.0%、営業利益+35.0%。印刷・情報材事業は大幅増収。シール・ラベル用粘着製品は新規採用が進んだほか、宅配・物流関連の需要が増加、海外も大きく伸長。産業工材事業は、国内は低調だったが海外が堅調だったため全体では増収。
○電子・光学関連…売上高△1.1%、営業利益△8.3%。半導体関連粘着テープと関連装置は堅調も、積層セラミックコンデンサ関連テープはスマホの需要低迷で低調。
○洋紙・加工材関連…売上高+0.2%、営業損失△554百万円(前年同期比△1,563百万円)。洋紙事業は増収、加工材事業は減収。利益面は原燃料価格上昇で赤字。
通期予想は、5月公表の業績予想を修正した。修正額(単位100万円)は売上高+7,000、営業益△6,000、経常益△3,000、当期益△2,000。3Q以降も原燃料価格や物流費の上昇を見込んでおり、また電子・光学関連の需要低迷を予想した。
■巴川製紙所
〔第2四半期〕
売上高 17,532 (+12.0%)
営業益 1,205 (+14.6%)
経常益 1,361 (+9.4%)
当期益 1,255 (+51.3%)
〔通期予想〕
売上高 34,500 (+5.2%)
営業益 1,500 (△24.3%)
経常益 1,550 (△32.9%)
当期益 1,500 (△9.1%)
トナー事業や半導体関連事業の好調に加え、円安による海外売上増もあり増収となった。利益面も、価格転嫁と円安の追い風で営業増益となり、また、一昨年に休止した米国トナー工場土地建物の売却益があり、当期益は大幅増益。
○トナー事業…売上高+30.4%、セグメント利益+165.7%。受注堅調、円安も追い風。価格転嫁と米国工場閉鎖による固定費減で増益。
○電子材料事業…売上高△4.7%、セグメント利益△69.8%。光学フィルム関連の販売減で減収減益。
○機能紙事業…売上高+6.1%、セグメント損失△129百万円(前年同期比△96百万円)。原燃料高で赤字幅が膨らんだ。
○セキュリティメディア事業…売上高+0.7%、セグメント利益+22.7%。
○新規開発事業…売上高△41.4%、セグメント損失△236百万円(前年同期比△32百万円)。
○その他の事業…売上高+44.1%、セグメント利益△24.0%。
通期予想は、7月公表の業績予想から変更なし。
【紙流通】
■KPPグループホールディングス
〔第2四半期〕
売上高 320,699 (+19.2%)
営業益 12,299 (+221.8%)
経常益 11,067 (+163.1%)
当期益 9,186 (+163.6%)
〔通期予想〕
売上高 650,000 (+15.4%)
営業益 21,000 (+123.9%)
経常益 18,500 (+109.2%)
当期益 15,000 (+100.1%)
○国内拠点紙パルプ等卸売事業…売上高+7.9%、営業利益+47.6%。紙は、販売量は減少したが価格修正や輸出価格上昇で増収。段ボール原紙の販売量は減少、紙器用板紙は増収。古紙は販売量・売上高ともに増加。パルプも増収。
○海外拠点紙パルプ等卸売事業…売上高+28.9%、営業利益+273.8%。海外売上高比率は58.1%に。欧州は好調を維持。豪州も増収。東南アジアは、営業利益は改善したものの減収。中国は販売量・売上高ともに前年割れ。
○不動産賃貸事業…売上高△4.8%、営業利益△32.6%。
通期予想は、5月公表の業績予想を修正した。修正額(単位100万円)は売上高+60,000、営業益+9,000、経常益+9,100、当期益+7,500。Antalis S.A.S.のペーパー事業の業績が、価格修正や円安により前年を大きく上回った。3Q以降も好調が継続するとの見込みから上方修正した。配当は、中間配当が持株会社体制移行に係る記念配当2円を加えて9円とし、期末配当は業績予想を踏まえて従来予想の8円から3円増配して11円に修正。これにより年間配当は20円となる。
株式会社 紙業タイムス社 「Future12/5号」より