日本製紙はこのほど、林野庁九州森林管理局沖縄森林管理署（那覇市）との間で締結している「多様な活動の森における森林づくり活動に関する協定書」を更新した。
　同協定は、林野庁が制定した「協定締結による国民参加の森林づくり」制度に基づくもので、日本製紙は協定により、沖縄県西表島の国有林約9haで森林保全活動を行っている。西表島は、国の特別天然記念物イリオモテヤマネコをはじめ貴重な野生の動植物が生息しており、21年には世界自然遺産にも登録された。一方、広域に侵入する外来植物の影響で生物多様性が損なわれる恐れもあることから、その保全が大きなテーマとなっている。
　日本製紙は、かつて西表島の国有地で森林経営を行っていた経緯もあり、17年に締結した同協定に基づき、西表島エコツーリズム協会と協働して主に緊急対策外来種であるアメリカハマグルマの繁殖状況調査や駆除を定期的に行ってきた。その5年間の活動の結果、現在、対象区域におけるアメリカハマグルマの再生はほとんど見られていない。今回の協定更新は、この成果を踏まえてさらに5年間、活動の継続を確認したもの。今後はこれまでの活動に加え、アメリカハマグルマ以外の外来植物侵入状況のモニタリングも行っていく。

ディノスとカタログ古紙のクローズド・ループ構築
　日本製紙はこのほど、カタログ用紙の販売先である、通販大手のDINOS CORPORATION（＝ディノス）と、カタログ古紙の「クローズド・ループ」構築のため、古紙の売買および循環に関する契約を締結し、運用を開始した。
　両社のクローズド・ループのスキームは、ディノスの指定拠点で排出された古紙を、日本製紙が流通業者から調達して石巻工場で再資源化のうえ、これらを原料としたカタログ用紙をディノスに納入するというもの。
　カタログを含む雑誌古紙は現在、古紙市場を経由して国内製紙メーカーへ販売されるほか、一部が海外へ輸出されているが、市況動向によっては日本国内での古紙流通量が不足する恐れがある。日本製紙は、クローズド・ループによって国内循環の拡大を図るとともに、印刷用紙の原料である古紙の長期的、安定的な確保を目指す。
 

株式会社　紙業タイムス社　「Future4/10号」より